Page:EkiToJinsei.djvu/45

提供:Wikisource
このページは校正済みです

の全體の意昧を說明した文(短いけれども)と六爻の各一の意味を說明した文(此れも短い)とがある。此れ等兩者を倂せて一卦の說明が成り、六十四卦の說明文を倂せて易經が成り立つて居る。

 前者は文王の作、後者は周公の作と稱せられて居る。文王の作つた其文を名けて象と曰ふ。象は斷なりとあつて、一卦の意味を判斷したといふ義である。周公の作つた其文を名けて象と曰ふ。一爻の象卽ち形を見せすといふ意味である。六十四卦を味ふ時は處世上の妙味は善く之を解することが出來る。

ホ 九六の義 

 易の本文を見る時は初九だの九二だの又は初六、六二上六などいふことがある。此れは何のことかといふに、九は陽を示し、六は陰を示めす。 筮法に由つて爻を出すには九八七六の四場合である。九と七とは陽にして八と六とは陰である。今陽は進むを主とし陰は退くを主とす