コンテンツにスキップ

Page:Bushido.pdf/240

提供:Wikisource
このページは検証済みです

アス(紀元前四百三十一年――三百六十七年)の彼を死に處せんとするやダモン一度故鄕に歸り、其父母に見えんことを欲し、ピシアス、即ち彼に代りて質となるによつて王の許可を得たり。然るにダモンの旅行妨ぐる處ありて、而して死刑の日旣に來る。ピシアス乃ち刑に就かんとするの刹那、ダモン刑場に着し、自から死せんことを願ふ。流石のダイオニシアスも、此の二靑年の情誼の深厚なるに感激して、竟に彼等を赦免したりと傳ふ。

註(五) ダビデとジヨナサンと(David and Jonathan)の友情は、舊約全書中の一美譚なり。牧羊童ダビデ旣に巨人ゴライアスを斃して、サウル王の面前に來る。『ダビデ、サウルに語ることを終へし時、ジヨナサン(サウル王の子)の心、ダビデの心に結びつきて、ジヨナサン、己れの生命の如くダビデを愛せり』とあり。撒母耳サムエル前書を見よ。)