米穀の出荷販売事業者が遵守すべき事項を定める省令

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制定文[編集]

主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第七条の二の規定に基づき、米穀の出荷販売事業者が遵守すべき事項を定める省令を次のように定める。

第一章 総則[編集]

(定義)

第一条
  1. この省令において「用途限定米穀」とは、次に掲げる米穀(食用不適米穀を除く。)をいう。
    一 用途を限定して生産され、若しくは出荷され、又は出荷後に用途を限定するため区分された米穀(天候その他の自然的条件の変化により主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(以下「法」という。)第五条第二項第一号の生産数量目標を上回って生産された数量の米穀であって、用途を限定して出荷され、又は出荷後に用途を限定するため区分されたものを含み、政府又は法第八条第一項に規定する米穀安定供給確保支援機構(次号において「機構」という。)が保有するものを除く。)
    二 政府又は機構が、その用途を限定する旨の条件を付して売り渡し、交付し、貸し付け、又は交換した米穀
  2. この省令において「食用不適米穀」とは、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)の規定により、販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。)、又は販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む。)の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならないこととされている米穀をいう。

第二章 用途限定米穀[編集]

(用途限定米穀の用途外使用等の禁止)

第二条
米穀の出荷又は販売の事業を行う者(以下「出荷販売事業者」という。)は、用途限定米穀を、その定められた用途以外の用途に供し、又は供する目的で出荷し、若しくは販売してはならない。ただし、あらかじめ農林水産大臣(出荷販売事業者であって、その主たる事務所並びに販売所、事業所及び倉庫が一の地方農政局の管轄区域内のみにあるものにあっては、当該地方農政局の長)の承認を受けて、定められた用途以外の用途に供し、又は供する目的で出荷し、若しくは販売する場合は、この限りでない。

(用途限定米穀の保管時に講ずべき措置)

第三条
出荷販売事業者は、用途限定米穀を保管するときは、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 他の用途に供する米穀と区分し、別棟で又は別にはい付け(包装し、又は容器(フレキシブルコンテナバッグその他の運搬具を含む。次条第一項第一号において同じ。)に入れた米穀を整然と積み上げることをいう。以下同じ。)をして保管すること。ただし、繁忙期において倉庫の収容能力が不足する場合その他のやむを得ない事情がある場合にあっては、他の用途に供する米穀とともにはい付けをして保管することができる。
二 その用途が明らかとなるよう、票せんによる掲示を行うこと。この場合において、前号ただし書の規定により他の用途に供する米穀とともにはい付けをして保管するときは、パレットその他の物で他の用途に供する米穀と明確に区分し、用途ごとにそれぞれ異なる票せんによる掲示を行うこと。

(用途限定米穀の販売時に講ずべき措置)

第四条
  1. 出荷販売事業者は、用途限定米穀を販売するときは、次に掲げる措置を講じなければならない。
    一 その包装又は容器(販売先における保管施設の状況その他のやむを得ない事情により、包装又は容器を用いずに販売する場合にあっては、送り状)に、その用途を示す表示を付すこと。
    二 その用途に確実に供すると認められる事業者に対し、直接に又は当該事業者を構成員とする事業者団体を通じて、販売すること。
    三 当該用途限定米穀の販売先との契約において、次に掲げる事項を定めること。
    イ 他の用途への転用の禁止
    ロ 違約金その他の契約の履行を担保する措置
  2. 前項第一号の表示は、次に定めるところにより行うものとする。
    一 第一条第一項第一号に掲げる米穀(天候その他の自然的条件の変化により法第五条第二項第一号の生産数量目標を上回って生産された数量の米穀であって、用途を限定して出荷され、又は出荷後に用途を限定するため区分されたものを除く。)にあっては、その用途に応じて、別記様式に定めるところにより表示すること。
    二 前号に規定する米穀以外の用途限定米穀にあっては、その用途に応じて、同号の規定に準じて表示すること。

国又は都道府県の関係機関への報告)

