Page:旧朝鮮半島出身労働者問題をめぐるこれまでの経緯と日本政府の立場 (ファクトシート).pdf/1

提供:Wikisource
このページは検証済みです

旧朝鮮半島出身労働者問題をめぐるこれまでの経緯と日本政府の立場
(ファクトシート)

1 日韓両国は、1965年の国交正常化の際に締結された日韓基本関係条約及びその関連協定の基礎の上に、緊密な友好協力関係を築いてきた。その中核である1965年12月18日に効力を発生した財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(以下「日韓請求権協定」という。)は、日本から大韓民国(以下「韓国」という。)に対して、無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに、「両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が・・・完全かつ最終的に解決されたこと」、また、そのような請求権について「いかなる主張もすることができない」(第2条)ことを定めている。また、当時の交渉の中で、韓国側が日本側に示した八項目の「対日請求要綱」には、被徴用韓人の未収金や補償金及びその他の請求権が含まれており、また、韓国は、交渉の席上、被徴用者全般について補償を要求することや、これが被徴用者の精神的、肉体的苦痛に対する補償を意味するとの説明を行っている。その上で、日韓請求権協定についての合意された議事録においては、「完全かつ最終的に解決されたこととなる・・・財産、権利及び利益並びに・・・請求権に関する問題には、・・・『韓国の対日請求要綱』(いわゆる八項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、・・・同対日請求要綱に関しては、いかなる主張もなしえないこととなる」と規定されている。

2 韓国大法院は、2018年10月30日に新日鐵住金株式会社(当時。現在の日本製鉄株式会社。)に対して1件、同年11月29日に三菱重工業株式会社に対して2件の判決を下した。これらの判決を通じ、韓国大法院は、旧朝鮮半島出身労働者問題に関し損害賠償の支払等を命じる下級審判決を確定させた。これらの判決を受け、日本政府は、これらの判決等が日韓請求権協定第2条に明らかに反し、日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできないとの立場を韓国政府に対し伝達するとともに、韓国が直ちに国際法違反の状態を是正することを含め、適切な措置を講ずることを強く求めてきた。

3 しかしながら、韓国による具体的な措置はとられず、さらに、このような中、原告側による日本企業の財産差押手続の申請が認められた旨の通知がなされたこ