通商産業省年報/昭和26年度

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VII 通商機械局[編集]

一、施策概要[編集]

二十六年度における機械工業の生産水準は、朝鮮動乱の発生以後描き出された急速調な上昇カーブも年度初頭(五月)を境に一段落を画したため、全体としては概ね横這いの状況を呈した。これは特需の漸減、輸出の停滞その他一般的な内外景気の中だるみ傾向によるほか、わが国機械工業自体の国際競争力の弱さに負うところが少なくなかった。とりわけ重機機械部門においては、国際競争力の弱さが致命的な障害となって、戦後機械工業の活路として期待されているプラント輸出市場の開拓が、遅々として進まなかったばかりでなく、国内市場の中ですら、近代化設備投資の活発化に伴って、増大する輸入需要の圧迫に直面しなければならなかったのである。

このような情勢のもとで、機械工業の生産基盤を強化し強靭な国際競争力を打ち立てるためには、何よりもこの工業自体の側で、設備の近代化と生産技術の向上とを中心とする諸般の合理化策を推進すべきことは言うまでもない。二十六年度においても前年度に引き続き、企業行政及び生産技術行政の両面から種々の指導、助長行政施策が実施されたのであるが、就中特筆に当たるものとして重要機械部門十九社に対する開発銀行融資(合計七億五千三百万円)の斡旋、企業合理化促進法その他による税法上の優遇措置等を挙げることができよう。その結果、動乱発生後の企業々績の好転と相俟って重要機械の輸入、外国技術の導入、品質管理の普及、試験研究の実施等も漸次活発化し、この工業の合理化がかなりの進展を遂げたことが注目される。

しかしながら、重機械価格の顕著な割高傾向によって、最も集中的に表現されるわが国機械工業の国際競争力の弱さは、単にこの工業内部の事情に基づくのみならず、競争相手国のそれに比して著しく不利な原材料、金利、為替、その他の外的諸条件に起因するところが大きいのであって、プラント輸出を促進し重機開発業の速やかな振興を図るためには、この面からの対策を強力に推進することが極めて重要である。二十六年度においては、(1)輸出向けプラント生産用鉄鋼の値引き(2)輸出信用保健制度の拡充(3)長期延払等の方法による支払条件のための為替長期予約、為替損失補償等(4)海外紹介宣伝(5)東南アジア諸国との親善促進等、プラント輸出振興のための諸施策が検討され、その一部は既に年度中に実施に移されたが、問題の根本的解決はなお今後に俟たなければならない。

以上が、二十六年度の通商機械局におかえる、通商産業の振興に関する一般的な指導、助長行政施策の方向であったが、その他の特記すべき主要施策を挙げれば次の通りである。

底本[編集]

通商産業省大臣官房調査課 通商産業省年報 昭和26年度 1951年