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のつらつきは。今日妻子（さいし）の死（し）にのぞむか。さてはきわめ たる一大事。出來（しゆつたい）せりと見へたり。何事にてもあれかし。この 法席（ほつせき）はたつまじものをと。見知らぬていにもてなし。確乎（くわつこ） としてぞおわしける。庄右衛門が心の内。此日の法問（ほうもん）過（すく）る事。千（ち） 歳（とせ）をまつに异（こと）ならじと。推量（おしはか）られて知られたり。扨やう〳〵 に法問（ほうもん）はて。大衆もみな〳〵退散（たいさん）すれば祐天和尚も 所化寮（しよけりやう）さして帰（かへ）り給ふに。庄右衛門やがて後（しり）につき。そゞ ろあしふんで來る時。和尚寮（りやう）の木戸（きど）口にて。うしろをきつ とかへり見（み）たまひ。いかにぞや庄右衛門殿。用（よう）有（あり）げに見ゆるは 何事にかあらん。おぼつかなしとのたまへば。庄右衛門畏（かしこま）り さればとよ和尚様。かさねがまたきたり今朝よりせめ 候が。もはや命はつゞくまし。急き御出有べしと。所まだら にいゝちらす。和尚聞もあへたまわず。さては其方はさきへ 行（ゆ）け。我も追付（おつつけ）行べしと。しやうぞく召かへ出給ふが何（なに）とも りやうけんしたまわず。門外（もんぐわい）の松原まで。只（たゞ）うか〳〵とゆき 給ふを。庄右衛門待受（まちうけ）申やう。何となさるゝぞや和尚様 はや〳〵御越（こし）候ひて。十念さづけ給へといふに。和尚のたま はく。何とかさねが來るとや。其（その）用所（ようじよ）何事にかあらん。また せめのやうだいはいか様なるぞと問たまへば。庄右衛門申様 今朝の五つ時より。かさねがまた参りたりとて。与右衛門 も金五郎も。名主と我等に告（つげ）しらせ候ゆへ。早〻兩人参り て。そのありさまを見候に。まづくるしみのていたらく。日比（ひごろ）には