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し諸種（しよしゆ）の器物（きぶつ）が、北海道（ほくかいだう）の到（いた）る處（ところ）に發掘（はつくつ）せらるゝこと等（とう）、皆（みな）「アイヌ」が舊來（きうらい）北海道（ほくかいだう）に土着（どちやく）せしことを證明（しようめい）せり。されば北海道（ほくかいだう）「アイヌ」は、本州（ほんしう）より渡（わた）り來（きた）りたるものにあらずして、本州（ほんしう）アイヌこそ北海道（ほくかいだう）より分（わか）れて蔓延（まんえん）したるものと云（い）ふべけれ。北海道（ほくかいだう）は往昔（わうせき）渡島（わたりしま）と稱（しよう）し、渡島（わたりしま）蝦夷（えぞ）の名（な）は、阿倍比羅夫（あべのひらふ）北征（ほくせい）の時（とき）、始（はじ）めて史上（しじやう）に見（み）ゆと雖（いへど）も、其（そ）の此處（こゝ）に住居（ぢうきよ）せしは、其（そ）れよりも尙（な）ほ甚（はなは）だ古（ふる）き事（こと）にして、北海道（ほくかいだう）は「アイヌ」の最初（さいしよ）よりの根據地（こんきよち）たりしものゝ如（ごと）し。

（三）アイヌ族とコロボツクンクル

　アイヌの傳說（でんせつ）に據（よ）れば、往古（わうこ）此（こ）の地（ち）に「コロボックンクル」と稱（しやう）するものあり。極（きは）めて矮小（わいせう）なる穴居（けつきよ）人種（じんしゆ）、若（もし）くは神（かみ）にして、アイヌ族（ぞく）