甘糟太郎忠綱に示す御詞 (法然上人全集)

甘糟太郎忠綱に示す御詞

建久三年十一月十五日。甘糟の太郎忠綱。上人に参じて申様。弓箭の家業をもすてず。徃生の素意をもとぐる道侍らば。願くは御一言を承らんと申ければ。上人仰らるゝ様。彌陀の本願は。機の善惡をいはず。行の多少を論せず。身の淨不淨をえらばず。時處諸緣をきらはざれば。死の緣によるべからず。罪人は罪人ながら。名號を唱へて徃生す。これ本願の不思議也。弓箭の家に生れたる人。たとひ軍陣にたゝかひ。命を失ふとも。念佛せば。本願に乗じ。來迎に預らん事。ゆめ疑べからず。

〈勅修御傳。九巻傳等に出づ〉

この著作物は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日(2018年12月30日)の時点で著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以上経過しているため、日本においてパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、1929年1月1日より前に発行された(もしくはアメリカ合衆国著作権局に登録された)ため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。