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の勇婦たらんことを期するが爲に非らずして、其主旨たる、自己と家庭との二途に於て、之を用ひんが爲なりき。女子は仕ふべき君主を有せず、從つて又た自から己れを守衞するの要あり。女子の武器に賴りて、其貞潔を守るに切なるは、男子の其君主を護るに似たり。又た女子の武藝は、之を其家庭に用ひて、其子女を敎育するの益をなしたるものなり。

 婦人は劍術等の武藝を實用すること稀なりしかど、猶ほ彼等をして端坐の習慣にのみ陷ること無からしめ、其健康に補ふ所ありたり。されど武藝の修練たる單に衞生を旨とするものに非らず、事あるに臨んでは、此れが用を爲すことありき。女兒の長じて旣に筓するに及びてや、父母之に