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禮記/曲禮上

《曲禮》曰:「毋不敬,儼若思,安定辭。」安民哉!

〈訳:NDLJP:1047122/40 曲禮(きよくれい)に曰(いは)く、敬(けい)せざること毋(なか)れ、儼(げん)として思(おも)ふが若(ごと)くせよ。辭(ことば)を安定(あんてい)にせよ。民(たみ)を安(やす)んずる哉(かな)。〉

敖不可長,欲不可從,志不可滿,樂不可極。

〈NDLJP:1047122/41 敖(おごり)は長(ちやう)ずべからず。欲(よく)は從(ほしいまゝ)にすべからず。志(こゝろざし)は滿(み)たしむべからず。樂(たのし)みは極(きは)むべからず。〉

賢者狎而敬之,畏而愛之。愛而知其惡,憎而知其善。積而能散,安安而能遷。臨財毋苟得,臨難毋苟免。很毋求勝,分毋求多。疑事毋質,直而勿有。

〈賢者(けんしや)は狎(な)れて而(しか)も之(これ)を敬(けい)し、畏(おそ)れて而(しか)も之(これ)を愛(あい)し、愛(あい)して而(しか)も其(そ)の惡(あく)を知(し)り、憎(にく)んで而(しか)も其(そ)の善(ぜん)を知(し)り、 積(つ)んで而(しか)も能(よ)く散(さん)じ、安(あん)に安(やす)んじて而(しか)も能(よ)く遷(うつ)る。 NDLJP:1047122/42-NDLJP:1047122/43 財(ざい)に臨(のぞ)んでは苟(いやし)くも得(え)んとすること毋(なか)れ、難(なん)に臨(のぞ)んでは苟(いやし)くも免(まぬか)れんとすること毋(なか)れ。狠(あらそひ)には勝(か)たんこと を求(もと)むること毋(なか)れ、分(わか)つには多(おほ)からんことを求(もと)むること毋(なか)れ。疑事(ぎじ)は質(さだ)むること毋(なか)れ、直(ちよく)にして而(しか)も有(いう)す ること毋(なか)れ。〉

若夫,坐如尸,立如齊。禮從宜,使從俗。

〈若(も)し夫(ふ)たらんとせば、坐(ざ)することは尸(し)の如(ごと)く、立(た)つことは齋(さい)するが如(ごと)く、禮(れい)は宜(よろ)しきに從(したが)ひ、使(し)は俗(ぞく)に從(したが) ふべし。〉

夫禮者所以定親疏,決嫌疑,別同異,明是非也。禮,不妄說人,不辭費。禮,不踰節,不侵侮,不好狎。脩身踐言,謂之善行。行脩言道,禮之質也。禮聞取於人,不聞取人。禮聞來學,不聞往教。

〈NDLJP:1047122/44 夫(そ)れ禮(れい)は親疏(しんそ)を定(さだ)め、嫌疑(けんぎ)を決(けつ)し、同異(どうい)を別(わ)け、是非(ぜひ)を明(あきら)かにする所以(ゆゑん)なり。禮(れい)は妄(みだり)に人(ひと)を説(よろこ)ばしめず、 辭(ことば)を費(つひや)さず。禮(れい)は節(せつ)を踰(こ)えず、侵侮(しんぶ)せず、好(この)んで狎(な)れざるべし。身(み)を修(をさ)め言(ことば)を踐(ふ)む、之(これ)を善行(ぜんかう)と謂(い)ふ。行(おこなひ) 修(をさ)まり言道(ことばみち)あるは禮(れい)の質(しつ)なり。禮(れい)に人(ひと)に取(と)ることを聞(き)く、人(ひと)を取(と)ることを聞(き)かず。禮(れい)に來(きた)り學(まな)ぶことを聞(き) く、往(ゆ)きて教(をし)ふることを聞(き)かず。〉

道德仁義,非禮不成;教訓正俗,非禮不備。分爭辨訟,非禮不決。君臣上下,父子兄弟,非禮不定。宦、學事師,非禮不親。班朝、治軍,涖官、行法,非禮威嚴不行。禱祠、祭祀,供給鬼神,非禮不誠不莊。是以君子恭、敬、撙、節、退、讓以明禮。鸚鵡能言,不離飛鳥。猩猩能言,不離禽獸。今人而無禮,雖能言,不亦禽獸之心乎?夫唯禽獸無禮,故父子聚麀。是故聖人作,為禮以教人。使人以有禮,知自別於禽獸。

〈NDLJP:1047122/46 道徳(だうとく)仁義(じんぎ)は禮(れい)に非(あら)ざれば成(な)らず。教訓(けうくん)俗(ぞく)を正(たゞ)すことは禮(れい)に非(あら)ざれば備(そな)はらず。爭(あらそひ)を分(わ)け訟(うつたへ)を辨(べん)ずること は禮(れい)に非(あら)ざれば決(けつ)せず。君臣(くんしん)上下(しやうか)父子(ふし)兄弟(けいてい)は禮(れい)に非(あら)ざれば定(さだ)まらず。宦(くわん)學師(がくし)に事(つか)ふることは禮(れい)に非(あら)ざれば 親(した)しからず。朝(てう)を班(わ)け軍(ぐん)を治(をさ)め官(くわん)に涖(のぞ)み法(はふ)を行(おこな)ふことは禮(れい)に非(あら)ざれば威嚴(ゐげん)行(おこな)はれず。祷祠(たうし)祭祀(さいし)鬼神(きしん)に供給(きようきふ) することは禮(れい)に非(あら)ざれば誠(まこと)ならず莊(さう)ならず。是(こゝ)を以(もつ)て君子(くんし)は恭(きよう)敬(けい)撙(そん)節(せつ)退(たい)讓(じやう)以(もつ)て禮(れい)を明(あきら)かにす。鸚鵡(あうむ)は能(よ) く言(い)ふも飛鳥(ひてう)を離(はな)れず、猩猩(しやう〴〵)は能(よ)く言(い)ふも禽獸(きんじう)を離(はな)れず。今人(いまひと)にして禮(れい)無(な)ければ、能(よ)く言(い)ふと雖(いへど)も亦(また)禽獸(きんじう) の心(こゝろ)ならずや。夫(そ)れ唯(た)だ禽獸(きんじう)は禮(れい)無(な)し、故(ゆゑ)に父子(ふし)麀(いう)を聚(とも)にす。是(こ)の故(ゆゑ)に聖人(せいじん)禮(れい)を作爲(さくゐ)して以(もつ)て人(ひと)を教(をし)へ、 人(ひと)をして以(もつ)て禮(れい)ありて、自(みづか)ら禽獸(きんじう)に別(わか)つことを知(し)らしむ。〉

太上貴德,其次務施報。禮尚往來,往而不來,非禮也;來而不往,亦非禮也。人有禮則安,無禮則危。故曰,禮者不可不學也。夫禮者,自卑而尊人。雖負販者,必有尊也,而況富貴乎?富貴而知好禮,則不驕不淫;貧賤而知好禮,則志不懾。

〈NDLJP:1047122/48 大上(たいじやう)は徳(とく)を貴(たつと)び、其(そ)の次(つぎ)は施報(しはう)を務(つと)む。禮(れい)は往來(わうらい)を尚(たつと)ぶ。往(ゆ)きて來(きた)らざるは禮(れい)に非(あら)ざるなり、來(きた)りて往(ゆ)か ざるも亦(また)禮(れい)に非(あら)ざるなり。人(ひと)禮(れい)あれば則(すなは)ち安(やす)く、禮(れい)無(な)ければ則(すなは)ち危(あやふ)し。故(ゆゑ)に曰(いは)く、禮(れい)は學(まな)ばざるべからざ るなり。夫(そ)れ禮(れい)は自(みづか)ら卑(いや)しくして人(ひと)を尊(たつと)ぶ。負販(ふはん)の者(もの)と雖(いへど)も必(かなら)ず尊(たつと)ぶべきもの有(あ)るなり、而(しか)るを況(いは)んや富(ふう) 貴(き)をや。富貴(ふうき)にして禮(れい)を好(この)むことを知(し)れば則(すなは)ち驕(おご)らず淫(いん)せず。貧賤(ひんせん)にして禮(れい)を好(この)むことを知(し)れば則(すなは)ち志(こゝろざし) 懾(おそ)れず。〉

人生十年曰幼,學。二十曰弱,冠。三十曰壯,有室。四十曰強,而仕。五十曰艾,服官政。六十曰耆,指使。七十曰老,而傳。八十九十曰耄,七年曰悼,悼與耄,雖有罪,不加刑焉。百年曰期,頤。大夫七十而致事。若不得謝,則必賜之几杖,行役以婦人。適四方,乘安車。自稱曰「老夫」,於其國則稱名;越國而問焉,必告之以其制。

