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Page:AkashiKaijin-Shadow2-Iwanami-2012.djvu/18

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 七月


水上みなかみに仔魚孵りて村々の樹立に清き雨灑ぐなり


隅もなき真昼の照りにひたむかふこの図太さは大地なりけり


真昼にはパナマあたりに跨つて白い森林を大陸に見む


隣人が我をうとむは年久し今は命をみづからが悪む


窓のない白牙の市街が現はれて海に半日君臨してゐる


活栓に堰きとめられし水勢のあてどもあらぬ我が忿いかりなり


   二・二六事件

叛乱罪死刑宣告十五名日出づる国の今朝のニュースだ


死をもつて行ふものを易々と功利の輩があげつらひする