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Page:Bushido.pdf/165

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るもの、一年某々の季節を定めて、師に贈るに金品を以てするの習慣ありしが、斯は敢て報酬として贈るにあらず、されば多くは性行嚴正にして、淸貧の裡に高く標置し、其尊大なるは手に賴りて勞作するを肯ぜず、人に乞ふを潔しとせざる師も尙ほ懽びて之を受納したり。師は旣に貧苦に屈せざる高邁なる精神の化身なり、學問の目的の儀表なり。故に師は又た凡そ武士道に缺くべからざる鍛鍊の鍛鍊たる克己心の活例なりき。