故に兵、刄に血ぬらずして天下親しむ。萬乘は農戰し、千乘は救守し、百乘は事養す。農戰は外に權を索めず、救守は外に助を索めず、事養は外に資を索めず。夫れ出でて戰ふに足らず、入りて守るに足らざる者は之れを治むるに市を以てす、市は戰守を給する所以なり。萬乘、千乘の助無くば必ず百乘の市を有す。凡そ誅は武を明かにする所以なり、一人を殺して三軍震ふ者は之れを殺し、一人を殺して萬人喜ぶ者は之れを殺す。之れを殺すは大を貴ぶ、之れを賞するは小を貴ぶ、殺に當つては貴重と雖も必ず之れを殺す、是れ刑上に究まるなり、賞、牛童、馬圉に及ぶは是れ賞下に流るるなり。夫れ能く、刑、上に究まり、賞、下に流るるは此れ將の武なり、故に人主は將を重んず。夫れ將鼓を提げ枹を揮ひ、難に臨んで戰を決し、兵を接へ刄を角ひ之れに鼓うちて當るときは則ち功を賞し名を立つ、之れに鼓うちて當らざるときは則ち身死し國亡ぶ。是れ存亡安危は枹端にあり、奈何ぞ將を重ずること無からんや。夫れ鼓を提げて枹を揮ひ、兵を接へ刄を角ひ、君武事を以て功を成す者は臣以て難きに非ずとなすなり。古人曰く蒙衝無くして攻め、渠答無くして守ると、是れを無善の軍と謂ふ。視るに見ることなく聽くに聞くことなきは國市無きに由つてなり。夫れ市は百貨の官なり、賤きを市ひ貴きを賣るは以て士人に限る。人は粟一斗を食ひ、馬は菽三斗を食ふ、人飢色あり馬瘠形あるは何ぞや、市出づる所あつて官、主なければ