Page:Gunshoruiju27.djvu/309

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るむしろ。こけ。こたに。日かげ。雪まのわか草。かたばみは。あやのもんにてあるもおかし。あやふぐさ。きしのひたびにねをはなれて。げにたのもしげなうあはれなり。いつまで草は。かべにおふらん又いとはかなうあはれなり。きしのひたひよりも。いますこしくづれやすからんかし。とのいしばひぬりたらむには。えおひずやあらむとおもふこそいとわろけれ。ことなし草は。おもふ事をなすにやあらむと思ふこそいとおかしけれ。しのぶ草。いとあはれ也。みちしば。つばな。よもぎなどもいとおかし。やますげ。山あゐ。はまゆふ。くず。さゝ。あをつゞら。なづな。なへ。あさぢ。いとおかし。はちすは。よろづの草よりも世にすぐれてめでたし。妙法蓮華經のたとひにも。花は佛にたてまつり。身はずゝ數珠につらぬき。念佛して往生極樂のえむとすればよ。また花なきころ。みどりなる池の水に。くれなゐに咲たるもいとおかし。されば翠扇紅ともじにつくりたるにこそ。からあふひの日のかげにしたがひてかたぶくこそ草木といふべうもあらぬ心なれ。さしも草。やへむぐら。つき草は。うつろひやすなるぞうたてある。

鳥は。ほかのとりなれど。あふむいとおかし。人のいふらむ事をまねぶらんよ。ほとゝぎすいとめでたし。くゐな。しぎ。みやこどり。ひは。ひたきどり。山どりは。ともこひてなくに。かげをみてなぐさむらんこそ。心わかうあはれなれ。たにをへだてたらんほども心ぐるし。つるは。みめもなづかしからず。おほのかにうちなきさまなれど。さわにてなく聲の雲井にきこゆなるほど思ひやるにいとけだかし。かしらあかきすずめ。いかるがのおとり。