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鐵道震害調査書/第一編/第三章/第二節/八

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  八 東北本線荒川橋梁

  構造概要  (附圖第六十五參照) 本橋梁は赤羽川口町間上野起點6哩68鎖71節に位し,上り線總延長3,034呎614吋,下り線總延長3,033呎434吋にして,上野方橋臺より舊局型50呎上路鈑桁上下2線竝列各38連,ポニー式複線下路ワーレン型構桁94呎4吋4連,次に舊局型50呎上路鈑桁上下2線竝列各10連を架す。橋梁上線路は水平直線にして,その方向は約北15度東なり。

 橋臺及び橋脚の軀體工は煉化石積にして,隅及び水切には石材を使用し,鈑桁に對する橋脚は上下線相密接して全く一體として築造せられ,その形狀は砲彈形なり。上り線用橋脚の基礎は杭打混凝土工なれども下り線には杭を省略せり。構桁の橋脚は複線用にして基礎には2個の圓形井筒を用ひ,兩井筒に拱を架し軀體は一體となせり。而して下り線竝に上下共用複線構桁に對するものは日本鐵道會社時代に築造せられ,その他の上り線に對するものは國有後に築造せられたるものなり。

  被害狀況  (附圖第六十五乃至第六十七並に寫眞第二百七十九乃至第二百八十四參照) 橋臺及び橋脚は上下兩線とも全部多少沈下或は傾斜せざるはなく(第二十二表參照),第十七號橋脚より第三十六號橋脚に至るまで上下兩線用とも總て川上方(杭打を省ける側)に傾斜し,就中最も甚しきは第三十四號,第三十五號及び第三十六號橋脚にして,床石面に於ける最大沈下それぞれ4.9呎,5.2呎及び4.1呎に達せり。

 第三十八號橋脚(構桁用)は約1呎沈下せるも他に異狀なし。第三十九號橋脚(構桁用)は約1呎沈下し,且兩脚部とも井筒上端より約5呎の上方に於て水平に龜裂を生じ,これを境として上下兩部全く切斷され,下部は上部に對しその周圍に於て約2吋孕出し,又拱環の煉化石剝落せり。第四十號橋脚(構桁用)は川下方(脚部)に井筒上端より約1呎の上部に於て水平に龜裂を生じたり。尙鈑桁に對する橋脚中,恰も泥中の杭を左右に動かしたる跡の如く,その下部地面と接する線に沿ひて地盤に溝を生じたるものあり。即ち第七號及び第八號橋脚はその大宮方にそれぞれ幅1吋及び312吋の溝を生じ,又第九號橋脚はその周圍に亘り幅2吋の溝を生じたり。

  應急工事  (附圖第六十七及び寫眞第二百八十四參照) 傾斜せる鈑桁用橋脚の前後は枕木にて枠を組立てゝ鈑桁を支へ,又構桁用橋脚は龜裂又は剝落せる部分を混凝土にて捲き,この際使用せる角材製型枠はその儘存せしめたり。(寫眞第二百八十四參照)