蜂の書/第30章
蜂の書
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第30章
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アダムとエバが楽園から出て行ったとき、アダムは、自分が二度と元の場所に戻れないことを知っているかのように、善悪の木、すなわちイチジクの木から枝を切り取り、それを持って出て行った。そしてそれは生涯、彼の杖として役立った。アダムの死後、当時はまだ武器がなかったため、彼の息子セツがそれを得た。この杖はノアの手から手へと受け継がれ、ノアからセムへと受け継がれ、そしてそれは神の楽園からの祝福された物としてセムからアブラハムへと受け継がれた。この杖でアブラハムは父が造った像や偶像を打ち壊したので、神は彼に「父の家から出て行きなさい」などと言った。それはエジプトに至るまで、またエジプトからパレスチナに至るまで、あらゆる国で彼の手にあった。その後、イサクがそれを取り、イサクからヤコブへと受け継がれた。彼はそれを用いてパダン・アラムでアラム人ラバンの羊の群れを養った。ヤコブの後、彼の四番目の息子ユダがそれを受けた。これはユダが自分の仕事に対する報酬として、自分の指輪とナプキンと共に嫁のタマルに与えた杖である。彼からペレツへ(それは)渡された。そのころ、あちこちで戦争が起こり、天使がその杖を取り、モアブの山地にある宝の洞窟に、ミディアンが建設されるまで置いておいた。ミディアンに、神の前に正しく公正な人がいた。ヤテロ(エテロ)という名の男がいた。彼が山で羊の群れを養っていたとき、洞窟を見つけ、神の導きによって杖を取り、老齢になるまでそれで羊を養った。彼が娘をモーセに与えたとき、モーセは彼に言った、「息子よ、中に入って杖を取り、あなたの群れのところへ行きなさい」。モーセが戸口に足を踏み入れると、天使が杖を動かした。すると杖は自らの意志でモーセの方へ伸びてきた。モーセはその杖を取り、神がシナイ山でモーセに語りかけるまで、それは彼と共にありました。神がモーセに「杖を地に投げよ」と命じると、モーセはそうした。すると杖は大きな蛇になった。主は「それを取りなさい」と命じられ、モーセはそうした。すると杖は最初の杖と同じになった。
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これは神が助けと解放のためにモーセに与えた杖である。それは奇跡を起こし、これによってモーセがイスラエルをエジプト人の圧制から救い出すためであった。生ける神の意志により、この杖はエジプトで蛇となった。神はこれによってモーセに語り、それはエジプト人の呪術師ポスディの杖を呑み込んだ。モーセはこれでソフの海を縦横に打ち、深淵は海の真中で固まった。アシモンの荒野で、それがモーセの手にあり、彼がそれで岩を打つと、水が流れ出た。それから神は蛇にイスラエルの子らの上に権力を与え、彼らを滅ぼさせた。彼らが争いの水で神を怒らせたからである。モーセは主の前に祈り、神は彼に言われた。「青銅の蛇を造り、杖でそれを掲げよ。イスラエルの人々がそれを見ると癒される。」モーセは主が命じられたとおりにし、荒野にいるイスラエルのすべての人々の目の前にその青銅の蛇を置いた。彼らはそれを見ると癒された。ヌンの子ヨシュアとヨパンナ(エフネ)の子カレブを除くすべてのイスラエルの人々が死んだ後、彼らは約束の地に入り、ペリシテ人とアマレク人との戦いに備えて杖を携えて行った。そしてピネハスはその杖を砂漠のエルサレムの門の土の中に隠した。それは私たちの主キリストが生まれるまでそこにあった。そして神は、その神性の意志により、マリアの夫ヨセフに杖を示された。ヨセフが主とマリアと共にエジプトへ逃れた時、その杖は彼の手に握られ、ナザレに戻るまでそこにあった。ヨセフからは、主の兄弟と呼ばれた息子ヤコブがそれを取り、盗人であったイスカリオテのユダがヤコブから盗んだ。ユダヤ人たちが主を十字架につけたとき、彼らには主の武器となる木材が足りなかった。そこでユダは邪悪にも彼らに杖を与えた。それは彼らにとっては裁きと倒れとなったが、多くの人々にとっては反乱となった[2]。モーセには二人の息子が生まれた。一人はゲルショムと呼ばれ、「寄留者」と訳され、もう一人はエリエゼルと呼ばれ、「神は私を助けた」と訳される。モーセの誕生から52年後、ヌンの子ヨシュアがエジプトで生まれた[3]。モーセが80歳のとき、神はシナイ山で彼と話しました。
