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Page:Bukyō shitisyo.pdf/108

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からしむ。故に曰く號を發し令を出だし、信國內に行はれ、民以て敵に勝つべきあるを言はば、其の空言を許すこと勿れ。必ず其の能く戰ふを試み、人の地を視て之れを有し、人の民を分つて之れをやしなふ、必ず能く內に其の賢者あるなり。內其の賢有ること能はずして天下をたもたんと欲せば、必ず軍を覆へし將を殺す、此の如きは戰勝つと雖も而かも國益弱く、地を得るも而かも國益貧し、國中の制弊に由る。

戰威第四

 凡そ兵には道を以て勝つあり、威を以て勝つあり、力を以て勝つあり、武を講じ敵をはかり敵の氣をして失せて師散ぜしめば、形全しと雖も而かも之れが用を爲さず、此れ道もて勝つなり。法制をつまびらかにし賞罰を明にし器用を便にし、民をして必戰の心あらしむ、此れ威もて勝つなり。軍を破り將を殺し、いんしのぎ機を發し、衆を潰し地を奪ひ功を成し乃はち返るは、力勝なり。王侯此の三勝する所以を知らば畢んぬ。夫れ將の戰ふ所以の者は民なり、民の戰ふ所以の者は氣なり、氣實なれば則ち闘ひ、氣奪はるれば則ち走る、刑未だ加へず兵未だまじへずして敵を奪ふ所以の者五。一に曰く廟勝の論、二に曰く受命の論、三に曰く踰垠ゆこんの論、四に曰く溝を深うし壘を高