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第七章 至誠信實

 禮若し誠を缺かば諧謔となり、狂言となる。伊達政宗曰はく、『禮に過ぐれば、諂となる』と。又た菅公が誡の歌に、

心だに誠の道にかなひなば、
   祈らずとても神や守らん。

とあるは、ポロニヤスが、

自から己に誠なるべし、
さらば人に誠無き能はず。

との訓言に比するに義太だ深し。子思は『中庸』に於て誠を崇め、之れに超自然力を歸し、而も殆ど其力を神明と同視