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Page:Bushido.pdf/148

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インダムの槪あり、忠節を盡くさんが爲には、其愛兒を殺して、君主に奉ずるに、毫も躊躇すること無かりき。

 武士道はアリストートル若くは近世二三の社會論者と等しく、國家は人に先んじて存在し、人は國家の中に生れたるものなりとの槪念を有するが故に、人は國家の爲、若くは其權能を正當に掌握代表する者の爲に生死せざるべからずとせり。『クリトー』の讀者は記せん、獄裡のソクラテスが其遁走の問題を捉へて、雅典アゼンスの律法と議論を上下するに擬したるの語あることを。ソクラテスは律法(又は國家)をして語らしめて曰く、『汝は我が下に生れ、育はれ、敎へられたるものなるに、汝焉ぞ、汝も亦た汝の祖先も、我が所生たり、我が臣僕たるに非らずと云ふを敢てせんや』と。吾人は