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沼の家 作者：新美南吉 1935年3月 底本:『校定 新美南吉全集 第8巻』大日本図書、1981年。 沼（ぬま）の家（いえ） 母さんお窓をしめましよう、 もう郭公鳥（くわつこう）は鳴きませぬ。 林の虹も消󠄁えました、 沼には靄がおりました。 母さんお窓をしめましよう、 風がひえひえいたします。 もうすぐ夜が來るのです。…

准 殉 純 循 順 準 潤 遵 処 初 所 書 庶 暑 署 緒 諸 女 如 助 序 叙 徐 除 小 升 少 召 匠 床 抄 肖 尚 招 承 昇 松 沼 昭 宵 将 消 症 祥 称 笑 唱 商 渉 章 紹 訟 勝 掌 晶 焼 焦 硝 粧 詔 証 象 傷 奨 照 詳 彰 障 憧 衝 賞 償 礁 鐘 上…

取手（とりで）の西北守（せいほくもり）谷（や）こそ 平親王（）の夢（ゆめ）のあと 藤代（）、牛（うし）久（く）の左手（ゆんで）には 牛（うし）久（く）沼（ぬま）とてその周囲（めぐり） 六（ろく）里（り）に余（あま）る沼（ぬま）ありて 漁（）る小舟（）の白（しら）帆見（ほみ）ゆ 龍（）ケ崎（）にと來（き）て見（み）れば 女化原（）の物凄（）く…

ニシ　早瀬 ポ子ト　小崎 ペツ　川 ワㇰカ　水 ペチリ　細溝 イチヤン　鮭ノ産卵塲 ペンケ　川上 ペ　水 トー　沼、湖 トーエトコ　沼ノ前 チヤラセ　小瀧 チウルイ　急流 チウウシ　早瀬 チヤララ　崕ニ沼フテ落ル流レ チワㇱュ　急流 ヌプル　濁リ ワウン　渉リ塲 カリ　回流 タオル　高キ川岸 レプ　海 レプン　海中…

云：『經始靈臺，經之營之，庶民攻之，不日成之。經始勿亟，庶民子來。王在靈囿，麀鹿攸伏，麀鹿濯濯，白鳥鶴鶴。王在靈沼，於牣魚躍。』文王以民力爲臺爲沼，而民歡樂之，謂其臺曰靈臺，謂其沼曰靈沼，樂其有麋鹿魚鱉。古之人與民偕樂，故能樂也。湯誓曰：『時日害喪，予及女皆亡。』民欲與之偕亡，雖有臺池鳥獸，豈能獨樂哉？」…

とばかり詠（よ）みし例（ため）しあり 直（す）ぐ松嶋（まつしま）の滊（き）車（しや）にのり 鹿（か）嶋臺（しまだい）にと向ふれは 周（めぐ）圍（り）五里餘（よ）の品（しな）井（ゐ）沼（ぬま） 面積（めんせき）一千二百丁 次　（　つき〔ママ〕）は小牛田（こごた）の山（やま）の神（かみ） 實（げ）にや靈現（れいげん）あらたかく…

逃（に）げて籠（こも）りし跡（あと）は今（いま） 古（こ）松（しよう）老杉日（らうさんにつ）光（くわう）を 遮（さへぎ）る中（なか）に赤（あか）間（ま）沼（ぬま） 利根（とね）の流（ながれ）を打（う）ち眺（なが）め そよぎふきくる涼風（すゞかぜ）に 夢結（ゆめむす）ぶてふ公園（こうゑん）と なりてとむらふ人多（ひとおほ）し、…

修善（しゆぜん）寺（じ）､湯（ゆ）が島（しま）､和田（わだ）､伊（い）東（とう） 溫泉（おんせん）多（おほ）し伊豆（いづ）半島（はんとう） 沼（ぬま）津（づ）の近（ちか）くの海（うみ）邊（べ）には 波（なみ）靜浦（しづうら）の汐（しほ）あみ塲（ば） 千本松原散（せんぼんまつばらさん）步（ぽ）して…

山（やま）も漸（やうや）く遠（とほ）ざかる その遠（とほ）ざかる川山（かはやま）の 離（はな）れて見（み）れば懷（なつ）かしと 語（かた）らふ間（ひま）に來（きた）りしは 沼（ぬま）の端（は）驛（えき）と聞（きこ）えたり 今渡（いまわた）りしは何川（なにかは）か あれぞ勇拂川（いうぶつがは）になん いよ／＼山（やま）に別（わか）れつゝ…

東（ひがし）神奈（かな）川（がは）立（た）つ汽（き）車（しや）の 行（ゆ）くてはそれよ八王（はちわう）寺（じ）〔ママ〕 神奈（かな）川（がは）過󠄁（す）ぎて平󠄁沼（ひらぬま）の あなたを見（み）れば百船󠄂（もゝふね）の 煙󠄁（けむり）は空󠄁（そら）をこがすまで こゝ橫濱（よこはま）の大（おほ）港󠄁（みなと）…

