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Page:Bushido.pdf/84

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動を憂ふること、歐洲に於けるが如きもの無きのみならず、而も之を緩和するには、王者の民心を察するに、親父の至情あるを以てす。ビスマーク曰はずや、『專制政治の第一要義は、治者の無私、正直にして、義務を重んじ、精力あり、且つ內自から謙讓なることなり』と。而して又た爰に予の更に此問題に就きて、一引證を加ふることを許せ。されば近時獨逸皇帝の、コブレンツに於てせる演說の一句を擧げん乎。曰く、『神恩によつて王たるものは、之に伴ふ重大なる責任あり。而して特り、造物主に對して、甚大なる責務を有し、人も大臣も國會も君王をして、能く此れより免れしむること能はず』と。

 仁は溫和なる德なり、母の心なり。端正なる節義、嚴厲な