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エジプト人の抑圧の激しさを知ったイスラエルの子らは、叫び声をあげて神のもとに上った。神は彼らの嘆きを聞き、先祖アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い出し、彼らの子孫によってすべての国民が祝福されると約束された。ある日、モーセが、義父でありミディアンの祭司であるエテロの羊の群れを飼っていたとき、彼と羊たちは荒野から神の山ホレブ山へ向かった。すると、主の使いが柴の中の燃える炎の中に現れたが、柴は燃えていなかった。モーセは言った。「私は立ち寄って、この不思議な事を見てこよう。柴の中で火が燃えているのに、柴は燃えていないのはなぜか。」神はモーセが立ち寄って見ようとしているのを見て、柴の中から彼を呼んで言われた。「モーセよ、モーセ。」モーセは言った。「主よ、ここにおります。」神は彼に言われた。「ここに近づいてはならない。あなたが立っている場所は聖なる場所である。」神はモーセに言われた。「わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」モーセは顔を覆った。神を見るのが怖かったからである。ある人たちは、神がモーセに語ったとき、モーセは恐怖のあまりどもってしまったと言う。主は彼に言われた。「わたしはエジプトでわたしの民が虐げられているのを見、彼らの叫び声を聞いた。そこでわたしは、彼らをエジプト人から救い出し、あの国から乳と蜜の流れる地へ連れ上るために下って来た。さあ、わたしはあなたをエジプトへ遣わそう。」モーセは言った。「主よ、わたしは何者でしょう。ファラオのもとへ行って、イスラエルの家をエジプトから連れ出さなければならないのですか。」神は彼に言われた。「わたしがあなたと共にいる。」モーセは主に言った。「もし彼らがわたしに、『主の名前は何というのですか』と尋ねたら、何と答えたらよいでしょうか。」神は言われた。「אֶהְיֶה אֲשֶׁר אֶהְיֶה、{ヘブライ語:AeHøYeH AaSheR AeHøYeH} すなわち、あなたがたの先祖の神である方が、わたしをあなたがたのところにつかわされた。これはとこしえにわたしの名、わたしの記念である。」神はモーセに言われた。「行って、わたしがあなたに言うことをすべてファラオに告げなさい。」モーセは主に言った。「わたしの舌は重く、どもっています。どうしてファラオはわたしの言葉を受け入れるでしょうか。」神はモーセに言われた。「見よ、わたしはあなたをファラオの神とし、あなたの兄弟アロンをあなたの預言者とした。あなたはアロンに語りなさい。アロンはファラオに語り、ファラオはイスラエルの人々を去らせてわたしに仕えさせるであろう。わたしはファラオの心をかたくなにし、エジプトの国で奇跡を行い、わたしの民イスラエルの人々をそこから導き上る。こうしてエジプト人はわたしが神であることを知るようになる。」
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こうしてモーセとアロンは神が彼らに命じられたことをすべて行った。 神がモーセをエジプトに遣わしたとき、モーセは83歳でした。神はモーセに言いました。「もしファラオがあなたにしるしを求めるなら、あなたの杖を地に投げなさい。そうすれば、それは蛇になるであろう。」モーセとアロンはファラオのところに行き、モーセの杖を投げ捨てると、それは蛇になった。エジプトの魔術師たちも同様のことをしたが[4]、モーセの杖は魔術師たちの杖をのみ込んだ。そのため、ファラオの心はかたくなになり、民を去らせなかった。そこで神はモーセの手によって十のしるしを行われた。第一に、水を血に変えること、第二に、水の上に蛙を起こすこと、第三に、ぶよを支配すること、第四に、あらゆる種類の毒のある生き物、第五に、家畜に疫病が起こること、第六に、腫れ物の災害、第七に、雹が降ること、第八に、イナゴが生まれること、第九に、暗闇が降りること、第十に、長子が死ぬこと。神がエジプトの長子を殺そうとしたとき、モーセに言われた。「この日はあなたにとって月の最初の日、すなわちニサンと新年となる。」この月の10日に、各人はそれぞれ自分の家のために子羊を一頭、父の家のために子羊を一頭取りなさい。もし子羊が一頭足りない場合は、近所の人と分け合いなさい。子羊はこの月の14日まで取っておき、イスラエルの人々は皆、日没時にそれを屠り、その血を家の敷居に振りかけて十字架の印をつけなさい。この血はあなたたちにとって救いの印となる。わたしはそれを見て、あなたたちを喜ぶ。そして、滅ぼす者、死は二度とあなたたちを支配しないであろう。」モーセとアロンはこれらのことをすべてイスラエルの人々に告げた。主は彼らに朝まで家から出ないように命じられた。「主はエジプト人を過ぎ越し、彼らの初子を撃つであろう。そして敷居の上の血を見て、滅ぼす者が彼らの家に入ることを許さないであろう。」真夜中になると、主はエジプト人の初子を、王座に座するファラオの初子から最後の一子に至るまで殺された。そこでファラオはモーセとアロンに人をやって言った、「私の民の中から立ち去り、あなたがたが言ったとおり、行って主に仕えなさい。そしてあなたがたの財産と家財を携えて行きなさい」。