〈NDLJP:1047122/50 人(ひと)生(うま)れて十年(ねん)を幼(えう)と曰(い)ふ、學(まな)ぶ。二十を弱(じやく)と曰(い)ふ、冠(くわん)す。三十を壯(さう)と曰(い)ふ、室(しつ)有(あ)り。四十を強(きやう)と曰(い)ふ、仕(つか) ふ。五十を艾(かい)と曰(い)ふ、官政(くわんせい)に服(ふく)す。六十を耆(き)と曰(い)ふ、指使(しし)す。七十を老(らう)と曰(い)ふ、傳(つた)ふ。八十九十を耄(ばう)と曰(い) ふ、七年(ねん)を悼(たう)と曰(い)ふ。悼(たう)と耄(ばう)とは罪(つみ)ありと雖(いへど)も刑(けい)を加(くは)へず。百年(ねん)を期(き)と曰(い)ふ、頤(やしな)ふ。大夫(たいふ)は七十にして事(こと) を致(いた)す。若(も)し謝(しや)することを得(え)ざれば則(すなは)ち必(な〔ママ〕なら)ず之(これ)に几杖(きぢやう)を賜(たま)ひ、役(えき)に行(ゆ)くには婦人(ふじん)を以(もつ)てし、四方(はう)に適(ゆ)くに は安車(あんしや)に乗(の)り、自(みづか)ら稱(しよう)して老夫(らうふ)と曰(い)ひ、其(そ)の國(くに)に於(おい)ては則(すはな)ち名(な)を稱(しよう)し、國(くに)を超(こ)えて問(と)へば必(かなら)ず之(これ)に告(つ)ぐる に其(そ)の制(せい)を以(もつ)てす。〉

謀於長者,必操几杖以從之。長者問,不辭讓而對,非禮也。

〈NDLJP:1047122/52 長者(ちやうしや)に謀(はか)るには、必(かなら)ず几杖(きぢやう)を操(と)りて以(もつ)て之(これ)に從(したが)ふ。長者(ちやうしや)問(と)ふに、辭讓(じじやう)せずして對(こた)ふるは禮(れい)に非(あら)ざるなり。〉

凡為人子之禮:冬溫而夏凊,昏定而晨省,在醜、夷不爭。

〈凡(およ)そ人(ひと)の子(こ)たるの禮(れい)は、冬(ふゆ)は温(あたゝか)にして夏(なつ)は凊(すゞ)しく、昏(くれ)に定(さだ)めて晨(あした)に省(かへり)みる。醜(しう)夷(い)に在(あ)りて爭(あらそ)はず。〉

夫為人子者,三賜不及車馬。故州、閭、鄉、黨稱其孝也,兄弟親戚稱其慈也,僚友稱其弟也,執友稱其仁也,交遊稱其信也。見父之執,不謂之進不敢進,不謂之退不敢退;不問,不敢對。此孝子之行也。

〈NDLJP:1047122/53 夫(そ)れ人(ひと)の子(こ)たる者(もの)は三賜(し)車馬(しやば)に及(およ)ばず。故(ゆゑ)に州(しう)閭(りよ)郷(きやう)黨(たう)其(そ)の孝(かう)を稱(しよう)し、兄弟(けいてい)親戚(しんせき)其(そ)の慈(じ)を稱(しよう)し、僚友(れういう)其(そ)の弟(てい) を稱(しよう)し、執友(しついう)其(そ)の仁(じん)を稱(しよう)し、交遊(かういう)其(そ)の信(しん)を稱(しよう)す。父(ちゝ)の執(しつ)を見(み)るときは、之(これ)に進(すゝ)めと謂(い)はざれば敢(あへ)て進(すゝ)まず、 之(これ)に退(しりぞ)けと謂(い)はざれば敢(あへ)て退(しりぞ)かず。問(と)はざれば敢(あへ)て對(こた)へず。此(こ)れ孝子(かうし)の行(おこなひ)なり。〉

夫為人子者:出必告,反必面,所遊必有常,所習必有業。恆言不稱老。年長以倍則父事之,十年以長則兄事之,五年以長則肩隨之。群居五人,則長者必異席。

〈NDLJP:1047122/54 夫(そ)れ人(ひと)の子(こ)たる者(もの)は出(い)づるには必(かなら)ず告(つ)げ、反(かへ)れば必(かなら)ず面(めん)す。遊(あそ)ぶ所(ところ)必(かなら)ず常(つね)あり、習(なら)ふ所(ところ)必(かなら)ず業(げふ)あり。 恒(つね)の言(げん)に老(らう)と稱(しよう)せず。年(とし)長(ちやう)ずること以(もつ)て倍(ばい)なれば則(すなは)ち之(これ)に父事(ふじ)し、十年(ねん)以(もつ)て長(ちやう)ずれば則(すなは)ち之(これ)に兄事(けいじ)し、五 年(ねん)以(もつ)て長(ちやう)ずれば則(すなは)ち之(これ)に肩隨(けんずゐ)す。羣居(ぐんきよ)五人(にん)なれば則(すなは)ち長者(ちやうしや)必(かなら)ず席(せき)を異(こと)にす。〉

為人子者,居不主奧,坐不中席,行不中道,立不中門。食饗不為概,祭祀不為尸。聽於無聲,視於無形。不登高,不臨深。不苟訾,不苟笑。孝子不服闇,不登危,懼辱親也。父母存,不許友以死。不有私財。

〈NDLJP:1047122/55 人(ひと)の子(こ)たる者(もの)は居(を)るに奥(おく)に主(しゆ)たらず、坐(ざ)するに席(せき)に中(ちゆう)せず、行(ゆ)くに道(みち)に中(ちゆう)せず、立(た)つに門(もん)に中(ちゆう)せず。食饗(しきやう) に槩(がい)を爲(な)さず、祭祀(さいし)に尸(し)と爲(な)らず。聲(こゑ)無(な)きに聽(き)き、形(かたち)無(な)きに視(み)、高(たか)きに登(のぼ)らず、㴱(ふか)きに臨(のぞ)まず、苟(いやし)くも警訾(そし) らず、苟(いやし)くも笑(わら)はず。 NDLJP:1047122/56 孝子(かうし)は闇(あん)に服(ふく)せず、危(あやふ)きに登(のぼ)らず。親(おや)を辱(はづかし)めんことを懼(おそ)るればなり。父母(ふぼ)存(そん)すれば友(とも)に許(ゆる)すに死(し)を以(もつ)て せず、私財(しざい)を有(いう)せず。〉

為人子者:父母存,冠衣不純素。孤子當室,冠衣不純采。

〈NDLJP:1047122/57 人(ひと)の子(こ)たる者(もの)、父母(ふぼ)存(そん)すれば冠衣(くわんい)に素(そ)を純(じゆん)とせず。 孤子(こし)室(しつ)に當(あた)れば、冠衣(くわんい)に采(さい)を純(じゆん)にせず。〉

幼子常視毋誑,童子不衣裘、裳。立必正方。不傾聽。長者與之提攜,則兩手奉長者之手。負、劍,辟咡詔之,則掩口而對。

〈NDLJP:1047122/58 幼子(えうし)をば常(つね)に視(しめ)して誑(たぶら)かすこと毋(なか)れ。童子(どうじ)は裘(きう)と裳(しやう)とを衣(き)ず。立(た)つには必(かなら)ず方(はう)を正(たゞ)しくし、傾聽(けいちやう)せず。長(ちやう) 者(しや)之(これ)と提攜(ていけい)すれば、則(すなは)ち兩手(りやうて)に長者(ちやうしや)の手(て)を奉(ほう)ず。負(ふ)劒(けん)辟咡(へきじ)して之(これ)に詔(つ)ぐれば、則(すなは)ち口(くち)を掩(おほ)うて對(こた)ふ。〉

從於先生,不越路而與人言。遭先生於道,趨而進,正立拱手。先生與之言則對;不與之言則趨而退。從長者而上丘陵,則必鄉長者所視。登城不指,城上不呼。將適舍,求毋固。將上堂,聲必揚。戶外有二屨,言聞則入,言不聞則不入。將入戶,視必下。入戶奉扃,視瞻毋回;戶開亦開,戶闔亦闔;有後入者,闔而勿遂。毋踐屨,毋踖席,摳衣趨隅。必慎唯諾。大夫士出入君門,由闑右,不踐閾。