豆（づ）相線（さうせん）路（ろ）のわかれみち 驛（えき）には此（この）地（ち）の名（な）をえたる 官（くわん）幣大社（ぺいたいしや）の宮（みや）居（ゐ）あり 沼（ぬま）津（づ）の海（うみ）に聞（きこ）えたる 里（さと）は牛伏（うしぶせ）我（が）入道（にふだう） 春（はる）は花（はな）さく桃（もゝ）のころ 夏（なつ）はすゞしき海（うみ）のそば…

獻立は外村と淺沼がやつた。淀野と淸水が伏見からそれに加つて二十二日の夜伏見で先づ第一囘を催した。私は二十三日大津に着いた。それを加へて五人が大津で講壇に登つた。 淺沼と外村の詩朗讀、淸水の畫の制作に於る覺悟。淀野、今後の方針に就て。次に私が一月號の過古を讀んだ。次は外村、淺沼…

な成果を持つて來るか私には大きな樂しみである。生活の上にも同人の中の數人には卒業にともなふ變化がこの三月には約束されてゐるのだ。 今月號に於て同人淺沼の評論、金斗熔氏から頂いた原稿が載せられなかつたことを遺憾に思ふ。同人阿部は卒業論文作成のため何も書かなかつた。來月には必ず何か書くことゝ思ふ。 寄贈された雜誌に厚く御禮申します。…

鼻の高いものだつた。英國の俗謡が出て來る。それはエルダー先生にFisher Womenの譜を借して貰つて稽古した。「海彦山彦」は「靑空」の外村茂と淺沼喜實とがやつた。これには撲り合ひの兄弟喧嘩があるので、それを熱心な外村がやるものだから、ほんたうの喧嘩みたいで、毎日それをやるときになると稽古する部…

につれてひとりでに生活の大勢が極つたやうに中途半端を並べた。そんな風で、自分は動き出すことの禁ぜられた沼のやうに淀んだところをどうしても出切つてしまふことが出来なかつた。そこへ沼の底から湧いて来る沼気（メタン）のやうな奴がゐる。いやな妄想がそれだ。肉親に不吉がありさうな、友達に裏切られてゐるやうな妄想が不意に頭を擡（もた）げる。…

よつて世評を欺かない作者のいい素質を見たと思つてゐる。 中谷がやることになつてゐたこの批評を、中谷が小説をかいたため書けなかつたといふので、編輯の淺沼から此方へ𢌞された。やりなれないことでもあり、同人の淸水が京都から上京して來たり、氣を散らして、たうとう締切に迫られ充分なものが書けなかつた。作者…

池田勇人君の故議員淺沼稻次郎君に対する追悼演説 1960年 ウィキペディアに浅沼稲次郎暗殺事件のページがあります。 池田勇人君の故議員淺沼稻次郎君に対する追悼演説（いけだはやとくんの こぎいん あさぬまいねじろうくんに たいする ついとうえんぜつ） 1960年（昭和35年）10月18日、衆議院本会議において、池田勇人内閣総理大臣。…

すれになっている。その先には川の曲るところがあって、そこはいつも渦（うず）が巻いているところだ。川はそこを曲って深い沼のようなところへ入る。橋か曲り角で頭を打ちつけるか、流れて行って沼へ沈みでもしようものなら助からないところだった。 兄はいきなり川へ跳び込んで、あとを追った。橋までに捕えるつもりだった。…

長沙鵬翅山行急　大沛龍鱗怒不㆑深〈内宴有㆑勅、初賜㆓芳緋㆒。不㆑堪㆓感涙㆒、伏抽㆓中懐㆒、敬㆓上員外納言㆒〉 献㆓此詩㆒後夢㆓家君㆒仰云、汝〈淳茂〉何喜乎。覚後数日病悩。 欲㆑識㆓沼々流出処㆒　南陽平氏〔民イ〕是清源〈賦㆓置酒如㆒㆑淮、江相公〉 北堂感㆓讃州平判〔刺イ〕吏贈物㆒作也。此詩註云、坤元録云、淮水出㆓南陽平氏県㆒、故云…

何を馬鹿々々しい、とはじめは嗤ひ棄てようとしたセトナ王子も、暫く考へてゐる中に、この疑問が決して馬鹿にならないのに氣づいた。馬鹿にならないどころか、この疑は、春の沼邊の水草の根の樣に、見る〳〵、彼の心の中に根を張り枝を伸ばして行く。世界開闢說についてばかりではない。日常目にする凡てのことに、この疑ひが、からみつ…