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Page:Gunshoruiju18.djvu/584

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おなじすがたにき給。赤き帶に靑色のはゞき赤色のみじかき袴也。御ともの人々みなみさきばかりなる金がたなどもさゝせらる。かたはらのにはそしり侍りけめども。かやうのことはあながちに法も式もさだまらず。たゞ時代にしたがふことぞかし。いまやうなどとてさだまりたる器などをだにも。はじめてしいだして用いらるゝためし。古もなきにしも侍らねば。そしりはかへりて道せばきなるベし。旅の衣のたつ日さだまりて。康應後小松元年三月四日夜ふかく都を出させ給ふ。東寺の南の門うち過程に。かの寺のかねの聲もきこゆめり。桂川のほとりとおぼえて。火の影所々にみゆ。こあゆとるなりけり。げに瀨にひかるらむかし。その日のむまの時ばかりに攝律國兵庫の津につかせ給ぬ。御ましの舟にまいるべき人々かねて定らる。

 修理大夫。    右京大夫。

 日野弁。     畠山左近大夫將監。

 同七郞。     今川關口修理亮。

 眞下。      古山十郞。

このほかはをのの舟にて參侍り。

 畠山右衞門佐。  山名播磨守。

 細川淡路守。   土岐伊豫守。

 探題。伊豫入道。 今川越後入道。

 同右衞門佐。   同中務大輔。

 伊勢右衞門入道。 曾我美濃入道。

 朝倉因幡守。   若王寺別當。

 古山珠阿。    松壽丸。

 士佛。

かやうの人々也。侍二三人しもべ三四人ばかりめしぐすべしと定下さるれば。舟數よりも人かずはすくなかりき。兵庫にては赤松の千菊丸。此ところのあるじ申侍けり。まことにこ