〈NDLJP:1047122/59 先生(せんせい)に從(したが)へば路(みち)を越(こ)えて人(ひと)と言(い)はず。先生(せんせい)に道(みち)に遭(あ)へば趨(はし)りて進(すゝ)み、正(たゞ)しく立(た)ちて手(て)を拱(きよう)す。先生(せんせい)之(これ)と言(い) へば則(すなは)ち對(こた)へ、之(これ)と言(い)はざれば則(すなは)ち趨(はし)りて退(しりぞ)く。長者(ちやうしや)に從(したが)ひて丘陵(きうりよう)に上(のぼ)れば、則(すなは)ち必(かなら)ず長者(ちやうしや)の視(み)る所(ところ)に郷(むか) ふ。 NDLJP:1047122/60 城(しろ)に登(のぼ)りては指(ゆび)さゝず。城上(じやうじやう)には、呼(よ)ばず。 將(まさ)に舍(しや)に適(ゆ)かんとすれば、求(もと)むるに固(こ)なること毋(なか)れ。將(まさ)に堂(だう)に上(のぼ)らんとすれば、聲(こゑ)必(かなら)ず揚(あ)ぐ。 NDLJP:1047122/61 戸外(こぐわい)に二屨(く)あるときは、言(ことば)聞(きこ)ゆれば則(すなは)ち入(い)り、言(ことば)聞(きこ)えざれば則(すなは)ち入(い)らず。將(まさ)に戸(こ)に入(い)らんとすれば、視(み)る こと必(かなら)ず下(ひく)くす。戸(こ)に入(い)れば扃(けい)を奉(ほう)じ、視瞻(しせん)回(めぐ)らすこと毋(なか)れ。戸(こ)開(ひら)けば亦(また)開(ひら)き、戸(こ)闔(と)づれば亦(また)闔(と)ざす。後(おく) れ入(い)る者(もの)あれば、闔(と)ざして遂(と)ぐること勿(なか)れ。屨(くつ)を踐(ふ)むこと毋(なか)れ。席(せき)を踖(こ)ゆること毋(なか)れ。衣(ころも)を摳(かゝ)げて隅(ぐう)に趨(はし) る。必(かなら)ず唯諾(ゐだく)を愼(つゝし)め。 NDLJP:1047122/62 大夫(たいふ)士(し)君門(くんもん)に出入(しゆつにふ)するには闑(げつ)の右(みぎ)よりし、閾(よく)を踐(ふ)まず。〉

凡與客入者,每門讓於客。客至於寢門,則主人請入為席,然後出迎客。客固辭,主人肅客而入。主人入門而右,客入門而左。主人就東階,客就西階,客若降等,則就主人之階。主人固辭,然後客復就西階。主人與客讓登,主人先登,客從之,拾級聚足,連步以上。上於東階,則先右足;上於西階,則先左足。

〈NDLJP:1047122/62-NDLJP:1047122/63 凡(およ)そ客(かく)と入(い)る者(もの)は門(もん)毎(ごと)に客(かく)に讓(ゆづ)る。客(かく)寢門(しんもん)に至(いた)れば則(すはな)ち主人(しゆじん)請(こ)ふ、入(い)りて席(せき)を爲(な)して、然(しか)して後(のち)に出(いで)て客(かく) を迎(むか)へんと。客(かく)固辭(こじ)す。主人(しゆじん)客(かく)を肅(しゆく)して入(い)る。主人(しゆじん)は門(もん)を入(い)りて右(みぎ)し、客(かく)は門(もん)を入(い)りて左(ひだり)す。主人(しゆじん)は東階(とうかい) に就(つ)き、客(かく)は西階(せいかい)に就(つ)く。客(かく)若(も)し降等(かうとう)なれば、則(すなは)ち主人(しゆじん)の階(かい)に就(つ)く。主人(しゆじん)固辭(こじ)し、然(しか)る後(のち)に客(かく)復(ふく)し、西階(せいかい) に就(つ)く。主人(しゆじん)と客(かく)と登(のぼ)ることを讓(ゆづ)る。主人(しゆじん)先(ま)づ登(のぼ)り、客(かく)之(これ)に從(したが)ふ。級(きふ)を拾(わた)(渉)り足(あし)を聚(あつ)め、連歩(れんぽ)して以(もつ)て 上(のぼ)る。東階(とうかい)を登(のぼ)るには則(すなは)ち右足(いうそく)を先(さき)にし、西階(せいかい)を登(のほ〔ママ〕)るには則(すなは)ち左足(さそく)を先(さき)にす。〉

帷薄之外不趨,堂上不趨,執玉不趨。堂上接武,堂下布武。室中不翔,並坐不橫肱。授立不跪,授坐不立。

〈NDLJP:1047122/64 帷薄(ゐはく)の外(そと)には趨(はし)らず。堂上(だうじやう)には趨(はし)らず。玉(たま)を執(と)れば趨(はし)らず。堂上(だうじやう)には武(ぶ)を接(せつ)し、堂下(だうか)には武(ぶ)を布(し)き、室中(しつちゆう) には翔(かけ)らず。並(なら)び坐(ざ)すれば肱(ひぢ)を横(よこ)にせず。立(た)てるに授(さづ)くるには跪(ひざまづ)かず。坐(ざ)せるに授(さづ)くるには立(た)たず。〉

凡為長者糞之禮,必加帚於箕上,以袂拘而退。其塵不及長者,以箕自鄉而扱之。奉席如橋衡。請席何鄉?請衽何趾?席:南鄉北鄉,以西方為上;東鄉西鄉,以南方為上。若非飲食之客,則布席,席間函丈。主人跪正席,客跪撫席而辭。客徹重席,主人固辭。客踐席,乃坐。主人不問,客不先舉。將即席,容毋怍。兩手摳衣,去齊尺。衣毋撥,足毋蹶。先生書策琴瑟在前,坐而遷之,戒勿越。虛坐盡後,食坐盡前。坐必安,執爾顏。長者不及,毋儳言。正爾容,聽必恭。毋勦說,毋雷同。必則古昔,稱先王。侍坐於先生:先生問焉,終則對。請業則起,請益則起。父召無諾,先生召無諾,唯而起。侍坐於所尊敬,毋餘席。見同等不起。燭至起,食至起,上客起。燭不見跋。尊客之前不叱狗。讓食不唾。

〈凡(およ)そ長者(ちやうしや)の爲(ため)に糞(ふん)するの禮(れい)は必(かなら)ず帚(はうき)を箕(き)の上(うへ)に加(くは)へ、袂(たもと)を以(もつ)て拘(かゝ)へて退(しりぞ)く。其(そ)の塵(ちり)を長者(ちやうしや)に及(およ)ばしめず、 箕(き)を以(もつ)て自(みづか)ら郷(むか)つて之(これ)を扱(きふ)す。席(せき)を奉(ほう)ずること橋(けう)衡(かう)の如(ごと)くし、席(せき)何(いづ)くに郷(むか)はんと請(こ)ひ、衽(じん)何(いづ)くに趾(あし)せんと 請(こ)ふ。席(せき)南郷(なんきやう)北郷(ほくきやう)なれば西方(せいはう)を以(もつ)て上(かみ)と爲(な)し、東郷(とうきやう)西郷(せいきやう)なれば南方(なんぽう)を以(もつ)て上(かみ)と爲(な)す。 NDLJP:1047122/65 若(も)し飮食(いんしよく)の客(かく)に非(あら)ざれば、則(すなは)ち席(せき)を布(し)くに、席間(せきかん)丈(ぢやう)を函(い)(容)る。主人(しゆじん)跪(ひざまづ)きて席(せき)を正(たゞ)す。客(かく)跪(ひざまづ)きて席(せき)を 撫(おさ)へて辭(じ)す。客(かく)重席(ぢゆうせき)を徹(てつ)す。主人(しゆじん)固辭(こじ)す。客(かく)席(せき)を踐(ふ)めば主人(しゆじん)乃(すなは)ち坐(ざ)す。主人(しゆじん)問(と)はざれば客(かく)先(ま)づ擧(あ)げず。將(まさ) に席(せき)に即(つ)かんとすれば容(かたち)怍(は)づること毋(なか)れ。兩手(りやうしゆ)にて衣(い)を摳(かゝ)げて齊(し)を去(さ)ること尺(せき)。衣(い)撥(はつ)すること毋(なか)れ。足(あし)蹶(けい) すること毋(なか)れ。 NDLJP:1047122/66-NDLJP:1047122/67 先生(せんせい)の書策(しよさく)琴瑟(きんしつ)前(まへ)に在(あ)れば坐(ざ)して之(これ)を遷(うつ)す、戒(いまし)めて越(こ)ゆること勿(なか)れ。虚坐(きよざ)には後(うしろ)を盡(つく)し、食坐(しよくざ)には前(まへ)を盡(つく) す。坐(ざ)するには必(かなら)ず安(やす)く、爾(なんぢ)の顏(がん)を執(と)れ。長者(ちやうしや)及(およ)ばざれば儳言(ざんげん)すること毋(なか)れ。爾(なんぢ)の容(かたち)を正(たゞ)しくし、聽(き)くこ と必(かなら)ず恭(きよう)なれ。剿説(さうせつ)すること毋(なか)れ、雷同(らいどう)すること毋(なか)れ。必(かなら)ず古昔(こせき)に則(のつと)り先王(せんわう)を稱(しよう)せよ。先生(せんせい)に侍坐(じざ)すると きに、先生(せんせい)問(と)へば終(をは)りて則(すなは)ち對(こた)ふ。業(げふ)を請(こ)へば則(すなは)ち起(た)ち、益(えき)を請(こ)へば則(すなは)ち起(た)つ。父(ちち)召(め)すときは諾(だく)すること 無(な)かれ、先生(せんせい)召(め)すときは諾(だく)すること無(な)かれ、唯(ゐ)して起(た)て。尊敬(そんけい)する所(ところ)に侍坐(じざ)するときは、席(せき)を餘(あま)すこと毋(なか) れ。同等(どうとう)を見(み)れば起(た)たず。燭(しよく)至(いた)れば起(た)つ。食(しよく)至(いた)れば起(た)つ。上客(じやうかく)には起(た)つ。燭(しよく)は跋(ばつ)を見(しめ)さず。尊客(そんかく)の前(まへ)には 狗(いぬ)を叱(しつ)せず、食(しよく)を讓(ゆづ)るには唾(だ)せず。〉

