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Page:Gunshoruiju18.djvu/583

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時。おきの石にわかめの侍るを一ふさ神主かりとりて歸れば。やがてしほみちき侍とぞ。此わかめをとりて神供にそなへ侍る事。むかしよりいまだ絕侍らずとなん。もし其比まで此ところに侍らば。行すゑの物語にもし侍てまし。

鹿苑院殿嚴嶋詣記

貞世


左のおほいまうち君義滿安藝の國嚴嶋まうでのことあり。此たよりにさすらひ給て。いそのかみふるき都のあとなれば。つくしの國をも御覽ずべきなるべし。かつは浦づたひのめづらかなる所々をも御覽じ。かつは四の國にいたりて。やまと言の葉歌つといふ處をも御らむじ。又は武藏入道〈賴之朝臣。〉ふるき好をもとぶらはせ給ベきにや。御舟よそひの事は。やがてかの入道うけたまはりて。百餘そうたてまつるなるベし。舟のうちにてのさうやく。みなこの人のまうけなり。むかしもいつくしまには高倉八十代院御幸なり。平のおほきおほいまうち君淸盛も。たびたびまうでられしためしも侍けめども。此たびはひきかへてめづらしき御すがたどもにて。はなだ色にめゆひとかやいふもむをそめて。袖口ほそくすそひろきうちかけといふものを