Page:Eigo-enzetsuho.pdf/209

提供:Wikisource
このページは校正済みです
(197)
 

之れを爲すとするも、戰爭を避くる如きは時期遲しと云ふべきである、嗟呼今や退却すること能はず、退却せんか、之に依りて屈服することゝ、奴隸になることを見るの外なからう、嗟呼我等を束縛する鎖は出來て居て、共鳴る音は已にボストン平野に於て聞ゑて居るではないか、戰爭は到底避けることが出來ない、――戰爭來らしめよ、戰爭來らしめよ。

議長、徒に事を長引かせるのは無益である、諸君は平和と云ふことを連呼するかも知れないが、平和の餘地は少しもなく、戰爭は實際始まつて居るではないか、若し大風が北方より來るならば、必ず武器の響く音を諸君に聞かしめるであらう、嗟呼我等の同胞は已に出陣して居るではないか、然るに我等は何が故に手を袖にして此處に止まつて居るか、諸君の希望は何處にあるか、諸君の得たいと希望するものは何なるか、嗟呼鎖を以て束縛せられ、奴隸となつて、自由を奪はれても命は左程欲しいのであるか、又た平和は左程よいものであるか、嗟呼全能の神よ、斯ることを禁じ給へ、余は他人が如何なる方針に出づるやを知らず、されども余は云はん、我に自由を與へ然らずんば死を與へよと。

合衆國のレパブリカン黨は一千八百七十六年の撰擧競爭