管と裂口とサナダ虫め!

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本文[編集]

管と裂口とサナダ虫め!
萩原恭次郎

トタン張りの酒場のテーブルに
ダリアは黄色い死人の歯をむき出してゐる!
ソースのやうな濁つた血を吹きかけろ!
油によごれた食器位ひなんだ!
ぶん ぶん 青い顔が燃え上がらあ!
ビール瓶を胸の中へ投り込んでゆく——————
葱と肉が焦げらあ! 心臓まで焦げらあ!
白粉の首は膿でふくらんでらあ!
鉛毒症患者!五十銭銅貨は狡猾の唇にはさまれてゐる!
脳髄の中のその怖ろしい軽蔑をどうするんだ!
さすがに動物のはしくれではあらう!
無格向な笑みをたゝえてゐる貧弱な
両足のつけねにある管と裂口とサナダ虫め!
ぶるん~~~~~~~~~~~~~~ぶるん
世界が急速度の夜行列車になつた!

解題[編集]

作者:萩原恭次郎

底本:萩原恭次郎『死刑宣告』日本図書センター〈愛蔵版詩集シリーズ〉(2004年3月25日初版第1刷発行) ISBN 978-4-8205-9599-1

表記について:旧仮名遣いは初版本(1925年10月18日発行、長隆舎書店)のまま、漢字は常用漢字に改めてある。本文12行3文字目の「向」は、原文では「木」(扁)+「向」(旁)という文字を用いている。