防災庁設置法
- 防災庁設置法をここに公布する。
令和八年七月十七日
法律第六十一号
防災庁設置法
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 防災庁の設置並びに任務及び所掌事務(第二条―第四条)
第三章 組織
第一節 通則(第五条)
第二節 防災庁の長及び防災庁に置かれる特別な職(第六条―第十二条)
第三節 防災庁に置かれる職(第十三条)
第四節 中央防災会議(第十四条)
第五節 施設等機関(第十五条)
第六節 防災局(第十六条)
第七節 雑則(第十七条)
第四章 雑則(第十八条・第十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、防災庁の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織に関する事項を定めることを目的とする。
第二章 防災庁の設置並びに任務及び所掌事務
(設置)
第二条 内閣に、防災庁を置く。
(任務)
第三条 防災庁は、次に掲げることを任務とする。
- 一 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条の二の基本理念(次号において「基本理念」という。)にのっとり、防災(災害予防、災害応急対策、災害復旧及び災害からの復興をいう。以下同じ。)に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けること。
- 二 基本理念にのっとり、防災に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ること。
(所掌事務)
第四条 防災庁は、前条第一号の任務を達成するため、行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事務をつかさどる。
- 一 防災のための施策に関する基本的な方針及び計画に関する企画及び立案並びに総合調整に関すること。
- 二 前号に掲げるもののほか、大規模な災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における当該災害への対処その他の防災のための施策に関する企画及び立案並びに総合調整に関すること。
- 三 関係行政機関が講ずる防災のための施策の実施の推進に関すること。
- 四 前三号に掲げるもののほか、防災のための施策に関する企画及び立案並びに総合調整に関すること。
2 防災庁は、前条第二号の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
- 一 災害対策基本法第二章に規定する防災に関する組織の設置及び運営並びに同法第二条第七号に規定する防災計画に関すること。
- 二 被災者の応急救助及び避難住民等(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第七十五条第一項に規定する避難住民等をいう。)の救援に関すること。
- 三 激
甚 災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)第二条第一項の激甚災害及び当該激甚災害に対し適用すべき措置の指定に関すること。 - 四 特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成八年法律第八十五号)第二条第一項の特定非常災害及び当該特定非常災害に対し適用すべき措置の指定に関すること。
- 五 被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)第三条第一項の被災者生活再建支援金の支給に関すること。
- 六 台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)第三条第一項の台風常襲地帯及び同法第二条第一項に規定する災害防除事業の指定に関すること。
- 七 活動火山対策特別措置法(昭和四十八年法律第六十一号)第二条第一項に規定する活動火山対策の総合的な推進に関する基本的な指針の策定並びに同法第三条第一項の火山災害警戒地域、同法第十三条第一項の避難施設緊急整備地域及び同法第二十三条第一項の降灰防除地域の指定に関すること。
- 八 大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号)に基づく地震防災対策に関すること。
- 九 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十四年法律第九十二号)に基づく地震防災対策に関すること。
- 十 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十六年法律第二十七号)に基づく地震防災対策に関すること。
- 十一 首都直下地震対策特別措置法(平成二十五年法律第八十八号)に基づく地震防災対策に関すること。
- 十二 東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年法律第百二十二号)第四条第一項に規定する復興推進計画の認定、同法第四十四条第一項に規定する指定金融機関の指定及び同項に規定する復興特区支援利子補給金の支給、同法第四十六条第一項に規定する復興整備計画の推進並びに同法第二条第三項に規定する復興推進事業及び同法第四十六条第二項第四号に規定する復興整備事業に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
- 十三 防災に関する関係行政機関の事務の調整及びこれに伴い必要となる当該事務の実施の推進に関すること。
- 十四 防災に関する技術の研究及び開発の推進並びにその成果の普及及び活用の促進に関すること。
- 十五 所掌事務に係る国際協力に関すること。
- 十六 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修及び研究を行うこと。
- 十七 前各号に掲げるもののほか、防災に関する施策に関すること(他の府省の所掌に属するものを除く。)。
- 十八 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき防災庁に属させられた事務
