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たくみどり。かはちどりのともまどはすらんいとあはれなり。さぎは。みめもみぐるしう。まなこゐなどもおそろしげに。よろづとり所なけれど。ゆるぎのもりにひとりはねじとあらそふらん心ぞすてがたき。雁の聲はちかをとりすれど。秋まちえて霧のたえまにほのかにきゝつけたるいとおかし。又冬のいとさむき夜など雲井になきたるも。はねの霜はらふらんほど思ひやられていとおかし。鷲は。さまかたちよりはじめうつくしう。はじめてたによりいでたる聲などは。かばかりあてにめでたきほどよりは。夏秋のすゑまでありて。しらこゑになくと。だいりのうちにすまぬとぞ。いとわろき人の。さなんあるといひしを。さしもあらじと思ひしに。十年ばかりさぶらひて聞しに。まことにさらにおとせざりき。さるはたけもちかう。こうばいもいとよくかよひぬべき枝のたよりなめりかし。まかでてきけば。あやしき家のみどころなき梅の木などには。いとはなやかにぞなきいでたるや。又よるなかぬもいといぎたなき心地す。ほとゝぎすは。あさましうまたれて。いみじうよふかう。うちいでたる心ばへこそかぎりなうめでたけれ。六月などには。やがておとせずかし。それもすゞめなどのやうにてのみあらば。うぐひすもさしもわろくもおぼえじかし。春のとりとて。としたちかへるあしたよりまづまたるゝものなれば。すこし思はずなるところのあるも。かくくちおしうもおぼゆるなり。人をも人げなく。世のおぼへあなづらはしうもなりそめにたるをば。そしりやはする。とりのなかにも。とび。からすなどのことをば。みきゝいるゝ人なし。これはなをふみなどに。いみじうつくられたる物なれば。ほ