侍坐於君子,君子欠伸,撰杖屨,視日蚤莫,侍坐者請出矣。侍坐於君子,君子問更端,則起而對。侍坐於君子,若有告者曰:「少間,願有復也。」則左右屏而待。

〈NDLJP:1047122/69 君子(くんし)に侍坐(じざ)するときに、君子(くんし)欠伸(けんしん)して杖(ぢやう)屨(く)を撰(かぞ)へ、日(ひ)の蚤莫(さうぼ)を視(み)れば、侍坐(じざ)する者(もの)出(い)でんと請(こ)ふ。君子(くんし)に 侍坐(じざ)するときに、君子(くんし)問(と)ふこと端(たん)を更(あらた)むれば、則(すなは)ち起(た)ちて對(こた)ふ。君子(くんし)に侍坐(じざ)するとき若(も)し告(つ)ぐる者(もの)あり て、少(すこ)しく間(ひま)あらば願(ねが)はくは復(まう)すことあらんと曰(い)へば、則(すなは)ち左右(さいう)に屏(しりぞ)きて待(ま)つ。〉

毋側聽,毋噭應,毋淫視,毋怠荒。遊毋倨,立毋跛,坐毋箕,寢毋伏。斂髮毋髢,冠毋免,勞毋袒,暑毋褰裳。

〈側聽(そくちやう)すること毋(なか)れ。噭應(けうおう) すること毋(なか)れ。淫視(いんし)すること毋(なか)れ。怠荒(たいくわう)すること毋(なか)れ。遊(いう)に倨(きよ)すること毋(なか)れ。立(た)つに跛(ひ)すること毋(なか)れ。坐(ざ) するに箕(き)すること毋(なか)れ。寢(い)ぬるに伏(ふ)すこと毋(なか)れ。髪(かみ)を斂(をさ)むるに髢(てい)すること毋(なか)れ。冠(くわん)は免(べん)すること毋(なか)れ。勞(もう) するも袒(たん)すること毋(なか)れ。暑(あつ)きも裳(しやう)を褰(かゝ)ぐること毋(なか)れ。〉

侍坐於長者,屨不上於堂,解屨不敢當階。就屨,跪而舉之,屏於側。鄉長者而屨;跪而遷屨,俯而納屨。

〈NDLJP:1047122/70 長者(ちやうしや)に侍坐(じざ)するときは屨(くつ)を堂(だう)に上(あ)げず。屨(くつ)を解(と)くには敢(あへ)て階(かい)に當(あた)らず。屨(くつ)を就(つ)くるには跪(ひざまづ)きて之(これ)を擧(あ)げ 側(かたはら)に屏(しりぞ)く。長者(ちやうしや)に郷(むか)ひて屨(くつ)はくには、跪(ひざまづ)きて屨(くつ)を遷(うつ)し、俯(ふ)して屨(くつ)を納(い)る。〉

離坐,離立,毋往參焉。離立者,不出中間。

〈離坐(りざ)離立(りりつ)するときは、往(ゆ)きて參(さん)すること毋(なか)れ。離立(りりつ)する者(もの)には中間(ちゆうかん)に出(い)でず。〉

男女不雜坐。不同椸、枷。不同巾、櫛,不親授。嫂叔不通問,諸母不漱裳。外言不入於梱,內言不出於梱。女子許嫁,纓;非有大故,不入其門。姑、姊、妹、女子子,已嫁而反,兄弟弗與同席而坐,弗與同器而食。父子不同席。男女非有行媒,不相知名。非受幣,不交不親。故日月以告君,齊戒以告鬼神,為酒食以召鄉黨僚友,以厚其別也。取妻不取同姓。故買妾不知其姓則卜之。寡婦之子,非有見焉,弗與為友。

〈NDLJP:1047122/70-NDLJP:1047122/71 男女(だんぢよ)は雜坐(ざつざ)せず、椸(い)枷(か)を同(おな) じくせず、巾(きん)櫛(しつ)を同(おな)じくせず、親(みづか)ら授(さづ)けず。嫂叔(さうしゆく)問(もん)を通(つう)ぜず。諸母(しよぼ)には裳(しやう)を漱(あら)はしめず。外言(ぐわいげん)は梱(こん)より入(い) らず内言(ないげん)は梱(こん)より出(い)でず。女子(ぢよし)許嫁(きよか)して纓(えい)すれば、大故(たいこ)あるに非(あら)ざれば其(そ)の門(もん)に入(い)らず。姑(こ)姉(し)妹(まい)女子子(ぢよしし)已(すで) に嫁(か)して反(かへ)れば、兄弟(けいてい)與(とも)に席(せき)を同(おな)じくして坐(ざ)せず、與(とも)に器(うつは)を同(おな)じくして食(しよく)せず。父子(ふし)席(せき)を同(おな)じくせず。男(だん) 女(ぢよ)行媒(かうばい)あるに非(あら)ざれば名(な)を相知(あひし)らず。幣(へい)を受(う)くるに非(あら)ざれば交(まじ)はらず親(した)しまず。故(ゆゑ)に日月(じつげつ)以(もつ)て君(きみ)に告(つ)げ、 齊戒(さいかい)以(もつ)て鬼神(きしん)に告(つ)げ、酒食(しゆし)を爲(つく)り以(もつ)て郷黨(きやうたう)僚友(れういう)を召(よ)ぶ。以(もつ)て其(そ)の別(べつ)を厚(あつ)くするなり。妻(つま)を取(めと)るに同姓(どうせい)を取(めと) らず。故(ゆゑ)に妾(せふ)を買(か)ふに其(そ)の姓(せい)を知(し)らざれば則(すなは)ち之(これ)を卜(ほく)す。寡婦(くわふ)の子(こ)は見(けん)あるに非(あら)ざれば與(とも)に友(とも)たらず。〉

賀取妻者曰:「某子使某,聞子有客,使某羞。」

〈NDLJP:1047122/73 妻(つま)を取(めと)る者(もの)を賀(が)するには、某子(ぼうし)某(ぼう)を使(つかひ)せしむ、子(し)客(かく)ありと聞(き)き某(ぼう)をして羞(すゝ)めしむと曰(い)ふ。〉

貧者不以貨財為禮,老者不以筋力為禮。

〈貧者(ひんしや)は貨財(くわざい)を以(もつ)て禮(れい)と爲(な)さず。老者(らうしや)は筋力(きんりよく)を以(もつ)て禮(れい)と爲(な)さず。〉

名子者不以國,不以日月,不以隱疾,不以山川。

〈NDLJP:1047122/74 子(こ)に名(な)づくるには國(くに)を以(もつ)てせず、日月(じつげつ)を以(もつ)てせず、隱疾(いんしつ)を以(もつ)てせず、山川(さんせん)を以(もつ)てせず。〉

男女異長。男子二十,冠而字。父前,子名;君前,臣名。女子許嫁,笄而字。

〈男女(だんぢよ)長(ちやう)を異(こと)にす。男子(だんし)二十なれば冠(くわん)して字(あざな)す。父(ちゝ)の前(まへ)には子(こ)名(な)をいひ、君(きみ)の前(まへ)には臣(しん)名(な)をいふ。女子(ぢよし)許嫁(きよか) すれば笄(けい)して字(あざな)す。〉