3 前二項の規定にかかわらず、第一項各号並びに前項第十二号から第十四号まで及び第十七号に掲げる事務のうち内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第一項第十八号に規定する原子力防災のみに係るものについては、防災庁の所掌事務としない。
第三章 業務等
第一節 通則
(組織の構成)
第五条 防災庁の組織は、任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を有する行政機関により系統的に構成され、かつ、防災に関する内閣の課題に弾力的に対応できるものとしなければならない。
2 防災庁は、内閣の統轄の下に、その政策について、自ら評価し、企画及び立案を行い、並びに内閣府、デジタル庁及び国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第一条の国の行政機関と相互の調整を図るとともに、その相互の連絡を図り、全て、一体として、行政機能を発揮しなければならない。
第二節 防災庁の長及び防災庁に置かれる特別な職
(防災庁の長)
第六条 防災庁の長は、内閣総理大臣とする。
2 内閣総理大臣は、防災庁に係る事項についての内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣とし、第四条第二項に規定する事務を分担管理する。
(内閣総理大臣の権限)
第七条 内閣総理大臣は、防災庁の事務を統括し、職員の服務について統督する。
2 内閣総理大臣は、防災庁に係る主任の行政事務について、法律又は政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、閣議を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、防災庁に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、防災庁の命令として防災庁令を発することができる。
4 防災庁令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。
5 内閣総理大臣は、防災庁の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。
6 内閣総理大臣は、防災庁の所掌事務について、命令又は示達をするため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。
7 内閣総理大臣は、第三条第二号の任務を遂行するため政策について行政機関相互の調整を図る必要があると認めるときは、その必要性を明らかにした上で、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求め、並びに当該関係行政機関の政策に関し意見を述べることができる。
(防災大臣)
第八条 防災庁に、防災大臣を置く。
2 防災大臣は、国務大臣をもって充てる。
3 防災大臣は、内閣総理大臣を助け、防災庁の事務を統括し、職員の服務について統督する。
4 防災大臣は、第四条第一項に規定する事務の遂行のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
5 防災大臣は、第四条第一項に規定する事務の遂行のため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、勧告することができる。この場合において、関係行政機関の長は、当該勧告を十分に尊重しなければならない。
6 防災大臣は、前項の規定により関係行政機関の長に対し勧告したときは、当該関係行政機関の長に対し、その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。
7 防災大臣は、第五項の規定により勧告した事項に関し特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、当該事項について内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。
(副大臣)
第九条 防災庁に、副大臣一人を置く。
2 防災庁に、前項の副大臣のほか、デジタル庁又は他省の副大臣の職を占める者をもって充てられる副大臣を置くことができる。
3 副大臣は、防災大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理する。
4 各副大臣の行う前項の職務の範囲については、防災大臣の定めるところによる。
5 副大臣の任免は、内閣総理大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。
6 副大臣は、内閣総辞職の場合においては、内閣総理大臣その他の国務大臣が全てその地位を失ったときに、これと同時にその地位を失う。
(大臣政務官)
第十条 防災庁に、大臣政務官一人を置く。
2 防災庁に、前項の大臣政務官のほか、デジタル庁又は他省の大臣政務官の職を占める者をもって充てられる大臣政務官を置くことができる。
3 大臣政務官は、防災大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する。
4 各大臣政務官の行う前項の職務の範囲については、防災大臣の定めるところによる。
5 大臣政務官の任免は、内閣総理大臣の申出により、内閣が行う。
6 前条第六項の規定は、大臣政務官について準用する。
(大臣補佐官)
第十一条 防災庁に、特に必要がある場合においては、大臣補佐官一人を置くことができる。
2 大臣補佐官は、防災大臣の命を受け、特定の政策に係る防災大臣の行う企画及び立案並びに政務に関し、防災大臣を補佐する。
3 大臣補佐官の任免は、内閣総理大臣の申出により、内閣が行う。
4 内閣総理大臣は、前項の申出をしようとするときは、防災大臣の意見を聴くものとする。
5 大臣補佐官は、非常勤とすることができる。
6 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十六条第一項、第九十八条第一項、第九十九条並びに第百条第一項及び第二項の規定は、大臣補佐官の服務について準用する。
