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繼承したる思索の慣習と頗る背馳懸隔するものたらしむ。噫、一國民の歷史を嘲笑する乎。盖し何等の民人と雖――記錄を有せざる最劣等の亞弗利加蕃族すらも――其經歷とする所は、即ち神の自から其手を以て記述せる、人類の歷史の一頁を成すものなるに、彼輩却つて之を否定せんとするに庶幾からずや。旣に滅絕せる種族と雖、尙ほ具眼者の解讀するを得べき古文書なり。哲人、敬虔の徒より觀れば、地上の人種は、皆是れ、其皮膚の色の黑白を以て明記せられたる神の文字を象す。而して此比喩にして佳ならんには、即ち黃色人種は、黃金の象形文字を勒せる貴重なるページたる勿からん乎。彼の宣敎師輩は、旣に一國民の過去に於ける經歷を無視し、基督敎を以て新宗敎なりと揚言す。然