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臺灣廳制 (昭和十五年十月二十八日律令第十二号)

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臺灣廳制中改正ノ件大正十年法律第三號ニ依リ勅裁ヲ得テ茲ニ之ヲ公布ス

昭和十五年十月二十八日

臺灣總督 小林 躋造

律令第十二號
臺灣廳制中左ノ通改正ス
第十四條第一項中「街庄長若ハ街庄吏員」ヲ「市街庄ノ官吏若ハ吏員」ニ改ム
第三十七條及第四十六條第一項中「街庄」ヲ「市街庄」ニ改ム
第四十九條第四項中「街庄長又ハ街庄ノ吏員」ヲ「市街庄ノ官吏又ハ吏員」ニ、「街庄」ヲ「市街庄」ニ改ム
第五十一條中「街庄」ヲ「市街庄」ニ改ム
附則
本令施行ノ期日ハ臺灣總督之ヲ定ム

臺灣廳制

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第一章 總則

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第一條

廳ノ名稱及區域ハ國ノ行政區劃ニ依ル

第二條

廳ハ法律、勅令又ハ律令ニ依リ廳ニ屬セシメタル事務ヲ處理ス

第三條

廳ノ廢置分合又ハ區域變更ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル州會及廳協議會ノ意見ヲ徵シ臺灣總督之ヲ定ム

第四條

廳ノ廢置分合又ハ區域變更ノ場合ニ於テ廳ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本令ニ規定スルモノヲ除クノ外臺灣總督之ヲ定ム

第二章 廳協議會

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第五條

廳ノ事務ニ關シ廳長ノ諮問ニ應ゼシムル爲廳ニ廳協議會ヲ置キ議長及廳協議會員ヲ以テ之ヲ組織ス
議長ハ廳長ヲ以テ之ニ充ツ廳長事故アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ代理ス

第六條

廳協議會員ノ定數ハ十人以上二十人以下ノ範圍內ニ於テ臺灣總督之ヲ定ム

第七條

廳協議會員ハ廳內ニ住所ヲ有スル者ニシテ學識名望アルモノノ中ヨリ臺灣總督之ヲ命ズ
協議會員ハ名譽職トス
協議會員ノ任期ハ二年トス但シ補缺ノ協議會員ノ任期ハ其ノ前任者ノ殘任期間トス

第八條

廳協議會員職務ヲ怠リ又ハ體面ヲ汚損スル行爲アリタルトキハ臺灣總督ハ之ヲ解任スルコトヲ得

第九條

廳長ハ廳ニ關スル左ノ事件ヲ廳協議會ニ諮問スルコトヲ要ス
 歲入出豫算ヲ定ムルコト
 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、廳稅又ハ夫役現品ノ賦課徵收ニ關スルコト
 廳債ヲ起シ竝ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ變更スルコト但シ第五十二條第二項ノ借入金ヲ除ク
 基本財產及積立金穀等ノ設置及處分ニ關スルコト
 繼續費ヲ定メ又ハ變更スルコト
 特別會計ヲ設クルコト
 歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ又ハ權利ノ抛棄ヲ爲スコト
 訴願、訴訟及和解ニ關スルコト
 其ノ他法令ニ定ムル事件
廳長必要アリト認ムルトキハ前項ニ揭グル事件ノ外廳ニ關スル事件ヲ廳協議會ニ諮問スルコトヲ得

第十條

廳協議會ハ行政廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
廳協議會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スベキ場合ニ於テ廳協議會成立セズ、招集ニ應ゼズ若ハ意見ヲ答申セズ又ハ廳協議會ヲ招集スルコト能ハザルトキハ當該行政廳ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得

第十一條

會議規則及傍聽人取締規則ハ臺灣總督ノ定ムルモノヲ除クノ外廳協議會ニ諮問シ廳長之ヲ定ム
會議規則ニハ本令、本令ニ基キテ發スル命令又ハ會議規則ニ違反シタル協議會員ニ對シ五日以內出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコトヲ得

