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Page:AkashiKaijin-Shadow2-Iwanami-2012.djvu/14

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卓のしたにへんな鱗がさまよへば剝いても剝いても夏は青く


いとにぬけばみんな硝子になつてゐるそんな歌しかわたしは知らない


今はもう笛も吹かない掌を黄なる菌に埋めてねむる


後退しさりゆく家並よ橋よ太陽がのぼらぬ朝を人はおもはず


器には昨日のごとくいひを盛るならひに老いて繰る夢もなく


ひたすらに待ちてかぼそき日もありぬほぐせば青き花芽ながらに



 病閑


猫のごとあさく眠りて朝々の足音ばかりり好みする


おのがの皺など見ねばひたすらに鳥の鳴く音に雲を恋ひつつ


ひとしきり入日をわすれ声をわすれ鴉ふたつの春のあらそひ