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エジプト人も死を恐れて、イスラエルの民に自分たちの中から出て行くよう迫った。イスラエルの民はエジプト人に金銀の鎖や高価な衣服を求め、それを奪い取った。主は彼らにエジプト人の目に好意を与えられた。イスラエルの民はラメセスからスコテに向けて出発し、六十万人がエジプトに入った。ヨセフの時代にエジプトに入った時、その数は七十五人であった。彼らは四百三十年間、肉体的にも精神的にも従順な状態に留まった。神がアブラハムに「あなたの子孫はエジプトの地に寄留するであろう」と言われた日から、彼らは心の中で抑圧されていた。民は帰還を条件にエジプトを出たが、帰還しなかったので、ファラオは彼らを追って自分の奴隷状態に連れ戻そうとした。彼らはモーセに言った。「なぜ私たちをエジプトから連れ出したのですか? エジプト人に奴隷として仕え、ここで死ぬよりましだったのだ。」モーセは言った。「恐れるな。神が今日、あなたたちのために成し遂げてくださる救いを見よ。」主はモーセに言われた。「杖を上げて海を打ちなさい。イスラエルの子らが陸地を渡るように渡れるように。」モーセが海を打つと、海は左右に分かれ、イスラエルの子らは陸地を渡るように海の深みを渡った。ファラオとその軍勢が彼らの後を追って入って来たとき、モーセは杖を海の上に引き戻すと、水は元の場所に戻り、エジプト人は皆溺れてしまった。モーセはイスラエルの人々に賛美の歌を歌うように命じ、「その時、モーセとイスラエルの人々は歌った」(出エジプト記15章1節)。
イスラエルの子らは三日間荒野を行軍し、水の苦さからムラト(マラ)と呼ばれる場所に着いたが、人々はその水を飲むことができなかった。彼らは声を張り上げてモーセに不平を言い、「何を飲めばよいのか」と言った。モーセは神に祈り、本質的に苦いアブサンの木[5]を取って水に投げ込むと、水は甘くなった。そこで主は彼らに律法と裁きを教えられた。
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彼らはそこから出発し、第二の月、すなわちイヤールの15日に、12の井戸と70本のヤシの木[6]のある場所に着いた。ダド・イショーは楽園の解説[7]の中で、かつてモーセに敵対した魔術師ヤンネスとヤンブレスがそこに住んでいたと述べている。その場所には井戸があり、その上に手桶と真鍮の鎖が掛けられていた。そこは楽園のようだったので、悪魔もそこに住んでいた。祝福されたマカリス(マカリウス)がその場所を訪れたが、悪魔たちの邪悪さのためにそこに住むことができなかった。しかし、まるで誰もそこに住むことができないかのように、人類に対して誇り高ぶることがないように、神は誰も名前を知らない二人の隠者に命じ、彼らは死ぬまでそこに住んだ。イスラエルの子らはその荒野を見て、モーセに不平を言った。「エジプトでパンに満たされて死んだ方が、この乾燥した砂漠に出て来てこの民が飢え死にするよりはましだった。」すると神はモーセに言った。「見よ、わたしはあなたたちのために天からマナを降らせよう。昼は雲が太陽の熱からあなたたちを覆い、夜は火の柱があなたたちの前を照らす。」神はモーセに言われた。「あなたとあなたの兄弟アロンとナダブと、イスラエルの子らのうちから選ばれた七十人の長老は、この山に登り、遠くから礼拝しなさい。モーセはひとりでわたしに近づきなさい。」彼らは主が命じられたとおりにしたので、モーセはひとりで近づき、残りの長老たちは山のふもとに留まった。神はモーセに戒めを与えた。
モーセは主の言葉を民に告げ知らせた。民は皆声を揃えて答えて言った。「主が私たちに命じられることは、みな行います。」モーセはヒソプで血を取り、それを民に振りかけて言った。「これは契約の血である。」神はモーセに言われた。「イスラエルの人々に言いなさい。金、銀、青銅、紫の物、その他、律法に記されているすべてのものをわたしのために聖別し、わたしのために幕屋を造らせなさい。」神はまた、その造り方をモーセに示して言われた。「アロンとその子らはわたしの祭司となり、わたしの祭壇と聖所に仕えさせなさい。」神は二枚の石の板に十戒を書き記した[8]。それは次のとおりである。
