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Page:Bushido.pdf/159

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ヤの住人に滿腔の同感を表せん。武士は阿堵物を斥け、產を興し、富を貯ふるの業を賤みたり。金錢は武士より之を見る眞に糞土も啻ならず。世道人心の頽廢を歎ずるもの、動もすれば、輙ち今猶ほ陳腐の古語を假りて、文臣錢を愛し、武臣命を惜むと云ふ。生命財產に卑吝なるを侮蔑し、或は却つて寧ろ之を蕩盡するを頌揚するあり。古諺にも、『就中金銀の慾を思ふべからず。富めるは智に害あり』と云へり。かるが故に兒童は長じて、全く經濟の道を曉らず、又た之を士人の口に上ぼすを愧ぢ、貨幣の價を知らざるは、敎養の特に宜しきを得たるものなるを證すとしたり。軍勢を集め、恩賞俸祿を分つには、必ずや數の知識の缺くべからざるに拘はらず、金錢の出納は、之を小身の輩に委ね、一藩の財