第十二條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外廳協議會及廳協議會員ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第三章 廳官吏及廳吏員

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第十三條

廳長ハ廳ヲ統轄シ廳ヲ代表ス
廳長ノ擔任スル事務ノ槪目左ノ如シ
 廳費ヲ以テ支辨スベキ事件ヲ執行スルコト
 財產及營造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
 收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スルコト
 證書及公文書類ヲ保管スルコト
 使用料、手數料、廳稅又ハ夫役現品ヲ賦課徵收スルコト
 其ノ他法令ニ依リ廳長ノ職權ニ屬スル事項

第十四條

廳長ハ廳ノ行政ニ關シ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ郡ノ官吏又ハ市街庄ノ官吏若ハ吏員ニ補助執行セシメ又ハ委任スルコトヲ得
廳長ハ廳ノ行政ニ關シ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ廳ノ官吏若ハ吏員ニ委任シ又ハ廳ノ吏員ニ臨時代理セシムルコトヲ得

第十五條

廳長ハ吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責、二十五圓以下ノ過怠金及解職トス
廳長ハ吏員ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ吏員ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間給料ノ全部又ハ一部ヲ給セザルコトヲ得
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間州、廳、市街庄其ノ他之ニ準ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ

第十六條

廳協議會成立セザルトキ、會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ諮問ニ應ゼザルトキハ廳長ハ第九條第一項ノ規定ニ拘ラズ臺灣總督ノ指揮ヲ請ヒ諮問ヲ經ズシテ其ノ事件ヲ處分スルコトヲ得

第十七條

廳協議會ノ諮問ヲ經ベキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ廳協議會成立セザルトキ又ハ廳長ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ廳長ハ第九條第一項ノ規定ニ拘ラズ諮問ヲ經ズシテ之ヲ處分スルコトヲ得

第十八條

前二條ノ規定ニ依ル處分ニ付テハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ廳協議會ニ報吿スベシ

第十九條

廳ニ會計役ヲ置キ官吏又ハ吏員ノ中ヨリ廳長之ヲ命ズ
會計役ハ會計事務ヲ掌ル

第二十條

廳ハ臺灣總督ノ認可ヲ受ケ常設又ハ臨時ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス廳長之ヲ任免ス
委員ハ廳內ニ住所ヲ有スル者ナルコトヲ要ス
委員ハ廳長ノ命ヲ承ケ委託ヲ受ケタル事務ニ從事ス

第二十一條

前條ニ定ムル者ノ外廳ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ廳長之ヲ任免ス
有給吏員ノ定數ハ臺灣總督ノ認可ヲ受ケ廳長之ヲ定ム

第二十二條

前條ノ有給吏員ハ廳長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス

第二十三條

官吏ノ廳ノ行政ニ關スル職務關係ハ本令中別段ノ規定アル場合ヲ除夕ノ外國ノ行政ニ關スル其ノ職務關係ノ例ニ依ル

第二十四條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外吏員ノ服務紀律及懲戒竝ニ會計役及吏員ノ賠償責任、身元保證及事務引繼ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第四章 給料及給與

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第二十五條

廳協議會員其ノ他ノ名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
費用辨償ニ關シ必要ナル事項ハ廳長之ヲ定ム

第二十六條

有給吏員ノ給料、給與及旅費ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第二十七條

有給吏員ニハ退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
退隱料、退職給與金、死亡給與金及遺族扶助料ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム
第一項ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ其ノ處分アリタル日ヨリ六十日以內ニ之ヲ廳長ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ廳長ハ臺灣總督ノ認可ヲ受ケ三十日以內ニ之ヲ決定スベシ

第二十八條

給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺族扶助料、費用辨償其ノ他ノ給與ハ廳ノ負擔トス

第五章 廳ノ財務

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第二十九條

廳ハ基本財產ヲ設ケ又ハ特定ノ目的ノ爲積立金穀等ヲ設クルコトヲ得

第三十條

廳ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
廳ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得