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「あなたは自分のために、偶像や似姿を造ってはならない。偽りの誓いをしてはならない。安息日を守り、父母を敬いなさい。殺人をしてはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。偽りの証言をしてはならない。隣人や兄弟の家をむさぼってはならない。親族や隣人の妻、またその召使いやはしためをむさぼってはならない。」イスラエルの子らは、モーセが山にとどまっているのを見て、アロンのもとに集まり、彼に言った、「立って、私たちのために先頭に立つ神を造ってください。私たちはあなたの兄弟モーセがどうなったのか知らないのですから」。アロンは彼らに言った、「あなたがたの妻や子供たちの耳に着けている耳輪を持ってきなさい」。彼らがそれらをモーセのもとに運ぶと、モーセはその中から子牛を投げ出し、民に言った。「イスラエルよ、これがあなたをエジプトから導き出したあなたの神である。」彼らは祭壇を築き、イスラエルの人々はそこに犠牲を捧げた。神はモーセに言った。「民のところへ下りなさい。彼らは堕落したのだ。」モーセは民のところに戻った。彼の手には、神の指によって十戒が記された二枚の石板があった。モーセは民が誤った戒律を犯したのを見て怒り、石板を山の斜面に打ち付けて砕いた。
モーセは子牛を連れて来て、やすりで削り、火の中に投げ込み、その灰を水に投げ入れ、イスラエルの人々にその水を飲むように命じた。モーセはアロンの行いを責めたが、アロンは言った。「あなたは、この民が頑固であることを知っている。」それからモーセはレビの人々に言った。「主はあなたがたに命じておられる。罪を犯した者のうち、兄弟や隣人を一人ずつ殺しなさい。」その日、三千人が殺された。モーセは再び山に登ったが、砕いた石の板の代わりに二枚の石の板を携えて行った。彼は山に留まり、さらに四十日間断食し、神に民の罪を赦して下さるよう祈り、嘆願した。モーセが戒めの書かれた他の二枚の石板を持って山から下りてきたとき、彼の顔の皮膚は輝き、イスラエルの人々は、その輝きと光に満たされた彼の顔を見ることができず、彼を恐れた。彼が人々のところに来ると、彼はナプキンで顔を覆い、神と話すときは顔を覆わなかった。
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モーセは、義父であるミディアン人レウエルの息子フルに言った。「私たちは神が与えると約束された地へ行きます。私たちと一緒に来てください。私たちはあなたに良いことをしてあげましょう。」しかし、彼は聞き入れず、ミディアンに帰って行った。そこでイスラエルの人々は、自分たちの住む場所を用意するために道を進み、声を張り上げて叫んだ。神はそれを聞いて怒り、火が彼らの周りを回り、彼らの陣営の周囲を焼き尽くした。
彼らはモーセに言った。「私たちの魂はこの荒野で衰え果てています。エジプトの食物、魚、キュウリ、メロン、玉ねぎ、ニラ、ニンニクを思い出します。しかし今は、目の前にあるこのマナのほかに何も残っていません。」マナはコリアンダーの種のようで、彼らはそれを挽いて平らな菓子を作りました。その味は油を塗ったパンのようでした。主は、民がそれぞれ自分の天幕の入口で泣いている声を聞かれ、心を痛められました。モーセは主の前に祈って言いました。「なぜ私はあなたの恵みを得られないのですか。なぜあなたはこの民の重荷を私に負わせるのですか。私が彼らを産んだのですか。私を殺してください。それともあなたの恵みを得させてください。」神はモーセに言われた、「イスラエルの人々の長老七十人を選び、幕屋に集めなさい。わたしは下って行って、あなたと語ろう。わたしは、あなたの内にある霊と力とを取って、彼らに授ける。彼らはあなたと共に民の重荷を負う。あなたはひとりでそれを負うことはない。」モーセは彼らに言った。モーセはイスラエルの人々の中から七十人の長老を集めた。主は雲のうちに降って彼らと語られ、モーセにある霊と力とを取って、彼らに授けられた。彼らは預言した。しかし、七十人の中で名が記されていた二人の長老は宿営に残ったまま、来なかった。一人の名はエルダド、もう一人の名はメダドといった。彼らも幕屋で預言した。一人の若者が来てモーセに告げた。すると、モーセの弟子であるヌンの子ヨシュアが彼に言った。「わが主よ、彼らを止めてください。」モーセは言った。「ねたんではならない。イスラエルの子らが皆預言者であったらよかったのに。神の霊が彼らに臨んだのだから。」
