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第九章 忠節

 標して封建道德と云ふとも、其德とする所のもの、亦た多くは之を、他の倫理系統、又たは武士に非らざる階級人民と共にす。然れども斯德、即ち君上に奉ずる服從忠厚の德に至りては、特り封建道德の異彩を成すものなり。固より凡百の人、德に依るに、皆忠を重しとす。掏摸の群と雖、尙ほ且つ其フアギン(掏摸の頭領)に忠なることあり。されど忠節は、唯だ武士的名譽の律法に在りて、初めて其の最も重きをなせるものなり。

 ヘーゲルが評に、封建臣下の忠義は、一個の人に對する責