コンテンツにスキップ

Page:Gunshoruiju18.djvu/648

提供: Wikisource
このページは校正済みです

わたらせ給けるとなむ。行宮のいしずゑなど今にあり。そのとき身づからうへさせ給へる松の老木となりてあるをみて。

 世におほふ君か御かけにたくふらし民やすかれと植し若松

あふはかといふはたる井よりこなたなり。名寄に靑墓里といへるこの事にや。

 契あれは此里人にあふはかのはかなからすは又もきてみむ

美江寺といふはかゞみしまより五十町ばかりをへだてたるといへり。本尊は十一面觀音計。帳などの中にもましまさず。うちあらはれて人におがまれさせ給ふ。利生をかうぶるものおほしとなむ。徃來のたよりに二度まうでて禮拜をいたす。えんぎなどくはしくたづぬるにいとまあらず。

 たのもしな佛は人にみえ寺のとはりをたれぬ誓おもへは

廿一日。たる井をたちての道すがらの名所おろおろさきにしるしをはりぬ。いぶきの明神の鳥井は北にあり。南宮の鳥ゐは南にあり。をのをのそのまへをすぐ。

 又こむといふきの山の神ならはさしも契りし事な忘れそ

 名も高き南の宮のちかひとて山のひかしの道そたゝしき

みのの國の歌枕の名所。その所はいづくともしらねども。こゝろにうかぶ事どもを筆のつゐでにかきあつめ侍るべし。

 まれにきてみののお山の松のうれの嬉しさみにも天のは衣

 あま衣みのの中山こえ行はふもとにみゆる笠ぬひの里

 いのるそよおさまる(マヽ)世をまつことはみののお山の一つ心に

 時鳥ね覺の里にやとらすはいかてか聞む夜半の一こゑ

 はゝきゝの梢有ともみえなくにたれをも山となつけ初けん

 明くれはしけきうきみのわさみのに猶分まよふ夏草の露

 五月雨のもみちを染る例あらは舟木の山のいかにこかれん

 七夕の逢せは遠きかさゝきのおふさのはしをまつや渡らむ

 東路のうるまのし水名をかへはしらしな旅にたつの市人

 鳰鳥のすのまた川に月すめはあらはれわたる浪の下道

 わかえつゝ見るよしも哉瀧の水老を養ふ名になかれなは

 席田を織物ならはしき浪やいつぬき川のたてとならまし