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はし書

小生芭蕉硏究のため、世に芭蕉の句と稱するものを集むること久く候處、此程にいたり凡そ千四百三十句計を得申候。しかるにこれを詳く調査いたし候處、信憑すべしと思ふ書にのせたるものにして、先輩客人門人の句の混入し居るもの夥く、且つ顯然たる僞作のものもすくなからず、これ等を悉く精査し、孰別するは、中々一朝一夕のよくするところに無之候。今最も甚だしきものを除き、精確なるものと、やや信憑するに足るものとを集めて、一千三百二十七句を類題といたし、本書を得申候。句數はこれにても『一葉集』などより大凡二百五十句も多かるべく候。若し諸君のこの中より、誤入僞作等を發見し給ふあらば、御手數恐れ入候へども、小生迄御一報被下度顯上候。小生目下全