凡進食之禮,左殽右胾,食居人之左,羹居人之右。膾炙處外,醯醬處內,蔥渫處末,酒漿處右。以脯脩置者,左朐右末。客若降等,執食興辭,主人興辭於客,然後客坐。主人延客祭:祭食,祭所先進。殽之序,徧祭之。三飯,主人延客食胾,然後辯殽。主人未辯,客不虛口。侍食於長者,主人親饋,則拜而食。主人不親饋,則不拜而食。共食不飽,共飯不澤手。毋摶飯,毋放飯,毋流歠,毋咤食,毋齧骨,毋反魚肉,毋投與狗骨。毋固獲,毋揚飯。飯黍毋以箸。毋嚃羹,毋絮羹,毋刺齒,毋歠醢。客絮羹,主人辭不能亨;客歠醢,主人辭以窶。濡肉齒決,乾肉不齒決。毋嘬炙。卒食,客自前跪,徹飯齊以授相者,主人興辭於客,然後客坐。侍飲於長者,酒進則起,拜受於尊所。長者辭,少者反席而飲。長者舉未釂,少者不敢飲。長者賜,少者賤者不敢辭。賜果於君前,其有核者懷其核。御食於君,君賜餘,器之溉者不寫,其餘皆寫。餕餘不祭。父不祭子,夫不祭妻。御同於長者,雖貳不辭,偶坐不辭。羹之有菜者用梜,其無菜者不用梜。為天子削瓜者副之,巾以絺。為國君者華之,巾以綌。為大夫累之,士疐之,庶人齕之。父母有疾,冠者不櫛,行不翔,言不惰,琴瑟不御,食肉不至變味,飲酒不至變貌,笑不至矧,怒不至詈。疾止復故。有憂者側席而坐,有喪者專席而坐。

〈NDLJP:1047122/75 凡(およ)そ食(しよく)を進(すゝ)むるの禮(れい)は、殽(かう)を左(ひだり)にし胾(し)を右(みぎ)にし、食(し)は人(ひと)の左(ひだり)に居(お)き、羹(あつもの)は人(ひと)の右(みぎ)に居(お)き、膾炙(くわいしや)は外(そと)に處(お)き、 醯醤(けいしやう)は内(うち)に處(お)き、葱㳿(そうえい)は末(すゑ)に處(お)き、酒漿(しゆしやう)は右(みぎ)に處(お)く。脯脩(ほしう)を以(もつ)て置(お)くには、朐(こう)を左(ひだり)にし末(すゑ)を右(みぎ)にす。客(かく)若(も) し降等(かうとう)なれば、食(しよく)を執(と)りて興(た)ちて辭(じ)す。主人(しゆじう〔ママ〕)興(た)ちて客(かく)に辭(じ)し、然(しか)る後(のち)に客(かく)坐(ざ)す。主人(しゆじん)客(かく)を延(ひ)きて祭(まつ)る。食(しよく) を祭(まつ)るには先(ま)づ進(すゝ)むる所(ところ)を祭(まつ)る。殽(かう)の序(じよ)は徧(あまね)く之(これ)を祭(まつ)る。三飯(ぱん)すれば、主人(しゆじん)客(かく)を延(ひ)きて胾(し)を食(くら)ふ。然(しか)る後(のち) に殽(かう)を辯(あまね)くす。主人(しゆじん)未(いま)だ辯(あまね)くせざれば、客(かく)口(くち)を虚(むな)しくせず。 NDLJP:1047122/76 長者(ちやうしや)に侍食(じしよく)するに、主人(しゆじん)親(みづか)ら饋(おく)れば則(すなは)ち拜(はい)して食(くら)ふ。主人(しゆじん)親(みづか)ら饋(おく)らざれば則(すなは)ち拜(はい)せずして食(くら)ふ。 食(しよく)を共(とも)にすれば飽(あ)かず、飯(はん)を共(とも)にすれば手(て)を澤(も)まず。 NDLJP:1047122/77 飯(はん)を搏(まろ)むること毋(なか)れ。放飯(はうはん)すること毋(なか)れ。流歠(りうせつ)すること毋(なか)れ。咤食(たしよく)すること毋(なか)れ。骨(ほね)を齧(か)むこと毋(なか)れ。魚(ぎよ) 肉(にく)を反(かへ)すこと毋(なか)れ。狗(いぬ)に骨(ほね)を投(な)げ與(あた)ふること毋(なか)れ。固(かた)く獲(え)んとすること毋(なか)れ。飯(はん)を揚(あ)ぐること毋(なか)れ。黍(しよ)を 飯(はん)するに箸(はし)を以(もつ)てすること毋(なか)れ。羹(あつもの)を𡄤(あらのみ)すること毋(なか)れ。羮(あつもの)を絮(とゝの)ふること毋(なか)れ。齒(は)を刺(さ)すこと毋(なか)れ。醢(がい)を 歠(すゝ)ること毋(なか)れ。客(かく)羹(あつもの)を絮(とゝの)ふれば主人(しゆじん)亨(に)ること能(あた)はずと辭(じ)し、客(かく)醢(かい)を歠(すゝ)れば主人(しゆじん)辭(じ)するに窶(く)を以(もつ)てす。濡(じゆ) 肉(にく)は齒決(しけつ)す。乾肉(かんにく)は齒決(しけつ)せず。炙(しや)を嘬(さい)すること毋(なか)れ。 NDLJP:1047122/78 食(しよく)を卒(をは)れば客(かく)前(まへ)より跪(ひざまづ)き、飯齊(はんせい)を徹(てつ)して以(もつ)て相者(しやうしや)に授(さづ)く。主人(しゆじん)興(た)ちて客(かく)に辭(じ)す。然(しか)る後(のち)に客(かく)坐(ざ)す。 長者(ちやうしや)に侍飮(じいん)するに、酒(さけ)進(すゝ)めば則(すなは)ち起(た)ち、拜(はい)して尊所(そんしよ)に受(う)く。長者(ちやうしや)辭(じ)す。少者(せうしや)席(せき)に反(かへ)りて飮(の)む。長者(ちやうしや)擧(あ)げて 未(いま)だ釂(しやく)せざれば少者(せうしや)敢(あへ)て飮(の)まず。 NDLJP:1047122/79 長者(ちやうしや)少者(せうしや)賤者(せんしや)に賜(たま)へば、敢(あへ)て辭(じ)せず。 果(くわ)を君前(くんぜん)に賜(たま)へば、其(そ)の核(かく)ある者(もの)は其(そ)の核(かく)を懷(ふところ)にす。 君(きみ)に御食(ぎよしよく)するに、君(きみ)餘(あまり)を賜(たま)へば、器(うつは)の漑(あら)ふべき者(もの)は寫(うつ)さず、其(そ)の餘(よ)は皆(みな)寫(うつ)す。 NDLJP:1047122/80 餕餘(しゆんよ)の祭(まつ)らざるは、父(ちゝ)子(こ)に祭(まつ)らず、夫(をつと)妻(つま)に祭(まつ)らざるのみ。 長者(ちやうしや)に御同(ぎよどう)するときには、貳(じ)と雖(いへど)も辭(じ)せず。 偶坐(ぐうざ)するときは辭(じ)せず。 NDLJP:1047122/81 羹(あつもの)の菜(さい)ある者(もの)は梜(はし)を用(もち)ひ、其(そ)の菜(さい)無(な)き者(もの)は梜(はし)を用(もち)ひず。 天子(てんし)の爲(ため)に瓜(うり)を削(さ)くには之(これ)を副(ふく)巾(おほ)ふに絺(ち)を以(もつ)てす。 國君(こくくん)の爲(ため)にするには之(これ)を華(くわ)し、巾(おほ)ふに綌(げき)を以(もつ)てす。大夫(たいふ)の爲(ため)には之(これ)を累(ら)し、士(し)には之(これ)を疐(てい)し、庶人(しよじん)には之(これ) を齕(こつ)す。 父母(ふぼ)疾(やまひ)あれば冠者(くわんじや)櫛(くし)けづらず、行(ゆ)くに翔(しやう)せず、言(ことば)惰(おこた)らず、琴瑟(きんしつ)御(ぎよ)せず、肉(にく)を食(くら)ふも味(あぢは)ひを變(へん)ずるに至(いた)ら ず、酒(さけ)を飮(の)むも貌(かたち)を變(へん)ずるに至(いた)らず、笑(わら)ふも矧(しん)に至(いた)らず、怒(いか)るも詈(のゝし)るに至(いた)らず。疾(やまひ)止(や)めば故(もと)に復(かへ)る。憂(うれひ)あ る者(もの)は側席(そくせき)して坐(ざ)し、喪(も)ある者(もの)は專席(せんせき)して坐(ざ)す。〉

