コンテンツにスキップ

Page:鐵道震害調査書 大正12年.pdf/44

提供: Wikisource
このページはまだ校正されていません

川本流に架設せるものにして,單線竝列上下2線より成り,橋梁上線路は水平直線にしてその方向北30度東なり。

 上り線は日本鐵道株式會社線として明治二十七年十一月起工,同二十九年十一月竣工し,上野方に徑間60呎上路鈑桁14連,中央部に徑間200呎下路ダブル·ワーレン型構桁8連,水戶方に徑間60呎上路鈑桁8連を架し,全長3,104呎8吋なり。その後大正十一年末に至り,各橋脚頂に混凝土を以て繼足をなし,中央ダブル·ワーレン型構桁8連を曲弦プラット型構桁8連に更換し,又鈑桁の全部も同時に置換せり。上野方橋臺の基礎は杭打板張混凝土工,軀體は凹字形煉化石積にして水戶方橋臺の基礎は混凝土工にしてその軀體は凹字形煉化石積なり。

 橋脚第一號乃至第十三號及び第二十三號乃至第二十九號に對する基礎は杭打板張混凝土工,軀體は煉化石積にして隅角及び水切は花崗石積なり。又橋脚第十四號乃至第二十二號に對する基礎は長徑24呎短徑12呎の楕圓形,煉化石積井筒にして軀體は煉化石積,水切は花崗石積なり。

 下り線は大正三年十月十六日複線改築工事として新に着手し,同六年三月十五日竣工せしものにして,徑間59呎9吋上路鈑桁18連,徑間59呎812吋上路鈑桁2連,徑間59呎10吋の上路鈑桁2連及び徑間199呎3吋の曲弦プラット型構桁8連を架し,全長3,103呎7吋なり。上野方橋臺の基礎は杭打混凝土工,水戶方のものは單なる混凝土工にして,軀體工は何れも凹字形煉化石積なり。構桁に對する橋脚即ち第十四號乃至第二十二號は基礎長徑24呎,短徑14呎の楕圓形煉化石積井筒にして,軀體は煉化石積,水切は花崗石積なり。又鈑桁に對する橋脚の內第一號乃至第十三號及び第二十三號乃至第二十五號は基礎杭打混凝土工,第二十六號乃至第二十九號は基礎混凝土工にして,軀體は何れも煉化石積隅角及び水切は花崗石積なり。

  被害狀況  (附圖第七十並に寫眞第二百八十六乃至第二百八十八參照) 上下兩線とも全般に亘りて橋臺及び橋脚の移動及び沈下を來せり。沈下の最も大なるは上り線第十九號橋脚の0.43呎にして,この外に多少の橫移動あり。然れども大正七年十二月の調査に依れば,下り線增設工事以後上り線の橋臺橋脚等は漸次沈下移動等を生じ居りしを以て,今囘調査の結果が全部震災に因るものに非ざるは勿論なり。而して輕微なる移動及び沈下を除きては橋臺竝に鈑桁の架設せられたる橋脚には殆ど異狀なく,僅に水戶方川下側(上り線)袖石垣の孕出したるのみなるも,構桁の架設せられたる橋脚には多少の損傷あり。又構桁兩端の沓は橋脚上の原位置に對して何れも變位し(詳細は附圖第七十に示す)これがためアンカー·ボールトの著しく屈曲せしもの或はナットの弛緩せしもの等尠からず。

 而して個々の被害は次の如し。

 上り線第十六號橋脚は笠石上端より約17呎3吋の下部に於て略々水平なる龜裂を生じたり。

 第十七號橋脚に於ては轉輾子端の繫桿は上野方へ屈曲し,同桿に接する混凝土はために著しく掘起せられて直徑5吋,深412吋の倒置圓錐狀の穴を生じたり。尙本橋脚は笠石上端より下方約16呎7吋の所に於て煉化石の目筋に沿ふ水平の龜裂を生じ,且この龜裂は川上側に於て垂直に下降せり。而して該龜裂線を界して上部は下部に對し約1吋水戶方に變位せり。

 第十八號橋脚は本橋梁橋脚中に最も損傷甚しきものにして,笠石上面より17呎6吋の深の點に於て水平に切斷し,この切斷面以下に於て軀體は縱龜裂により3分せられたり。龜裂の幅は川上側に於けるもの1呎,川下側に於けるもの6吋に及べり。尙川上側の龜裂せる軀體部は上方に於て約2呎の缺隙を生じて川上側へ1呎8吋移動し居りしが,九月二十八日頃に至りこの部分倒壞して水中に沈沒せり。

 下り線第十七號橋脚のアンカー·ボールトは屈曲して上野方へ傾斜せり。

 第十八號橋脚の笠石は川上方及び川下方共に目筋より切斷し,川上方のものは河中に墜落せり。

 第十九號橋脚の笠石は川上方川下方共に目筋切斷し,且軀體上面には河流に平行する龜裂を生ぜり。

 鈑桁及び構桁とも橋桁には何等の損傷なし。

  十一 北條線湊川橋梁

  構造概要  (附圖第七十一參照) 本橋梁は上總湊濱金谷間蘇我起點34哩56鎖72節の湊川に架設せる,全長985呎單線式にして,大正二年一月起工,同四年十月の竣工に係り,上路鈑桁徑間40呎及び60呎各9連より成る。橋梁上線路は水平直線にして,その方向南49度54分西なり。河床の地質は砂利層の下部に粘板岩層ありて,更にその下部に堅緻なる砂層あり。而して千葉方より北條方に向ひ地盤漸次良好となれるを以て,橋臺橋脚用基礎杭の長もこれに應じて21呎より12呎に減じ,或る箇所に對しては杭を省略せり。

 兩橋臺及び橋脚15基(橋脚の總數17基)に對する基礎は杭打混凝土工にして,混凝土の調合割合はセメント1,砂3,砂利5,杭は末口6吋,長12呎,15呎,18呎及び21呎なり。尙橋脚第十五號及び第十六號2基の基礎に對しては杭を廢して混凝土工のみを施せり。軀體は橋臺橋脚とも煉化石積にして,モルタルの調合はセメント1,砂3の割合なり。橋脚はその斷面小判型にして,半圓形の部には安山岩の表裝を施し,鈑桁は鋼製にして設計荷重E33なり。

  被害狀況  (附圖第七十一乃至第七十五並に寫眞第二百八十九乃至第二百九十九參照) 千葉方橋