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モーセはイスラエルの子らに言った。「あなたがたが泣いて肉を求めたので、見よ、主はあなたがたに肉を与えて食べさせるであろう。一日でも二日でも五日でも十日でもなく、一ヶ月間食べなければならない。それがあなたがたの鼻から出て、あなたがたが吐き気がするようになるまで。」[9]モーセは(主に)言った。「私が共にいるこの民は60万です。あなたは彼らに一か月の間、肉を与えると約束されたのですか。私たちが羊や牛を屠っても、彼らには足りません。海の魚を全部集めても、彼らを満足させることはできません。」主はモーセに言われた。「主の手が(このことを)起こすであろう。見よ、あなたはそれが起こるかどうかを見るであろう。」神の命により、風が吹いて海からウズラを運び上げ、ウズラはイスラエルの人々の陣営の周囲に一日の行程ほどの範囲に集められ、その積み重ねは二キュビトの深さになった。イスラエルの人々はそれぞれ約10コルを集め、それを天幕の入口の前に広げた。主は彼らに怒り、彼らを撃って死なせたので、多くの者が死んだ。そしてその場所は「欲望の墓場」と呼ばれていました。
彼らはそこから出発し、ハセロテと呼ばれる場所へ行った。アロンとミリアムは、モーセがめとったクシュ人の女のことで、モーセに憤慨して言った。「神はモーセだけに語られたのですか。見よ、私たちにも語られたのです。」モーセはすべての人よりも柔和であった。神はミリアムとアロンの言葉を聞き、雲の柱のうちに降りて幕屋の入口に立ち、彼らを召されたので、彼らは神のもとに出てきた。主は彼らに言われた。「私があなたたちに言うことを聞きなさい。私は隠れたところで、あなたたちに自分を現したが、あなたたちは夢で預言した。しかし、私のしもべモーセの場合はそうではない。彼はすべてのことに信頼されている。私は彼と口と口で語るのだ。」主は彼らに向かって怒り、雲は幕屋から取り去られた。ミリアムはらい病にかかって、雪のように白くなった。アロンは彼女がらい病人であるのを見て、モーセに言った。「どうか、私たちがあなたに対して犯した罪を見ないでください。」モーセは神に懇願して言った。「ああ、主よ、どうか彼女を癒してください。」神はモーセに言った。「もし彼女の父親が彼女の顔につばきをしたなら、彼女は七日間、宿営の外で一人で夜を過ごし、それから戻ってくるのが正しかったであろう。」こうしてミリアムは七日間宿営の外で過ごし、その後清められた。
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神はモーセに言われた。「部族ごとに一人ずつ偵察兵を遣わし、約束の地を探らせよ。」モーセは十二人を選び、その中にはヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブがいた。彼らは出かけてその地を探り、その地の産物であるぶどう、いちじく、ざくろを携えて帰ってきた。斥候たちは来て言った。「我々は彼らに対抗する力がありません。彼らは勇士ですが、我々は彼らの目にはみじめなイナゴのようなものです。」イスラエルの人々はモーセとアロンのもとに集まり、声をあげて大いに泣き叫んで言った。「なぜ我々は主の手にかかって荒野やエジプトで死ななかったのか。なぜこの地に来て妻子と共に死ななかったのか。諸国の民の物笑いとなり、嘲りとされなかったのか。」ヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブは民に言った。「恐れることはない。我々は彼らに立ち向かおう。主は彼らを我々の手に引き渡されるであろう。そして、主が我々に言われたとおり、我々はその地を受け継ぐであろう。」イスラエルの人々は互いに言った。「さあ、我々に指導者を立ててエジプトに帰ろう。」モーセとアロンは民の前にひれ伏した。ヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブは衣服を引き裂き、イスラエルの人々に言った。「我々が探り出した地は豊かな地で、乳と蜜の流れる地です。神はそれを我々に与えてくださるのです。神を怒らせてはいけません。」イスラエルの人々は集まって、彼らを石で打ち殺そうとした。すると神は幕屋の上の雲の中に、イスラエルの人々の目の前で公然と現れ、モーセに言われた。「いつまで彼らは私を怒らせるのか。わたしが彼らの間で行ったすべての奇跡を、いつまで彼らは信じないのか。わたしが彼らを打とう。そうすれば、あなたを彼らよりも強い民の長としよう。」モーセは主に言った。「全能の神、主よ。エジプト人は聞いて、『あなたはあなたの力によって、あなたの民を彼らの中から導き出された』と言うでしょう。しかし、あなたが彼らを打つと、彼らは『神は約束された地を彼らに継がせることができなかったので、荒野で彼らを殺したのだ』と言うでしょう。」「主なる神よ、あなたはこの民の中に住まわれ、彼らはあなたと目を合わせて見ており、あなたの光はいつも彼らとともにあり、あなたは夜には光の柱となって彼らの前に進み、昼は雲で彼らを覆います。
