鐵道震害調査書/第一編/第三章/第二節/十一
十一 北條線湊川橋梁
構造概要 (附圖第七十一參照) 本橋梁は上總湊濱金谷間蘇我起點34哩56鎖72節の湊川に架設せる,全長985呎單線式にして,大正二年一月起工,同四年十月の竣工に係り,上路鈑桁徑間40呎及び60呎各9連より成る。橋梁上線路は水平直線にして,その方向南49度54分西なり。河床の地質は砂利層の下部に粘板岩層ありて,更にその下部に堅緻なる砂層あり。而して千葉方より北條方に向ひ地盤漸次良好となれるを以て,橋臺橋脚用基礎杭の長もこれに應じて21呎より12呎に減じ,或る箇所に對しては杭を省略せり。
兩橋臺及び橋脚15基(橋脚の總數17基)に對する基礎は杭打混凝土工にして,混凝土の調合割合はセメント1,砂3,砂利5,杭は末口6吋,長12呎,15呎,18呎及び21呎なり。尙橋脚第十五號及び第十六號2基の基礎に對しては杭を廢して混凝土工のみを施せり。軀體は橋臺橋脚とも煉化石積にして,モルタルの調合はセメント1,砂3の割合なり。橋脚はその斷面小判型にして,半圓形の部には安山岩の表裝を施し,鈑桁は鋼製にして設計荷重E33なり。
被害狀況 (附圖第七十一乃至第七十五並に寫眞第二百八十九乃至第二百九十九參照) 千葉方橋臺はバラス止に水平の龜裂を生じ1吋後退せるも,北條方橋臺は被害小にして僅に左右の翼壁各15面坪づゝ崩壞せるのみなり。
橋脚は17基中,第一號,第二號,第六號及び第八號乃至第十七號の13基は地表面(水底面)附近に於て略々水平に切斷し,第三號及び第五號の2基はそれぞれ笠石及び床石下面に水平の龜裂を生じ,第四號及び第七號の2基は無事なり。尙橋脚は何れも多少沈下せざるはなく,又その中心線の移動を免るゝ能はざりしこと第二十三表及び附圖第七十一に示すが如し(第二十三表には沈下の調査を缺く)。
鈑桁は墜落せるものなかりしも,橋臺及び橋脚上の桁座に對する位置及びその相互の關係的位置には多少の變動を生ぜり(附圖第七十一乃至第七十五參照)。