水潦降,不獻魚鱉,獻鳥者佛其首,畜鳥者則勿佛也。獻車馬者執策綏,獻甲者執冑,獻杖者執末。獻民虜者操右袂。獻粟者執右契,獻米者操量鼓。獻孰食者操醬齊。獻田宅者操書致。凡遺人弓者:張弓尚筋,弛弓尚角。右手執簫,左手承弣。尊卑垂帨。若主人拜,則客還辟,辟拜。主人自受,由客之左,接下承弣;鄉與客並,然後受。進劍者左首。進戈者前其鐏,後其刃。進矛戟者前其鐓。進几杖者拂之。效馬效羊者右牽之;效犬者左牽之。執禽者左首。飾羔鴈者以繢。受珠玉者以掬。受弓劍者以袂。飲玉爵者弗揮。凡以弓劍、苞苴、簞笥問人者,操以受命,如使之容。

〈NDLJP:1047122/82 水潦(すゐらう)降(くだ)れば魚鼈(ぎよべつ)を獻(けん)ぜず。鳥(とり)を獻(けん)ずる者(もの)は其(そ)の首(くび)を佛(もと)らす。畜鳥(ちくてう)は則(すなは)ち佛(もと)らすこと勿(な)し。車馬(しやば)を獻(けん)ずる者(もの) は策綏(さくすゐ)を執(と)り、甲(かふ)を獻(けん)ずる者(もの)は冑(ぢう)を執(と)り、杖(つゑ)を獻(けん)ずる者(もの)は末(すゑ)を執(と)り、民虜(みんりよ)を獻(けん)ずる者(もの)は右袂(いうべい)を操(と)り、粟(ぞく)を 獻(けん)ずる者(もの)は右契(いうけい)を執(と)り、米(こめ)を獻(けん)ずる者(もの)は量鼓(りやうこ)を操(と)り、孰食(じゆくしよく)を獻(けん)ずる者(もの)は醤齊(しやうせい)を操(と)り、田宅(でんたく)を獻(けん)ずる者(もの)は 書(しよ)を操(と)りて致(いた)す。凡(およ)そ人(ひと)に弓(ゆみ)を遺(おく)る者(もの)は、張弓(ちやうきう)は筋(きん)を尚(うへ)にし、弛弓(しきう)は角(かく)を尚(うへ)にす。右手(いうしゆ)に簫(せう)を執(と)り、左手(さしゆ) に弣(ふ)を承(う)け、尊卑(そんぴ)帨(ぜい)を垂(た)る。若(も)し主人(しゆじん)拜(はい)すれば則(すなは)ち客(かく)還辟(くわんべき)して拜(はい)を辟(き)く。主人(しゆじん)自(みづか)ら受(う)くるには、客(かく)の左(ひだり)よ り下(しも)に接(せつ)し弣(ふ)を承(う)け、郷(むか)ひて客(かく)と竝(なら)び、然(しか)る後(のち)に受(う)く。劒(けん)を進(すゝ)むる者(もの)は首(しゆ)を左(ひだり)にし、戈(ほこ)を進(すゝ)むる者(もの)は其(そ)の 鐏(そん)を前(まへ)にし、其(そ)の刃(じん)を後(うしろ)にし、矛戟(ぼうげき)を進(すゝ)むる者(もの)は其(そ)の鐓(たい)を前(まへ)にす。 NDLJP:1047122/84 几杖(きぢやう)を進(すゝ)むる者(もの)は之(これ)を拂(はら)ひ、馬(うま)を效(いた)し羊(ひつじ)を效(いた)す者(もの)は右(みぎ)に之(これ)を牽(ひ)く。犬(いぬ)を效(いた)す者(もの)は左(ひだり)に之(これ)を牽(ひ)く。禽(きん)を執(と)る 者(もの)は首(くび)を左(ひだり)にし、羔鴈(かうがん)を飾(かざ)る者(もの)は繢(くわい)を以(もつ)てし、珠玉(しゆぎよく)を受(う)くる者(もの)は掬(きく)を以(もつ)てし、弓劒(きうけん)を受(う)くる者(もの)は袂(たもと)を以(もつ)て す。玉爵(ぎよくしやく)に飮(の)む者(もの)は揮(ふる)はず。凡(およ)そ弓劒(きうけん)苞苴(はうしよ)簟笥(たんし)を以(もつ)て人(ひと)に問(おく)る者(もの)は操(と)りて以(もつ)て命(めい)を受(う)く、使(つかひ)の容(かたち)の如(ごと)し。〉

凡為君使者,已受命,君言不宿於家。君言至,則主人出拜君言之辱;使者歸,則必拜送于門外。若使人於君所,則必朝服而命之;使者反,則必下堂而受命。

〈NDLJP:1047122/85 凡(およ)そ君(きみ)の爲(ため)に使(つかひ)する者(もの)は、已(すで)に命(めい)を受(う)くれば君言(くんげん)家(いへ)に宿(とゞ)めず。君言(くんげん)至(いた)れば則(すなは)ち主人(しゆじん)出(いで)て君言(くんげん)の辱(かたじけな)きを拜(はい) し、使者(ししや)歸(かへ)れば則(すなは)ち必(かなら)ず門外(もんぐわい)に拜送(はいそう)す。若(も)し人(ひと)を君(きみ)の所(ところ)に使(つかひ)せしむれば、則(すなは)ち必(かなら)ず朝服(てうふく)して之(これ)に命(めい)ず。使(し) 者(しや)反(かへ)れば則(すなは)ち必(かなら)ず堂を下(くだ)りて命(めい)を受(う)く。〉

博聞強識而讓,敦善行而不怠,謂之君子。君子不盡人之歡,不竭人之忠,以全交也。《禮》曰:「君子抱孫不抱子。」此言孫可以為王父尸,子不可以為父尸。為君尸者,大夫士見之,則下之。君知所以為尸者,則自下之,尸必式。乘必以几。齊者不樂不弔。

〈博聞(はくぶん)強識(きゃうしき)にして讓(ゆづ)り、善行(ぜんかう)に敦(あつ)くして怠(おこた)らず、之(これ)を君子(くんし)と謂(い)ふ。君子(くんし)は人(ひと)の歡(くわん)を盡(つく)さず、人(ひと)の忠(ちゆう)を竭(つく)さ ず、以(もつ)て交(まじは)りを全(まつた)くす。 NDLJP:1047122/86 禮(れい)に曰(いは)く、君子(くんし)は孫(まご)を抱(いだ)き子(こ)を抱(いだ)かず。此(こ)れ孫(まご)は以(もつ)て王父(わうふ)の尸(し)たるべく、子(こ)は以(もつ)て父(ちゝ)の尸(し)たるべからざる を言(い)ふなり。君(きみ)の尸(し)たる者(もの)をば、大夫(たいふ)士(し)之(これ)を見(み)れば則(すなは)ち之(これ)に下(くだ)る。君(きみ)尸(し)たる所以(ゆゑん)の者(もの)を知(し)れば則(すなは)ち自(みづか)ら之(これ) に下(くだ)る。尸(し)は必(かなら)ず式(しよく)す。乘(の)るに必(かなら)ず几(き)を以(もつ)てす。齊(ものいみ)する者(もの)は樂(がく)せず弔(てう)せず。〉

居喪之禮,毀瘠不形,視聽不衰。升降不由阼階,出入不當門隧。

〈NDLJP:1047122/87 喪(も)に居(を)るの禮(れい)は毀瘠(きせき)形(あら)はれず、視聽(しちやう)衰(おとろ)へず、升降(しようかう)阼階(そかい)に由(よ)らず、出入(しゆつにふ)門(もん)隧(すゐ)に當(あた)らず。〉

居喪之禮,頭有創則沐,身有瘍則浴,有疾則飲酒食肉,疾止復初。不勝喪,乃比於不慈不孝。五十不致毀,六十不毀,七十唯衰麻在身,飲酒食肉,處於內。生與來日,死與往日。知生者弔,知死者傷。知生而不知死,弔而不傷;知死而不知生,傷而不弔。弔喪弗能賻,不問其所費。問疾弗能遺,不問其所欲。見人弗能館,不問其所舍。賜人者不曰「來取」。與人者不問其所欲。