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今、あなたの慈悲によってあなたの民の罪を赦してください。エジプトからこの地に至るまで、彼らの罪を赦されたように。」神はモーセにこう言われました。「イスラエルの子らに告げなさい。ああ、邪悪な国民よ。わたしはあなたがたの語った言葉をすべて聞いた。そして、あなたがたの望むとおりにあなたがたに行う。この荒野にあなたがたの屍は倒れる。あなたがたの家族と子孫、善悪を知る者二十歳以下の者は皆、この荒野に入る。しかし、エフネの子カレブとヌンの子ヨシュア以外は、そこに入ることはできない。あなたたちの子孫は、あなたたちがその地を探った日数に応じて、あなたたちの死体が朽ち果てるまで、四十年間この荒野にとどまるであろう。あなたたちの罪の報いとして、一日ごとに一年が与えられるからである。」 ヌンの子ヨシュア、エフネの子カレブと共にその地を探った偵察兵たちは、ヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブを除いて、たちまち死んでしまった。これは民にとって非常に悲しいことであった。イスラエルの人々はモーセに言った。「見よ、私たちは神が約束された地に上って行こうとしている。」モーセは彼らに言った。「神はあなたたちから顔を背けられた。あなたたちは自分の場所から立ち去ってはならない。」彼らはモーセに聞き従わず、モーセと幕屋を伴わずに山の頂に登った。すると、そこに住んでいたアマレク人とカナン人が出てきて彼らを迎え撃ち、敗走させた。神はモーセに言われた。「イスラエルの人々が約束の地に入るとき、彼らは供え物として上等の小麦粉と油とぶどう酒をささげなければならない。」そこで、ザハル(イツハル)の子コラ、エリアブの子ダタンとアビラム、そして彼らの家族、二百五十人の男たちがイスラエルの人々から分かれてモーセのもとに来て、モーセに聞かせ、彼を悩ませた。モーセは主の前にひれ伏して言った。「明日、神が選ばれる者が皆分かるであろう。私があなたたちにしてやったことは、主の前に仕えながら、祭司職までも求めなければならないということだけでは、十分ではないのか。」モーセは神に言った。「神よ、彼らの供え物を受け取らないでください。」モーセは彼らに言った。「あなたたちはそれぞれ手に香炉を取り、その中に火と香を入れなさい。」その日、二百五十人の男たちが香炉を手に主の前に立っていた。
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主はモーセにこう言いました。「民から離れなさい。わたしは彼らをすぐに滅ぼす。」そこでモーセとアロンはひれ伏して主に言った、「あなたは、ひとりの人が罪を犯したために、これらすべてを滅ぼされるのですか」。神はモーセに言われた、「イスラエルの人々に、コラとその仲間の天幕の周りから離れるように告げなさい」。モーセは神が自分に言われたことをすべて民に告げたので、民はコラの天幕から遠ざかった。するとコラとその家族は、妻子とともに出て来て、それぞれの天幕の入口に立った。そこでモーセは彼らに言った、「もし神が私をつかわされたのなら、地は口を開いて彼らを呑み込んでください。しかし、私が自分の意志で来たのなら、彼らはすべての人と同じように自然死にしてください」。その言葉がまだ彼の口にあるうちに、地は開いて、彼らと、彼らと共にいた人々を、人から家畜に至るまで呑み込んでしまった。そして彼らの仲間は恐れに襲われた。彼らの香炉から火が燃え上がり、二百五十人を焼き尽くした。モーセはエレアザルに言った。「彼らの香炉を取り、鋳て記念とせよ。それらは、そこに落ちた火によって聖別されたものだからである。アロンの家系の者以外は、香炉を手に取ることのないように。」
イスラエルの人々はモーセとアロンのもとに集まり、彼らに言った。「あなたたちは主の民を滅ぼしました。」神は幕屋でモーセとアロンに言われた。「彼らから離れていなさい。わたしは彼らをたちまち滅ぼします。」モーセはアロンに言った。「香炉を取り、その中に火と香を入れ、民のところへ行きなさい。神が彼らの罪を赦してくださるように。主の御前から彼らに対する怒りが出たからです。」アロンは香炉に香を入れ、急いで民のところへ行った。そして、死が容赦なく民を滅ぼすのを見た。しかし、彼は自分の香炉で生者と死者を分けたので、疫病は彼らに及ばなかった。そのとき、疫病によって滅ぼされたイスラエルの人々の数は、コラの子らと共に死んだ者を除いて一万四千七百人であった。アロンはモーセのもとに戻った。神はモーセに言われた。「イスラエルの人々は部族ごとに杖を一本ずつ集め、その杖に部族の名を書き、レビの部族の杖にはアロンの名を書き記せ。主が選ばれる人の杖には花が咲くであろう。」
