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第十六章 武士道の命脈

 我國に於て駸々乎たる泰西文明の趨勢は、旣に其の古來の敎訓修練を一掃して、復た其の痕跡を留めざるに至りし乎。

 一國の精神にして若し斯の如くに薄命なるものならんには、甚だ悲むべしとす。脆弱なること、直ちに外來の感化に屈服するが如き精神は稱するに足らず。

 一國民の性格を形成する心理的要素の集成の固着性を帶ぶるは、即ち生物學者の所謂『鰭の魚類に於ける、嘴の鳥類に於ける、又た齒牙の肉食動物に於けるが如き、其種屬の