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電車唱歌/神戸電車唱歌

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  1. 豊栄昇とよさかのぼる日のもとの 進みゆく世のみめぐみや 昔は浦の一漁村 今は名高き開港場かいこうじょう
  2. 世界の人もあつまりて 人口三十八万 神戸かうべ市街を西東 通ふ電車の面白さ
  3. 阪神線と聯絡れんらくの 春日野道の停留所ていりゅうしょ 高等商業学校は 近し此處ここより五六ちゃう
  4. 遠く望めば六甲ろっかふの 山脈高くそびたり 天武てんぶてうに開きたる 摩耶まや山上の天上寺
  5. 後醍醐帝ごだいごてい中興ちぅこうを たすけまつりし赤松が とりでの跡は山腹さんぷくに 今は礎石そせきの残るのみ
  6. 南本町みなみほんまち一丁目 ぎて左の海岸に 築港ちくかう工事をながめつつ 走るカールのその早やさ
  7. 町名まちなも同じ四丁目を いそぐ磯上いそかみ一丁目 早や停留所五丁目の 北に電気の変あつ
  8. 西に進みて瀧道に 降りて貯水池たづねみん 音に聞ゆる布引の たきの名所も程近し
  9. 生田神社の鳥居とりゐ前 稜威みいづも高き宮柱 茂れる森は源平の 壽永じゅ江いの昔の古戦ぢゃう
  10. 江びらの梅は梶原かぢはらの 今に傳はるものがたり 武夫もののふみやびなる 心の奥の床しさよ
  11. 海岸どほ東端とうたんに ろう閣海に江いするは 元の居留地遊園地 その壮観さうくわんたゝへつつ
  12. 行けば元町一丁目 軌道レールに添ふて山側に 鎭守のやしろ三の宮 同じ呼び名のステーション
  13. 左に折れてさか江町 御影の石を一面に 巧にたたみつめたるは 全國無比の舗石だう
  14. 進む間もなし三丁目 此に下車して北のかた 高くそび江て偉麗ゐれいなる 兵庫縣廳ひゃうごけんちゃう打過ぎて
  15. 行くや諏訪山遊園地 遠く霞める淡路島あはぢしま あちこち通ふ百船もゝふねの 煙は雲とたちまがふ
  16. 諏訪の御社みやしろ温泉や 競ふ江ん武の勇ましく 皇國みくには奈の武徳殿 次は五丁目停留所
  17. に商業の中心と 榮ゆる町の名もしるし 銀行、會社、新聞社 郵便、電信、電話局
  18. 再度山の大龍寺 海抜千と五百尺 宇治川よりは約一里 いつか登はんを試みん
  19. 相生あいおひ橋にさしかかる しげき往来ゆきき馬車うまくるま 下には通ふ汽車の道 汽笛の音も絶間なし
  20. 北を望めば然たる 大廈たいかは地はう裁判所 神戸かうべ市役所あとにみて 楠公前につきにけり
  1. 忠臣楠氏なんしの墓どころ みたまをまつる神社かみやしろ いつもまうでの人絶江ぬ 徳の程そかしこけれ
  2. 思へば建武のそのむかし 一族從士じうし七十餘 自刃じじんの古跡遺物ある 廣嚴くわうごん寺をもとむらはん
  3. となりて縣立病院びゃうゐんの 設備とゝのふたのもしさ 神戸かうべ江きを横にみて 多聞どほりの有馬道
  4. 下車してみちを北に行き 奥平野には浄水池じゃうすゐち 梅に名を祥福しょうふく寺 花咲く頃は行きて
  5. 原町ばらまちを打過ぎて 兵庫ひゃうご神戸かうべの境なる これや昔の湊川みなとがわ 跡なく今は埋立てゝ
  6. 新開したる遊園いうゑん地 天王てんわう温泉千鳥瀑ちどりだき 木々の緑の葉がくれに 夏は螢も飛ぶとかや
  7. いつも澄みたるすゐ源地 くわう大善美の大工事 石の村のゆふ景色 ねぐらにかへる烏原
  8. 松のの間に月さ江て 今はむかしの夢野御所 治承ぢしゃうの四年安徳の みかど御幸みゆきの跡はん
  9. 神戸のわんの中間に 見よや川崎造船所 霞む波間の眞帆片帆 眺めて歸る永澤ちゃう
  10. 北に會下山遊園地 此處にもしばし立寄らん 次にとまりて柳原 降りてたずねん名所には
  11. 兵庫大佛眞光寺 むかしたいら清盛きよもりが 兵庫の港きづきたる 記念に建てし來迎らいこう
  12. 清盛塚をたずぬれば 十三層の石のたふ 路を隔てゝ経盛つねもりの みやびをしのぶ琵琶の塚
  13. 聞きて無限の感ふかく 思い出多きかやの御所 海じゃう護る神として 崇敬すうけい厚き和田神社じんしゃ
  14. 靑松白砂せいしょうはくさの和楽ゑん 海士あまのわざなる苅藻島 夜の船路の知るべなる 燈だい高し和田岬
  15. 造船所には三菱の その名も高き浮船渠どっく かねて聞きたる鐘が淵 紡績會社西に見て
  16. 建武三年くわん軍の 本間重氏しげうぢ足利の 船に遠矢とほやはなちたる 遺跡の松の緑なる
  17. 壽永じゅ江いの四年知章ともあきが 父に代りて討死の 石碑の苔の露深く 秋の長田の神社かみやしろ
  18. 田毎の穗なみ打なびく 頃は紅葉の禅昌ぜんしゃう寺 名所舊跡きぅせき残りなく めぐりて兵庫江きの前
  19. 日は鷹取の山のに なごりはつきぬかへり路や 走る電車はつかの間に 早や我家わがいへに着きにけり
  20. 語りて聞けん父母ちゝはゝに 語りて聞かせんはらからに 遊びて暮せし嬉しさを けふの一日ひとひの楽しさを