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彼らは神が命じられたとおりにし、その日のうちに杖を取り、幕屋に置いた。翌日、モーセは幕屋に入り、レビの家の杖が芽を出し、アーモンドの実をつけているのを見た。モーセはすべての杖をイスラエルの人々のもとに持ち出し、レビの子らは主の前に祭司職の務めを果たすために聖別された。
イスラエルの人々がシンの荒野に来たとき、モーセとアロンの妹ミリアムが死んだので、彼らは彼女を葬った。そこには彼らの飲む水がなかった。イスラエルの人々はモーセに不平を言って言った。「ああ、私たちはみな、すでに死んだ人々と共に死に、家畜や財産と共に、ここに来て死ななければよかったのに。なぜ主は私たちをエジプトから導き出し、ざくろもぶどうもないこの荒野に来させたのですか。」モーセとアロンは幕屋に行き、主の前にひれ伏した。主は彼らに言われた。「イスラエルの人々を集めなさい。モーセは杖で岩を打て。すると水が出て、民は皆飲むであろう。」モーセはその水を「争いの水」と呼んだ。イスラエルの民はモーセとアロンのもとに集まり、彼らに対して不平を言って言った。「なぜ、私たちをこの荒野に連れ出して、渇きと飢えで死なせようとするのか。」主は彼らに怒り、蛇を彼らに送られたので、多くの民が蛇のせいで死んだ。彼らはモーセとアロンのもとに集まり、彼らに言った。「私たちは神とあなたたちの前で罪を犯しました。」神はモーセに言われた。「青銅で蛇を作り、それをあなたの杖の先に掛け、民の中に立てなさい。蛇にかまれた者は皆、その青銅の蛇を見つめなさい。そうすれば、彼は生き、死なないであろう。」モーセが立てたこの蛇は、私たちの主の磔刑の象徴です。博士はこう言っています。「モーセが立てた蛇のように、主もまた、残酷な悪魔に噛まれた人々を癒すために、彼を立てたのです。」
イスラエルの人々はホル山に着いたが、アロンはそこで死んだ。人々は一か月間彼のために泣いた。モーセはその衣服をその子エレアザルに着せた。イスラエルの人々はモアブの娘たちと姦淫を行い、その偶像を拝み、その供え物を食べるようになった。
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主は彼らに対して怒り、モーセに命じてイスラエルの人々を集めさせ、モアブ人の偶像であるバアル・ペオルを拝む者をみな殺させた。彼らが皆幕屋の入口に集まったとき、サロの子ジムリが来て、ズルの娘コスビをめとり、モーセとすべての民の前で彼女と姦淫を行った。そこで神は疫病で民を打った。すると、アロンの子、祭司エレアザルの子ピネハスは立ち上がり、槍で彼らを突き刺し、その上に持ち上げた。すると、疫病はその時から止まった。この熱心さはピネハスの祈りとして数えられた。聖ダビデが述べているように[10]、「ピネハスは立ち上がって祈った。すると疫病は止まった。それは代々、永遠に彼の功績として数えられた」。その時の死者の数は2万4000人であった。神はモーセに民を数えるように命じられた。その数は60万1780人であった。神はモーセに命じられ、ヌンの子ヨシュアを祝福し、彼の上に手を置いて、祭司エレアザルとイスラエルのすべての人々の前に立たせた。神は彼に知恵と知識と預言と勇気を与え、彼をイスラエルの人々の指導者とした。神はイスラエルの人々にミディアン人を滅ぼすように命じられた。そこで(モーセは)各部族から千人の男を選び、ミディアン人に向かって攻め上って行って、彼らを捕らえ、略奪した。モーセは彼らに、ミディアン人の女と姦淫したすべての男と、イスラエルの男と姦淫したすべてのミディアン人の女、ただし人が知らなかった処女は除く、を殺せと命じた。神はモーセに、戦利品の五十分の一を、祭壇と主の宮の奉仕者であるレビの子孫のために取り分けるように命じた。イスラエルの人々と共に集められた羊の群れの数は67万頭、牛7万2000頭、処女3万2000人であった。
