く、只(たゞ)女(をんな)として身(み)を飾(かざ)るためなりといふ。依(よ)つて考(かんが)ふる世界(せかい)の各人種(かくじんしゆ)は容貌(ようばう)の異(ことな)るが如(ごと)く、其(そ)の趣味(しゆみ)も亦(また)一樣(やう)ならず。西洋(せいやう)婦人(ふじん)の胴(どう)を細(ほそ)くし、日本(にほん)婦人(ふじん)の「おはぐろ」を塗(ぬ)るが如(ごと)く、アイヌ婦人(ふじん)も文身(いれずみ)によりて始(はじ)めて女(をんな)らしく見(み)えしため、斯(か)くは習慣(しふくわん)と爲(な)りて行(おこな)はれ來(きた)りしものならん。
されど文身(いれずみ)は野蠻(やばん)の風習(ふうしふ)なれば、現今(げんこん)の土人(どじん)は其(そ)の惡(あ)しきを知(し)りて、新(あらた)に之(これ)を施(ほどこ)す者(もの)なし。且(か)つ警察(けいさつ)に於(おい)ても取締(とりしまり)をなしつゝあれば、將來(しやうらい)再(ふたゝ)び之(これ)を見(み)ること能(あた)はざるべし。
(二)家屋建設につきて
家屋(かをく)を建設(けんせつ)するに當(あた)りては、土地(とち)の善惡(ぜんあく)に注意(ちうい)し、墓(はか)の跡(あと)、又(また)は其(そ)