第五条
出荷販売事業者は、その出荷し、又は販売した用途限定米穀について、定められた用途以外の用途に供され、又は供される目的で出荷され、若しくは販売されたことを知ったときは、速やかに、国又は都道府県の関係機関に対し、その旨を報告しなければならない。ただし、当該関係機関が既にその事実を知っているときは、この限りでない。

第三章 食用不適米穀[編集]

(食用不適米穀の保管時に講ずべき措置)

第六条
出荷販売事業者は、その保有する米穀が食用不適米穀であることが判明したときは、直ちに、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 他の米穀と区分し、別棟で保管すること。別棟で保管することが困難な場合には、当該食用不適米穀が他の米穀と混合するおそれがないよう、他の米穀と明確に区分して保管するとともに、他の米穀の品質に悪影響を及ぼさないよう、かびの胞子の拡散を防止するために当該食用不適米穀を被覆することその他の必要な措置を講ずること。
二 食用不適米穀であることが明らかとなるよう、票せんによる掲示を行うこと。

(食用不適米穀の処分)

第七条
出荷販売事業者は、食用不適米穀を次のいずれかの方法により処分しなければならない。
一 廃棄すること。
二 関係法令による規制にも留意しつつ、食用以外の用途に確実に供すると認められる事業者に対し、直接に譲渡しをすること。
三 自ら食用に供しない物資の加工又は製造の事業を行っている場合において、関係法令による規制にも留意しつつ、当該物資の加工又は製造に自ら供すること。
四 仕入先の責に帰すべき事由により食用不適米穀となった場合において、当該食用不適米穀を仕入先に返品すること。

(食用不適米穀の譲渡時に講ずべき措置)

第八条
出荷販売事業者は、前条第二号の場合においては、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 食用不適米穀を保管しているときは、引き続き第六条各号に掲げる措置を講ずること。
二 譲渡しに際しては、食用への転用を防止するため、次のいずれかの措置を講ずること。
イ 魚粉(食用に供することができるものを除く。)と混合すること。
ロ 他の米穀と明確に区別できるよう、着色すること。
ハ 飼料を製造する工場その他の食用不適米穀を用いて食用に供しない物資の加工又は製造を行う施設について、その構造上、投入した原材料が加工又は製造の過程において通常取り出せないようになっている場合において、当該施設の原材料投入口に当該食用不適米穀が投入されたことを確認すること。
三 食用不適米穀の譲渡先との契約において、次に掲げる事項を定めること。
イ 食用への転用の禁止
ロ 当該出荷販売事業者が行う当該食用不適米穀の使用状況の調査への協力その他の契約の履行を担保する措置
四 譲渡先における当該食用不適米穀の使用の状況を適宜確認すること。

(食用不適米穀を原材料とする物資の製造時に講ずべき措置)

第九条
出荷販売事業者は、第七条第三号の場合においては、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 食用不適米穀を保管しているときは、引き続き第六条各号に掲げる措置を講ずること。
二 食用不適米穀を原材料とする物資の加工又は製造及び販売に関する記録を作成し、保存すること。

第四章 関係法令の遵守のための体制整備[編集]

第十条

出荷販売事業者は、前二章に規定する遵守すべき事項の内容に基づく適正な業務の運営が確保されるよう、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 米穀の出荷又は販売の事業に従事する役員、従業員その他の者により、法、食品衛生法、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(平成二十一年法律第二十六号)その他の関係法令が遵守され、米穀の食品としての品質管理が適切に行われることとなるよう、必要な研修、教育その他の措置を講ずること。
二 未施行

附則[編集]

附則

(施行期日)
第一条
この省令は、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律(平成二十一年法律第二十七号)附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日(平成二十二年四月一日)から施行する。ただし、第十条(第二号に係る部分に限る。)の規定は、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律の施行の日(平成二十二年十月一日)から施行する。

(経過措置)

第二条
この省令の施行前に出荷又は販売をされた用途限定米穀については、第四条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、適用しない。


附則(平成二二年七月一日農林水産省令第四三号、米穀の出荷販売事業者が遵守すべき事項を定める省令の一部を改正する省令)

この省令は、公布の日から施行する。

別記様式[編集]

別記様式(第4条関係)

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