Page:Gunshoruiju27.djvu/307

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たれかたのめたるにかと思ふに。きかまほしうおかし。ねずもちの木。ひとしう。人なみなるさまにはあらねど。はのいみじうこまかにちいさきがおかしきなり。あふしちの木。やまなしの木。しゐの木。ときは木は。いづれもあるを。それしもたがへせぬためしにいはれたるおかし。しらかしといふもの。みやま木の中にもいとけどをくて。二位三位のうへのきぬそむるおりこそ葉をだに人の見るめれ。おがしき事にとりいづべくもあらねど。雪のふりおきたるに。みまがへられて。すさのをのみことのいづものくにへおはしける御供にて。人丸がよみたる歌などおもふに。いみじうあはれなり。いふ事につけても。ひとふしあはれともおかしともきゝおきつる物は。草も木もとりむしもおろかにこそおぼえね。ゆづる葉のいみじうつやめきふさやぎたる葉は。いとあをくきよげなるに。思ひかけずにるべくもあらぬ。くきのあかうきらしう見えたるこそあやしけれどおかしけれ。なべての月ごろは。つゆみえぬものゝ。しはす師走のつごもりにのみ時めき。なき人のくひ物にしくを見るがあはれなるに。又たとしへなくいはひのおり。はがためのぐにもしきてつかひためるは。いかなるにか。もみぢせむ世やといひたるもたのもし。かしわ木。いとおかし。葉のまだちいさきおりより。はもりの神のおはしますらんもかしこし。また兵衞督すけぞうなどをもさいふ。いとおかし。すがたなけれど。すろの木からめきて。わろき家のとは見えず。なにとなけれど。やどりぎといふなは。かなだちていとおかし。

草の花は。なでしこ。からのはさらなり。やま