老いたるえびのうた

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けふはえびのように悲しい
角やらひげやら
とげやら一杯生やしてゐるが
どれが悲しがつてゐるのか判らない。

ひげにたづねて見れば
おれではないといふ。
尖つたとげに聞いて見たら
わしでもないといふ。
それでは一体誰が悲しがつてゐるのか
誰に聞いてみても
さつぱり判らない。

生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋。
からだじうが悲しいのだ。

出典:「新潮日本文学 13 室生犀星集」新潮社 昭和48年2月

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