第三十一條

廳ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ得

第三十二條

廳ハ其ノ必要ナル費用及法律、勅令又ハ律令ニ依リ廳ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ

第三十三條

郡廳舍ノ建築費及修繕費竝ニ郡役所費ハ國費ヲ以テ支辨スルモノヲ除クノ外廳ノ負擔トス

第三十四條

法律、勅令又ハ律令ニ規定アルモノノ外廳ノ費用ヲ以テ支辨シ得ル費目左ノ如シ
 土木費
 敎育費
 衞生費
 勸業費
 社會事業費
 社會敎育費
 營繕費

第三十五條

廳ノ費用ハ廳稅、廳ノ財產ヨリ生ズル收入、使用料、手數料其ノ他ノ收入ヲ以テ之ヲ支辨ス

第三十六條

廳稅トシテ賦課スルコトヲ得ベキモノ左ノ如シ
 國稅附加稅
 特別稅

第三十七條

廳ハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ其ノ費用ヲ市街庄ニ分賦スルコトヲ得

第三十八條

廳內ニ住所ヲ有スル者ハ廳稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
三月以上廳內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ廳稅ヲ納ムル義務ヲ負フ

第三十九條

廳內ニ住所ヲ有セズ又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖モ廳內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、廳內ニ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲シ又ハ廳內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋物件營業若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル廳稅ヲ納ムル義務ヲ負フ

第四十條

合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リ設立シタル法人ハ合併ニ因リ消滅シタル法人ニ對シ其ノ合併前ノ事實ニ付賦課セラルベキ廳稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
相續人又ハ相續財團ハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ被相續人ニ對シ其ノ相續開始前ノ事實ニ付賦課セラルベキ廳稅ヲ納ムル義務ヲ負フ

第四十一條

納稅者ノ廳外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ收入又ハ廳外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ廳稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
廳ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル本稅ヲ分別シテ納メザルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スル場合及住所滯在廳ノ內外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生ズル收入ニ非ザルモノニ對シ廳稅ヲ賦課スル場合ニ付テハ臺灣總督之ヲ定ム

第四十二條

左ニ揭グルモノニ對シテハ廳稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
 國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件
 國及州、廳、市街庄其ノ他ノ公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル土地家屋物件及營造物但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
 神社寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝ニ敎會所說敎所ノ用ニ供スル建物及其ノ構內地但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ敎會所說敎所ノ用ニ充ツル者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
 臺灣所得稅令第二十一條ニ揭グル所得前項ニ揭グルモノノ外廳稅ヲ賦課スルコトヲ得ザルモノハ臺灣總督之ヲ定ム

第四十三條

廳ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於テハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ廳稅ヲ課セザルコトヲ得

第四十四條

廳ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ於テ廳稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生ズル收入アルトキハ先ヅ其ノ收入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツベシ

第四十五條

數人又ハ廳ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ廳ハ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ廳ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得

第四十六條

廳ハ特別ノ必要アルトキニ限リ夫役又ハ現品ヲ廳內一部ノ市街庄其ノ他ノ公共團體又ハ一部ノ納稅義務者ニ賦課スルコトヲ得
學藝、美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役又ハ現品ハ之ヲ金額ニ算出シテ賦課スベシ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第三項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役又ハ現品ニ付テハ之ヲ適用セズ

第四十七條

廳稅ノ賦課ニ關シ必要アル場合ニ於テハ當該官吏又ハ吏員ハ日出ヨリ日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該官吏又ハ吏員ハ其ノ身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ

