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Page:Bushido.pdf/94

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氣ををさむることをまなぶべしとありければ、文吾は天性魯に等しき人なりければ、これを聞き、いかなる業を學びなば、心氣をしづむることあらんとのたづねに應じて、俳諧を學ばれよとぞをしへける。されば文吾はその日より師をもとめて習はんとなしけれども、さすがに初心のはづかしく、他には問はで、おのが宅につく案じ居たりしが、折節庭に鶯の初音ゆかしくさえづりけるゆゑ、こゝぞ風流とやらんの發明なるべしと、首を傾け、やうその心をぞつらねける。

鶯の初音をきく耳は別にしておく武士かな。

かくしたゝめ、ひそかに大星に見せければ、由良之助はこれを見て、大によろこび、文字の數さへ揃はねど、はじ