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一切の死を乘り越へ一切の死に別れてゐる我々である
裏切者の僞善者に今日逢はせる顏を持つてゐない
裏切者の心臟と自分達の心臟とを抱き合はせる芝居を我々は底から叩き潰すのである。


斷 片 53


俺は何時か須田町の兎料理の裏で兎が殺されるのを見た
職人が首をつるし上げると兎は四本の足をちぢめ身体をすくませた
職人は咽喉笛を銳利な鉋刀で一刀の下に突き差すとバケツの中にさつと投げ込んだ
血のバケツにザアと雨の降るやうに聞えた。