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主は彼らに命じられた。ヨルダン川を渡り、約束の地に着くとき、逃げ場と避難場所として三つの村を分け、過失で殺人を犯した者がそこに逃げ、当時の大祭司が死ぬまでそこに住み、その後家族と父祖の家へ帰れるようにするためであった。神は彼らのために律法と戒めを定めた。それは次のとおりである。「男は女の衣を着てはならず、女も男の衣を着てはならない[11]。鳥の巣を見たら、その母を追い払い、その子を連れて行かなければならない[12]。人は屋根に柵と囲いを設けなければならない。人がそこから落ちて血を求められることのないようにするためである[13]。反抗的な息子がいる者は、長老たちの前に連れ出し、彼らに叱責させなければならない。もし彼がその(悪い)習慣から立ち返るなら、(突き棒と井戸)しかし、そうでない場合は石打ちにされなければならない[14]。十字架につけられた者は、その夜を十字架上で過ごしてはならない[15]。神を冒涜する者は殺されなければならない[16]。婚約中の女性と寝た男は殺されなければならない。もし婚約していないなら、その男は彼女の父に五百ディナールを与え、彼女を妻として迎えなければならない[17]。その他の戒律も。
モーセはイスラエルの人々を集めて言った。「私はもう百二十歳です。もう力がありません。神は私に、『あなたはこのヨルダン川を渡ってはならない』と言われました。」そして、ヌンの子ヨシュアを呼び、すべての民の前で彼に言った。「強く、また勇気を出しなさい。あなたはこの民を約束の地に導き入れるのです。そこに住む諸国の民を恐れてはなりません。神は彼らをあなたの手に引き渡し、あなたは彼らの町や村を受け継ぎ、彼らを滅ぼすでしょう。[18]」
モーセは律法と裁きと命令を書き記し、祭司であるレビの子孫に渡した。そして、約束の地に渡ったとき、仮庵の祭りを執り行い、すべての民、男も女もの前でこれらの戒めを朗読するようにと命じた。それは、彼らが彼らの神である主を聞いて畏れるためであった[19]。神はモーセに言われた。
[p.65]
「見よ、あなたは先祖の道を歩んでいる。あなたの弟子であるヌンの子ヨシュアを呼び、幕屋の中に立たせ、この民の統治に勤勉に努めるように命じなさい。わたしは、あなたの死後、彼らが真理の道からそれ、偶像を拝むことを知っている。そしてわたしは彼らから顔を背ける。[20]」神はモーセに言われた。「アモリ人のネボという山に登り、カナンの地を見よ。そして、あなたの兄弟アロンがホル山で死んだように、あなたも先祖たちのもとに集められよ。」こうしてモーセはそこで死んで葬られた。彼の墓を知る者はいない[21]。イスラエルの人々が迷って彼を神として拝むことのないように、神が彼を隠されたからである。彼は百二十歳で死んだが、視力は衰えず、顔色も変わらなかった。イスラエルの人々はモアブのアルボテで一か月間、彼のために泣いた。
アダムからモーセの死まで、3868年であった[22]。
イスラエルの子らの数は数えられ、80万人、ユダの家の数は50万人であった。歴代誌にはこう記されている。「イスラエルの子らは110万100人、ユダの家は剣を抜く者40万700人であった。」エジプトから出てきたとき、彼らは60万人[23]であり、エジプトに入ったとき、彼らは75人[24]であった。
脚注
[編集]- ↑ オックスフォード写本第33章。
- ↑ オックスフォード写本では第34章はここから始まります。
- ↑ オックスフォード写本ではこの文は省略されている。
- ↑ オックスフォード写本には、魔術師ヤンネスとヤンブレの名が加えられている。彼らに関する記述は、テモテへの第二の手紙 3章8節。アブルファラギウス『王朝史』Historia Dynast.(ポコック編); and Fabricius, Cod. Pseud. Vet. Test., vol. i, p. 819.を参照。
- ↑ Löw、Aramäische Pflanzennamen、p.81 を参照。
- ↑ イエ・エリム、出エジプト記 15:27。
- ↑ Assemânî, Bibl. Orient. , t. iii, pt. i, pp. 49および99を参照。
- ↑ C は「10語」と読みます。
- ↑ この単語は本文中でアラビア語の「消化不良」という言葉で説明されている。
- ↑ 詩篇 106:30
- ↑ 申命記 22:5
- ↑ 申命記 22:6
- ↑ 申命記 22:7{原文通り 申命記 22:8}
- ↑ 申命記 21:18-20
- ↑ 申命記 21:23
- ↑ 申命記 24:16
- ↑ 申命記 22:26-29 {原文通り 申命記 22:23-25}
- ↑ 申命記 31:1-7
- ↑ 申命記 16:13
- ↑ 申命記 31:14-16
- ↑ 申命記 34:6
- ↑ オックスフォード写本。3860 年。
- ↑ 出エジプト記 12:37
- ↑ 創世記 46章27節、出エジプト記 1章5節、申命記 10章22節によれば、70人の魂。
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