踏切り番の薔薇の花

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本文[編集]

踏切り番の薔薇の花
萩原恭次郎

踏切り番の薔薇の花が
役所通ひの洋服の胸のボタン
KISSされた

鋭いナイフピストルが飛び出して
自転車が走つて来て投り出された
帽子を踏みこはしながら
夏の賞与があたり一めん飛んだ
人間が一度に二匹死んで
一匹は檻に入れられた

——汽車は一秒をまちがはずに走つて行く
▲客は新聞でそれを読んでゐる
▲隣りの薔薇を眺めつゝ
——汽車は一秒をまちがはずに走つて行く

解題[編集]

作者:萩原恭次郎

底本:萩原恭次郎『死刑宣告』日本図書センター〈愛蔵版詩集シリーズ〉(2004年3月25日初版第1刷発行) ISBN 978-4-8205-9599-1

表記について:旧仮名遣いは初版本(1925年10月18日発行、長隆舎書店)のまま、漢字は常用漢字に改めてある。