〈喪(も)に居(を)るの禮(れい)は頭(か(判読困難))に 創(きず)あれば則(すなは)ち沐(もく)し、身(み)に瘍(やう)あれば則(すなは)ち浴(よく)し、疾(やまひ)あれば則(すなは)ち酒(さけ)を飮(の)み肉(にく)を食(くら)ひ、疾(やまひ)止(や)めば初(はじめ)に復(ふく)す。喪(も)に勝((判読困難)) へざれば乃(すなは)ち不慈(ふじ)不孝(ふかう)に比(ひ)す。五十は毀(き)を致(いた)さず、六十は毀(やぶ)らず。七十は唯(た)だ衰麻(さいま)身(み)に在(あ)るのみ酒(さけ)を飮(の)み 肉(にく)を食(くら)ひて内(うち)に處(を)る。 NDLJP:1047122/88 生(せい)には來日(らいじつ)を與(かぞ)へ、死(し)には往日(わうじつ)を與(かぞ)ふ。 NDLJP:1047122/89 生(せい)を知(し)る者(もの)は弔(てう)し、死(し)を知(し)る者(もの)は傷(いた)む。生(せい)を知(し)りて死(し)を知(し)らざれば弔(てう)して傷(いた)まず。死(し)を知(し)りて生(せい)を知(し)らざ れば傷(いた)みて弔(てう)せず。 喪(も)を弔(てう)して賻(ふ)すること能(あた)はざれば、其(そ)の費(つひや)す所(ところ)を問(と)はず。疾(やまひ)を問(と)うて遺(おく)ること能(あた)はざれば、其(そ)の欲(ほつ)する所(ところ) を問(と)はず。人(ひと)を見(み)て館(くわん)すること能(あた)はざれば、其(そ)の舍(しや)する所(ところ)を問(と)はず。人(ひと)に賜(たま)ふ者(もの)は來(きた)り取(と)れと曰(い)はず。人(ひと) に與(あた)ふる者(もの)は其(そ)の欲(ほつ)する所(ところ)を問(と)はず。〉

適墓不登壟,助葬必執紼。臨喪不笑。揖人必違其位。望柩不歌。入臨不翔。當食不歎。鄰有喪,舂不相。里有殯,不巷歌。適墓不歌。哭日不歌。送喪不由徑,送葬不辟塗潦。臨喪則必有哀色,執紼不笑,臨樂不歎;介冑則有不可犯之色。故君子戒慎,不失色於人。國君撫式,大夫下之。大夫撫式,士下之。禮不下庶人,刑不上大夫。刑人不在君側。

〈NDLJP:1047122/90 墓(はか)に適(ゆ)けば壟(ろう)に登(のぼ)らず。葬(さう)を助(たす)くるには必(かなら)ず紼(ふつ)を執(と)る。喪(も)に臨(のぞ)みては笑(わら)はず。人(ひと)を揖(いふ)するに必(かなら)ず其(そ)の位(くらゐ)を 違(さ)る。柩(きう)を望(のぞ)みて歌(うた)はず。入(い)りて臨(りん)するに翔(しやう)せず。食(しよく)に當(あた)りては歎(たん)ぜず。鄰(となり)に喪(も)あれば舂(うすつ)くに相(しやう)せず。里(り) に殯(ひん)あれば巷歌(こうか)せず。墓(はか)に適(ゆ)けば歌(うた)はず。哭(こく)する日(ひ)には歌(うた)はず。喪(も)を送(おく)るには徑(こみち)に由(よ)らず。葬(さう)を送(おく)るには 塗潦(とらう)を辟(さ)けず。喪(も)に臨(のぞ)めば則(すなは)ち必(かなら)ず哀色(あいしよく)あり。紼(ふつ)を執(と)りては笑(わら)はず。樂(がく)に臨(のぞ)めば歎(たん)ぜず。介冑(かいちう)すれば則(すなは)ち 犯(をか)すべからざるの色(いろ)あり。故(ゆゑ)に君子(くんし)は戒愼(かいしん)して色(いろ)を人(ひと)に失(うしな)はず。國君(こくくん)式(しよく)に撫(よ)れば大夫(たいふ)之(これ)に下(くだ)る。大夫(たいふ)式(しよく)に 撫(よ)れば士(し)之(これ)に下(くだ)る。禮(れい)は庶人(しよじん)に下(くだ)らず。刑(けい)は大夫(たいふ)に上(のぼ)らず。刑人(けいじん)は君側(くんそく)に在(あ)らず。〉

兵車不式。武車綏旌,德車結旌。

〈NDLJP:1047122/92 兵車(へいしや)には式(しよく)せず。武車(ぶしや)は旌(せい)を綏(た)れ、徳車(とくしや)は旌(せい)を結(むす)ぶ。〉

史載筆,士載言。前有水,則載青旌。前有塵埃,則載鳴鳶。前有車騎,則載飛鴻。前有士師,則載虎皮。前有摯獸,則載貔貅。行:前朱鳥而後玄武,左青龍而右白虎。招搖在上,急繕其怒。進退有度,左右有局,各司其局。

〈NDLJP:1047122/93 史(し)は筆(ふで)を載(の)せ、士(し)は言(こと)を載(の)す。前(まへ)に水(みづ)あれば則(すなは)ち青旌(せいせい)を載(た)つ。前(まへ)に塵埃(じんあい)あれば則(すなは)ち鳴鳶(めいえん)を載(た)つ。前(まへ)に車騎(しやき) あれば則(すなは)ち飛鴻(ひこう)を載(た)つ。前(まへ)に士師(しし)あれば則(すなは)ち虎皮(こひ)を載(た)つ。前(まへ)に摯獸(しじう)あれば則(すなは)ち貔貅(ひきう)を載(た)つ。行(ゆ)けば朱鳥(しゆてう)を 前(まへ)にして玄武(げんぶ)を後(うしろ)にし、青龍(せいりよう)を左(ひだり)にして白虎(びやくこ)を右(みぎ)にし、招搖(せうえう)上(うえ)に在(あ)り、其(そ)の怒(いかり)を急繕(きふぜん)す。進退(しんたい)度(ど)あり、左(さ) 右(いう)局(きよく)あり、各(おの〳〵)其(そ)の局(きよく)を司(つかさど)る。〉

父之讎,弗與共戴天。兄弟之讎不反兵。交遊之讎不同國。

〈NDLJP:1047122/94 父(ちゝ)の讎(あだ)は與(とも)に共(とも)に天(てん)を戴(いたゞ)かず。兄弟(けいてい)の讎(あだ)は兵(へい)に反(かへ)らず。交遊(かういう)の讎(あだ)は國(くに)を同(おな)じくせず。〉

四郊多壘,此卿大夫之辱也。地廣大,荒而不治,此亦士之辱也。

〈NDLJP:1047122/95 四郊(かう)壘(るゐ)多(おほ)きは、此(こ)れ卿(けい)大夫(たいふ)の辱(はぢ)なり。地(ち)廣大(くわうだい)にして荒(あ)れて治(をさ)まらざるは、此(こ)れ亦(また)士(し)の辱(はぢ)なり。〉

臨祭不惰。祭服敝則焚之,祭器敝則埋之,龜筴敝則埋之,牲死則埋之。凡祭於公者,必自徹其俎。

〈祭(まつり)に臨(のぞ)めば惰(おこた)らず。祭服(さいふく)敝(やぶ)るれば則(すはな)ち之(これ)を焚(や)き、祭器(さいき)敝(やぶ)るれば則(すなは)ち之(これ)を埋(うづ)め、龜筴(きさく)敝(やぶ)るれば則(すなは)ち之(これ)を埋(うづ)め、 牲死(せいし)すれば則(すなは)ち之(これ)を埋(うづ)む。凡(およ)そ公(こう)に祭(まつ)る者(もの)は必(かなら)ず自(みづか)ら其(そ)の爼(そ)を徹(てつ)す。〉

卒哭乃諱。禮,不諱嫌名。二名不偏諱。逮事父母,則諱王父母;不逮事父母,則不諱王父母。君所無私諱,大夫之所有公諱。詩書不諱,臨文不諱。廟中不諱。夫人之諱,雖質君之前,臣不諱也;婦諱不出門。大功小功不諱。入竟而問禁,入國而問俗,入門而問諱。

〈NDLJP:1047122/96 卒哭(そつこく)すれば乃(すなは)ち諱(い)む。禮(れい)は嫌名(けんめい)を諱(い)まず、二名(めい)は偏諱(へんき)せず。父母(ふぼ)に事(つか)ふるに逮(およ)べば則(すなは)ち王父母(わうふぼ)を諱(い)む。父(ふ) 母(ぼ)に事(つか)ふるに逮(およ)ばざれば則(すなは)ち王父母(わうふぼ)を諱(い)まず。君(きみ)の所(ところ)には私(わたくし)の諱(いみな)無(な)く、大夫(たいふ)の所(ところ)には公(こう)の諱(いみな)あり。詩(し)書(しよ) には諱(い)まず、文(ぶん)に臨(のぞ)みては諱(い)まず、廟中(べうちゆう)には諱(い)まず。夫人(ふじん)の諱(いみな)は君(きみ)の前(まへ)に質(こた)ふと雖(いへど)も、臣(しん)諱(い)まざるなり。 婦(ふ)の諱(いみな)は門(もん)を出(い)でず。大功(たいこう)小功(せうこう)は諱(いな)まず。竟(さかひ)に入(い)りては禁(きん)を問(と)ひ、國(くに)に入(い)りては俗(ぞく)を問(と)ひ、門(もん)に入(い)りては 諱(いみな)を問(と)ふ。〉