第四十八條

廳長ハ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ廳稅ヲ減免シ又ハ其ノ納稅ノ延期ヲ許スコトヲ得

第四十九條

廳稅、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他ノ廳ノ收入ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ廳長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サズ又ハ夫役現品ニ代フル金錢ヲ納メザルトキハ廳長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役又ハ現品ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ手數料ヲ徵收ス手數料ノ額ハ廳長之ヲ定ム
市街庄ノ官吏又ハ吏員ヲシテ第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ爲サシメタル場合ニ於ケル手數料ハ其ノ市街庄ノ收入トス
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限迄ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分スベシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ニ付テハ國ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル

第五十條

廳稅、使用料及手數料ニ關スル事項ニ付テハ法令ニ定ムルモノヲ除クノ外廳協議會ニ諮問シ廳長之ヲ定ム
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ廳稅ヲ逋脫シタル者ニ付テハ廳長ハ廳協議會ニ諮問シ其ノ徵收ヲ免レ又ハ逋脫シタル金額ノ五倍ニ相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外廳稅、使用料及手數料ノ賦課徵收ニ關シテハ廳長ハ廳協議會ニ諮問シ十圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得營造物ノ使用ニ關シ亦同ジ

第五十一條

市街庄ハ市街庄內ニ於テ廳長ノ指定シタル廳稅其ノ他廳ノ收入ヲ徵收シ之ヲ廳ニ納入スル義務負フ
市街庄ハ避クベカラザル災害ニ因リ既收ノ徵收金ヲ失ヒタルトキハ廳長ハ其ノ申請ニ依リ前項ノ納入義務ヲ免除スルコトヲ得

第五十二條

廳ハ其ノ負債ヲ償還スル爲、廳ノ永久ノ利益ト爲ルベキ支出ヲ爲ス爲又ハ天災事變等ノ爲必要アル場合ニ限リ廳債ヲ起スコトヲ得
廳ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲一時ノ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ之ヲ償還スベシ

第五十三條

廳長ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ廳協議會ノ諮問ヲ經年度開始二月前迄ニ臺灣總督ニ提出シ其ノ認可ヲ受クベシ
廳ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル

第五十四條

廳長ハ廳協議會ノ諮問ヲ經臺灣總督ノ認可ヲ受ケ既定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得

第五十五條

廳費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得

第五十六條

廳ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得

第五十七條

廳ハ預算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クベシ
特別會計ニハ豫備費ヲ設ケザルコトヲ得
豫備費ハ豫算認可ニ付臺灣總督ノ削除シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ

第五十八條

廳長ハ豫算ノ認可ヲ受ケタル後直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ

第五十九條

廳ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル

第六十條

決算ハ翌翌年度ノ通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之ヲ廳協議會ニ報吿スベシ
決算ハ之ヲ臺灣總督ニ報吿シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ

第六十一條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外廳稅、使用料、手數料、豫算調製ノ式其ノ他廳ノ財務ニ關シ必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

第六章 廳ノ監督

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第六十二條

廳ハ臺灣總督之ヲ監督ス

第六十三條

臺灣總督ハ廳ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報吿ヲ爲サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコトヲ得
臺灣總督ハ廳ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得

第六十四條

廳ニ於テ法律、勅令又ハ律令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用ヲ豫算ニ載セザルトキハ臺灣總督ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
臺灣總督ハ廳ノ豫算中不適當ト認ムルモノアルトキハ之ヲ削減スルコトヲ得

第六十五條

臺灣總督ノ認可ヲ要スル事件ニ付テハ臺灣總督ハ申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ認可ヲ與フルコトヲ得

第六十六條

本令ニ規定スルモノヲ除クノ外廳ノ監督ニ關シ必要ナル事頂ハ臺灣總督之ヲ定ム

第六十七條

本令中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス

附 則

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本令施行ノ期日ハ臺灣總督之ヲ定ム
臺灣地方費令ハ之ヲ廢止ス
本令施行ノ際廳地方費ニ屬スル事務及財產ハ臺灣總督ノ定ムル所ニ依リ廳之ヲ承繼ス
本令施行ノ際必要ナル規定ハ臺灣總督之ヲ定ム

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。