7 常勤の大臣補佐官は、在任中、内閣総理大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。
(事務次官)
第十二条 防災庁に、事務次官一人を置く。
2 前項の事務次官は、防災大臣を助け、庁務を整理し、防災庁の各部局及び機関の事務を監督する。
第三節 防災庁に置かれる職
第十三条 防災庁には、その所掌事務の能率的な遂行のためその一部を所掌する職を置く。
2 防災庁には、前項の職のつかさどる職務の全部又は一部を助ける職を置くことができる。
3 前二項の職の設置、職務及び定数は、政令で定める。
第四節 中央防災会議
第十四条 防災庁に、防災に関して行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に資するため、内閣総理大臣をその長とし、関係大臣及び学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるための機関として、災害対策基本法(これに基づく命令を含む。)の定めるところにより、中央防災会議を置く。
第五節 施設等機関
第十五条 防災庁には、第四条第二項に規定する所掌事務の範囲内で、政令の定めるところにより、文教研修施設(これに類する施設を含む。)を置くことができる。
第六節 防災局
第十六条 防災庁に、地方機関として、防災局を置く。
2 防災局は、防災庁の所掌事務のうち、第四条第一項第二号から第四号まで及び第二項各号(第十六号を除く。)に掲げる事務の全部又は一部を分掌する。
3 防災局の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び組織は、政令で定める。
第七節 雑則
(政令への委任)
第十七条 前各節に定めるもののほか、防災庁の組織に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 雑則
(職員)
第十八条 防災庁に、防災事務官、防災技官その他所要の職員を置く。
2 防災事務官は、命を受け、事務をつかさどる。
3 防災技官は、命を受け、技術をつかさどる。
(国会への報告等)
第十九条 政府は、第十三条第三項又は第十五条の規定により政令で設置される組織(同項の規定により設置される第十三条第二項の職を除く。)その他これらに準ずる主要な組織につき、その新設、改正及び廃止をしたときは、その状況を次の国会に報告しなければならない。
2 政府は、少なくとも毎年一回防災庁の組織の一覧表を官報で公示するものとする。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、令和八年十二月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
- 一 附則第六条の規定 公布の日
- 二 第十六条の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
(所掌事務の特例)
第二条 防災庁は、第三条第二号の任務を達成するため、第四条第二項に規定する事務のほか、政令で定める日までの間、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構に関する次に掲げる事務をつかさどる。
- 一 次に掲げる事項の認可に関すること。
- イ 設立
- ロ 会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十八条第一項に規定する設立時取締役及び同条第三項第二号に規定する設立時監査役の選任及び解任
- ハ 取締役及び監査役の選任及び解任の決議
- ニ 定款の変更の決議
- ホ 合併、分割及び解散の決議
- 二 関係行政機関の事務の調整に関すること。
第三条 第四条第一項及び第二項の規定にかかわらず、復興庁が廃止されるまでの間は、同条第一項第二号及び第三号並びに第二項第十三号及び第十七号に掲げる事務のうち東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)からの復興に関するもの並びに同項第十二号に掲げる事務については、防災庁の所掌事務としない。 2 前条の規定にかかわらず、復興庁が廃止されるまでの間は、同条(第一号イ及びロ並びに第二号(第一号イ及びロに係る部分に限る。)を除く。)に掲げる事務については、防災庁の所掌事務としない。
(同意等に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前に法令の規定により内閣府の長である内閣総理大臣がした同意その他の行為(当該行為に係る権限がこの法律の施行後も内閣府の長である内閣総理大臣の権限とされるものを除く。)は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律の施行後の法令の相当規定により防災庁の長である内閣総理大臣がした同意その他の行為とみなす。
2 この法律の施行の際現に法令の規定により内閣府の長である内閣総理大臣に対してされている協議(当該協議に係る権限がこの法律の施行後も内閣府の長である内閣総理大臣の権限とされるものを除く。)は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律の施行後の法令の相当規定により防災庁の長である内閣総理大臣に対してされた協議とみなす。
(命令の効力に関する経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に効力を有する内閣府設置法第七条第三項の内閣府令(この法律の施行後に防災庁が所掌する事務に係るものに限る。)は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、第七条第三項の防災庁令としての効力を有するものとする。
(政令への委任)
第六条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
内閣総理大臣 高市 早苗
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