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第十章 武士の敎育
武士の敎育に於て、最も重んずべきは、品性を確立するに在りて、細慮、知識、口辯の如き伎巧の才能は、逈に其後へに雁行せり。抑も美的藝能は、亦た武士敎育上、樞要の地步を占めて、文敎ある士人に缺くべからざるものなりしと雖、詮ずるに、其敎育の要素に非らず、寧ろ却つて之れが附屬物たるに過ぎざりき。學に秀づるは、固より其重んずる所なりしと雖、所謂『智』とは、特に『智慧』を謂ふものにして、知識は但に其副位を占むるものとするに過ぎず。智仁勇の三德は武士道を支持する鼎足なり。武士は要するに活動の人な