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 彼に不朽の語あり、曰く

『自由と奴隸を調和せる「妥協政策」の實行中に於て、奴隸問題の熱度は毫も冷却せずして却て、益〻亢進したるが如し、破裂は唯一正當なる運命也。「家を支ふる力相背くとき其の家は顚覆す」。余は半自由にして半奴隸なる政治の永續すべきものにあらざるを知る。余は國家の分割を希はず、余は家屋の顚覆を希はず、されど余は統一事業の完成を希ふ。奴隸制度を擧げて全廢するか、然らざれば此の制度を認め、新舊南北の諸州を通じて等しく合法正當のものとなさゞるべからず』。
 千八百五十年より六十年の十年間は、奴隸問題の沸騰點