本書(ほんしよ)は敎育(けういく)に關(くわん)して最(もつと)も力(ちから)を效(いた)したるものゝ如(ごと)し。是(こ)れ蓋(けだ)し、アイヌ種族(しゆぞく)の改善(かいぜん)は主(しゆ)として敎育(けういく)に在(あ)りと爲(な)し、之(これ)に重(おも)きを置(お)きしにあらざる歟(か)。顧(おも)ふにアイヌは、其(その)初(はじ)め、本道(ほんだう)の主人公(しゆじんこう)たりしに、其(その)後(ご)漸次(ぜんじ)劣敗(れつぱい)して、終(つひ)に今日(こんにち)に至(いた)りしものなり。其(その)救濟(きうさい)に關(くわん)しては、種々(しゆ〴〵)の方法(はうはふ)あるべしと雖(いへど)も、然(し)かも、根本的(こんぽんてき)の救濟(きうさい)は、敎育(けういく)によりて精神(せいしん)を陶冶(たうや)し、智能(ちのう)を啓發(けいはつ)せしむるの外(ほか)なかるべし。此(この)書(しよ)を讀(よ)まるゝ人々(ひと〴〵)、其(その)意(い)を諒(りやう)し、可憐(かれん)なるアイヌ種族(しゆぞく)の爲(ため)に、