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にあるにや。いさゝか聖廟の御詩を思ひ出て。
あふみちも心つくしの旅なれやたゝ鐘を聞古寺の前
おいそのもりにて。
我袖よ駒もすさめぬたくひにておいその杜の雫をそしる
われこそは老その杜の郭公をのかさかりの聲なおしみそ
其日は武佐といふ所にやどる。
ものゝふのゆかけはたてそ靡くなるむへ社むさの名は殘けれ
廿三日。猶むさにとうりうす。うちをくりの事。
南來北望漢宮天 一夜江邊聽㆑雨眠
白髮更添㆓新白髮 靑毽不㆓是舊靑毽㆒
廿四日。伊庭かたより兵士きたる。その日も雨風やまず。水口をすぐとて。
雨ふれは小田の水口せきもあへすすたく蛙の聲そあらそふ
からうじて五十町ばかり行て。新宮の馬場にいたる。禪侶の庵をかりて宿す。新宮は山王にてましますとかや。所のこほり司などきたりて警固をいたす。終夜雨風はなはだし。
廿五日。馬場をたつとて庵室にかきをく。
憶得三生石上緣 一庵風雨夜無㆑眠
今朝更下㆓山前路㆒ 老樹雲深哭㆓杜鵑㆒
契りあらは又あふみちのかり枕結やすてん一夜はかりに
かねては水口より伊賀のはとりにつくベき支度なれど。洪水に路とをる事やすからず。おなじ國のうち玉瀧寺といふ律院にとまる。本尊は藥師如來にてましますといへり。
なかめはや玉瀧寺の空はれて瑠璃の光にうつる朝日を
廿六日。けふは日のけしきなをれり。玉瀧をたちてかは井といふ所をとをる。ひとつはしあり。高松宮は右のかたにありてみやる。牛頭天王にてましますとかや。