陬波私注

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『陬波御記文』の注釈書で、金沢文庫に所蔵されている。諏訪大明神にまつわる伝承や、諏訪社の七不思議、神宝（八叫の鈴、真澄鏡、唐鞍）などが簡潔に記されている。全海および「某」による写本が二冊現存しており、某本には「正和二年（1313年）十二月廿五日 写之」と記されているのに対し、全海本には「同三年（1314年）二月十七日 写之」「同年下春中旬 写之」との記載がある。このことから、全海は「某」の写本を書き写したものと考えられる。

一 大明神甲午仁有御誕生 甲午仁隱御身給フ

一 續旦（ソクタン）大臣ト申ハ大明神ノ叔父
御前自天竺御同道、大明神御躰ヲ隱サセ給シ御時
御裝束ヲ奉拔（ヌキ）著（キセ） 彼大臣給テ号御衣木（ミソキ）法理
我之躰以法理ヲ躰トセヨトハ誓給シ也

一 陬波ト申事〈ナミシツカナリトヨメリ〉
蝦蟆（カマク）神〈カエルノ事也〉成荒神惱天下時
大明神退治之御坐時四海靜謐之間陬波ト云〻 口傳在之

一 石御座ト申ハ
件蝦蟆神住所之穴通龍宮城
退治蝦蟆神彼穴ヲ以石ヲフタキテ
其上ニ坐シ給間者石御座申也 口傳在之

一 七不思議事
正月一日蝦蟆
寒氣御渡
正月十五日簡粥
葛井池御幣
高野（カノ）鹿耳切事
御作田
狩野麻生事

一 自天竺御具足事
八叫（ヤサカノ）鈴
真澄（マスミノ）鏡 于今不陰云〻
唐鞍

一 大宮ノ軒ノシタヽリ不絶事
是ニモ七不思議ト申異說

一 御衣木法理殿御實名者
有員云〻

正和二年十二月廿五日冩之