外事以剛日,內事以柔日。凡卜、筮日:旬之外曰遠某日,旬之內曰近某日。喪事先遠日,吉事先近日。曰:「為日,假爾泰龜有常,假爾泰筮有常。」卜、筮不過三,卜、筮不相襲。龜為卜,筴為筮,卜、筮者,先聖王之所以使民信時日,敬鬼神,畏法令也;所以使民決嫌疑,定猶與也。故曰:「疑而筮之,則弗非也;日而行事,則必踐之。」

〈NDLJP:1047122/98 外事(ぐわいじ)には剛日(がうじつ)を以(もち)ひ、内事(ないじ)には柔日(じうじつ)を以(もち)ふ。凡(およ)そ日(ひ)を卜(ぼく)筮(ぜい)するに、旬(じゆん)の外(ほか)には遠某日(ゑんぼうじつ)と曰(い)ひ、旬(じゆん)の内(うち)には 近某日(きんぼうじつ)と曰(い)ふ。喪事(さうじ)は遠日(ゑんじつ)を先(さき)にし、吉事(きつじ)は近日(きんじつ)を先(さき)にす。曰(いは)く日(ひ)を爲(えら)ぶに爾(なんぢ)の泰龜(たいき)の常(つね)あるに假(よ)る、爾(なんぢ) の泰筮(たいぜい)の常(つね)あるに假(よ)ると。卜(ぼく)筮(ぜい)三に過(す)ぎず。卜(ぼく)筮(ぜい)相襲(あひよ)らず。 NDLJP:1047122/99 龜(き)を卜(ぼく)と爲(な)し、筴(さく)を筮(ぜい)と爲(な)す。卜(ぼく)筮(ぜい)は先聖王(せんせいわう)の民(たみ)をして時日(じじつ)を信(しん)じ、鬼神(きしん)を敬(けい)し、法令(はふれい)を畏(おそ)れしむる所以(ゆゑん) の者(もの)なり。民(たみ)をして嫌疑(けんぎ)を決(けつ)し、猶與(いうよ)を定(さだ)めしむる所以(ゆゑん)の者(もの)なり。故(ゆゑ)に曰(いは)く、疑(うたが)うて之(これ)を筮(ぜい)すれば則(すなは)ち非(そし) らず。日(ひ)にして事(こと)を行(おこな)へば則(すなは)ち必(かなら)ず之(これ)を踐(よ)しとす。〉

君車將駕,則僕執策立於馬前。已駕,僕展軨效駕,奮衣由右上,取貳綏,跪乘,執策分轡,驅之,五步而立。君出就車,則僕并轡授綏。左右攘辟,車驅而騶。至于大門,君撫僕之手,而顧命車右就車;門閭、溝渠必步。凡僕人之禮,必授人綏。若僕者降等,則受;不然,則否。若僕者降等,則撫僕之手,不然,則自下拘之。客車不入大門。婦人不立乘。犬馬不上於堂。故君子式黃髮,下卿位;入國不馳,入里必式。君命召,雖賤人,大夫士必自御之。介者不拜,為其拜而蓌拜。祥車曠左,乘君之乘車不敢曠左;左必式。僕御婦人,則進左手,後右手;御國君,則進右手,後左手,而俯。國君不乘奇車。車上不廣欬,不妄指。立視五巂,式視馬尾,顧不過轂。國中以策彗恤勿驅勿驅。塵不出軌。國君下齊牛,式宗廟。大夫士下公門,式路馬。乘路馬必朝服,載鞭策,不敢授綏,左必式。步路馬,必中道。以足蹙路馬芻,有誅。齒路馬,有誅。

〈NDLJP:1047122/100 君(きみ)の車(くるま)將(まさ)に駕(が)せんとすれば、則(すなは)ち僕(ぼく)策(さく)を執(と)りて馬(うま)の前(まへ)に立(た)つ。已(すで)に駕(が)すれば、僕(ぼく)軨(れい)を展(み)、駕(が)せりと效(まを)す。 衣(い)を奮(ふる)ひ右(みぎ)より上(のぼ)り、貳綏(じすゐ)を取(と)り、跪(ひざまづ)きて乘(の)る。策(さく)を執(と)り轡(ひ)を分(わ)け、之(これ)を驅(か)ること五歩(ほ)にして立(た)つ。君(きみ)出(いで) て車(くるま)に就(つ)けば、則(すなは)ち僕(ぼく)轡(ひ)を并(あは)せて綏(すゐ)を授(さづ)く。左右(さいう)攘(じやう)辟(ひ)す。車(くるま)驅(か)りて騶(はし)り大門(だいもん)に至(いた)れば、君(きみ)僕(ぼく)の手(て)を撫(おさ)へて 顧(かへり)みて車右(しやいう)に命(めい)じ、車(くるま)に就(つ)かしむ。門閭(もんりよ)溝渠(こうきよ)には必(かなら)ず歩(ほ)す。凡(およ)そ人(ひと)に僕(ぼく)たるの禮(れい)は、必(かなら)ず人(ひと)に綏(すゐ)を授(さづ)く。 若(も)し僕者(ぼくしや)降等(かうとう)なれば則(すなは)ち受(う)く。然(しか)らざれば則(すなは)ち否(しかせ)ず。若(も)し僕者(ぼくしや)降等(かうとう)なれば、則(すなは)ち僕(ぼく)の手(て)を撫(おさ)へ、然(しか)らざれ ば則(すなは)ち下(した)より之(これ)を拘(こう)す。客車(かくしや)は大門(だいもん)に入(い)らず。婦人(ふじん)は立(た)ちて乘(の)らず。犬馬(けんば)は堂(だう)に上(のぼ)らず。 NDLJP:1047122/102 故(ゆゑ)に君子(くんし)は黄髪(くわうはつ)に式(しよく)し、卿(けい)の位(ゐ)に下(くだ)り、國(くに)に入(い)れば馳(は)せず、里(り)に入(い)れば必(かなら)ず式(しよく)す。君(きみ)命(めい)じて召(め)せば、賤人(せんじん) と雖(いへど)も大夫(たいふ)士(し)必(かなら)ず自(みづか)ら之(これ)に御(ぎよ)たり。介(かい)する者(もの)は拜(はい)せず、其(そ)の拜(はい)せんとすれば拜(はい)を蓌(ざ)するが爲(た)めなり。祥車(しやうしや) は左(ひだり)を曠(むな)しくす。君(きみ)の乘車(じようしや)に乘(の)れば敢(あへ)て左(ひだり)を曠(むな)しくせず。左(ひだり)すれば必(かなら)ず式(しよく)す。僕(ぼく)婦人(ふじん)に御(ぎよ)たれば則(すなは)ち左手(さしゆ) を進(すゝ)めて右手(いうしゆ)を後(うしろ)にす。國君(こくくん)に御(ぎよ)たれば則(すなは)ち右手(いうしゆ)を進(すゝ)め、左手(さしゆ)を後(うしろ)にして俯(ふ)す。國君(こくくん)は奇車(きしや)に乘(の)らず。車(しや) 上(じやう)には廣欬(くわうがい)せず、妄(みだ)りに指(ゆび)さゝず。立(た)てば五雟(けい)を視(み)、式(しよく)すれば馬尾(ばび)を視(み)る。顧(かへり)みること轂(こく)に過(す)ぎず。國中(こくちゆう) には策(さく)の彗(すゐ)を以(もつ)て䘏(な)で、驅(か)ること勿(なか)れ。塵(ちり)軌(き)を出(い)でしめず。國君(こくくん)は齊牛(せいぎう)に下(くだ)り、宗廟(そうべう)に式(しよく)す。大夫(たいふ)士(し)は公(こう) 門(もん)に下(くだ)り、路馬(ろば)に式(しよく)す。路馬(ろば)に乘(の)れば必(かなら)ず朝服(てうふく)し、鞭策(べんさく)を載(の)せ、敢(あへ)て綏(すゐ)を授(さづ)けず。左(ひだり)すれば必(かなら)ず式(しよく)す。路(ろ) 馬(ば)を歩(ほ)せしむるには必(かなら)ず道(みち)に中(ちゆう)す。足(あし)を以(もつ)て路馬(ろば)の芻(すう)を蹙(ふ)めば誅(せめ)あり。路馬(ろば)を齒(とし)かぞふれば誅(せめ)あり。〉

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原文:

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翻訳文:

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