るゝばかりにして、敢て和人に引けをとるが如きこと無きは、爰に斷言して憚からざる所なり。況して和人との接觸に慣れ、周圍の事情に漸く打ち勝つことを得つゝある折柄、決して和人と離隔する要を認めず。否、土人をして和人に同化し、立派なる日本國民たらしむるこそ、アイヌの本懷なれ。又國家より見るも、之れが至當のことならん。或る一部の學者・識者は、「アイヌ」種族の亡ぶることを憂ひらると雖も、「アイヌ」は決して滅亡せず。縱令其の容貌、風習に於て漸次舊態を失ふべきも、「アイヌ」の血液の量は必ず減少せず。故に予は「今後「アイヌ」種族は滅亡するが如きことは無くして、大和人種に同化すべきものなり」との信念を有せり。